ニブロール「イマジネーション・レコード」@KAAT
振付・演出:矢内原美邦
映像:高橋啓祐
音楽:SKANK/スカンク
衣装デザイン:田中洋介【出演】
浅沼 圭
石垣文子
大熊聡美
中西良介
藤村 昇太郎
皆戸麻衣
村岡哲至
『イマジネーション・レコード』
私たちはなにもかも留めておきたくて簡単にシャッターを切っては、どうでもいいことを記録する。
でもそこに私たちが探している本当の風景はあるのだろうか?
記録した風景は何十億にも重なり、やがては曖昧なただの残像になっていくだろう。
失われた時間をつなぎとめてくれるのは私たちのイマジネーションだけかもしれない。
そこには、楽しいことも悲しいことも理性も暴力も現実も、またその逆もある。理想では描ききれない明確な線がある。
私たちは、いま目のまえにある風景をレコードしなければと思う。このなんでもない日々を。いまそこを流れていく時間を。
そして、記録しても記録しても消えてしまうものについて考えなければと思う。
手を伸ばしても届かない時間について。距離について。風景について。
ニブロール(nibroll)の結成20年の記念講演の意味合いもある作品だということもあってか、いろんな意味でニブロールらしさに溢れた作品だったのではないだろうか。 1997年6月 「パルス」@ 中野スタジオあくとれ/東京 1998年10月『林ん家に行こう』@セッションハウスの旗揚げ後、初期2作品は見ていないので最初にニブロールを観劇したのは1999年に渋谷のギャラリーで見た「東京第一市営プール」だ。その時に普通のダンス作品のように音楽に合わせて踊ったりすることがないので、どういうことなんだろうと思い見ていたが、どんなカンパニーなのかはまだそんなに分かってはいなかった。
ニブロールの表現の方向性がはっきり感じ取れたのは「駐車禁止」からの数作品。それは社会に露呈してきたある種の暴力性で、それは文学における舞城王太郎の登場などと呼応する動きと感じさせた。
d.hatena.ne.jp