下北沢通信

中西理の下北沢通信

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『月刊「根本宗子」 第17号「今、出来る、精一杯。」』@初台 新国立劇場 中劇場

『月刊「根本宗子」 第17号「今、出来る、精一杯。」』@初台 新国立劇場 中劇場

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2019年12月13日(金)~12月19日(木)
会場:東京都 初台 新国立劇場 中劇場


作・演出:根本宗子
音楽:清竜人
出演:
清竜人
坂井真紀
伊藤万理華
瑛蓮
内田慈
今井隆文
川面千晶
山中志歩
春名風花
小日向星一
根本宗子
riko
天野真希
水橋研二
池津祥子

根本宗子の舞台は最近気になって連続して見ている。WACKのアイドルGANG PARADEによるミュージカル「PLAY HOUSE」*1、「墓場、女子高生」*2と見てきて、これが3本目。実は根本の舞台に注目しているのは彼女がモノノフ(ももクロファン)でもあって、今後ももクロと一緒に舞台作品を手掛ける有力候補ではないかと考えているからなのだがそう想定するのには若干の根拠もないではない。
 まず最初に冒頭で挙げたミュージカル「PLAY HOUSE」がこれまでともに本広克行が演出した舞台版「幕が上がる」、ミュージカル「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」を手掛けてきたPARCO PRODUCEによるものであるということ。ももクロGANG PARADEは同じアイドルといってもまったく毛色が違うけれども、「PLAY HOUSE」はGANG PARADEにあてがきしており、ももクロ界隈の事情にも精通しているのもプラス材料となりそうだ。
 さらに今回の舞台「今、出来る、精一杯。」にはももクロのレーベルメイトで複数の楽曲提供をして共演もしたことがある清竜人が出演、音楽も担当した。清竜人、演技は初めて見たがウザイ人をけっこう上手く演じていた。
 キャスティングがよかった。この作品は再演のはずだが、いくつかの役はまるで俳優に当て書きしたかのようにはまり役。春名風花が出ていたのだが、派手な役柄ではないが一本気で相手に一歩も引かないところが春風ちゃんらしく魅力も感じた。
 伊藤万理華が冒頭近くでメインボーカルっぼく、一曲歌い、歌自体の出来はかわいいけど???という感じだったのだが、乃木坂46卒業した子だったのか。ただ、見せ場は作ったもののメインで歌うのはこの時だけで、この作品では清竜人がところどころピアノ弾き語りで歌うなど音楽劇としての芯はになう。この辺りの案配が根本宗子の職人技を感じさせ、ももクロと一緒にやるとしたら作家的なこだわりを持ちながらも調整能力は必要だから、可能性は充分あるかもと感じた。
 逆にいえばこれまで見た作品では柳美里や本谷由希子のような作家性の強さには欠けるきらいがあり、そこが弱点かもしれない。