下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

たこやきレインボー ニコ生で無観客生配信LIVE「CLUB RAINBOW‘20」@ニコニコ生放送

たこやきレインボー ニコ生で無観客生配信LIVE「CLUB RAINBOW‘20」@ニコニコ生放送

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2018年にツアーを開催したまるでクラブのダンスフロアのような空間にライブを変容させるという「CLUB RAINBOW」のコンセプトに基づきそれに最新曲も追加した「CLUB RAINBOW‘20」をたこやきレインボーの無観客ライブとして展開した。無観客とはいえ、ひさしぶりのワンマンライブということでたこ虹の現時点でのポテンシャルが爆発した、と思う。
たこやきレインボーといえばその名前からの連想もあり、元気で愉快なグループのイメージがある。「たこ虹の家にいるTV」などの配信コンテンツを見てもそうしたイメージは裏書きされるが、実はそのパフォーマンスにおいてはそれだけにとどまらないスタイリッシュでアーティスティックな要素を前面に打ち出す時も多く、クラブ音楽的なアレンジで曲間をつないでいく、この「CLUB RAINBOW」の演出は「カッコいいたこ虹」を強く印象づけようとしていたかもしれない。
 「虹色進化論」「Rainbow Plane」と見ていくとたこ虹はダンスパフォーマンスの力も歌唱の技術もグループアイドルとしてはトップ級にあることがうかがえる。avexと契約した当初はそれまでのヒャダインのコミカルな関西色を前面に打ち出した作風とダンスミュージックを売り物とするavexというレコード会社の方向性に齟齬が感じられる時もあり、ファンの間にも毀誉褒貶が多かった時期もあったが、この日の完成度で展開されていく楽曲の多才さを見ているとここにきて完全に高いレベルで関西色、ダンスミュージックなどのすべての要素がかみ合って唯一無二のたこ虹のパフォーマンスが出来上がってきたことが得心できるのではないかと思う。
 冒頭でのカッコよさにも圧倒されたが、彼女たちしかできない魅力が爆発したのが、「尼崎テクノ」から新曲の「恋のダンジョン UME」へとつないでいく流れだろう。特に「恋のダンジョン UME」はMVとサブスクで楽曲のみ聞いていた段階ではピンとこない部分もあったのだが、ライブで生きる曲。今後のライブではこの日はあえてセットリストに入れなかったメジャーデビュー曲「ナナイロダンス」などと並ぶキラーチューンとなっていきそうだ。
 それにしてもここまで言及した段階では音楽のノリやカッコよさに興奮させられるという感じの感想だった。もちろん、その水準に達するパフォーマンスができるグループも数少ないからそれだけでも高い評価に値するのではあるが、このライブには後半部分にエモーショナルな感情を揺さぶられる部分があった。
 彩木咲良作詞の「SuperSpark」が素晴らしい。たこ虹が所属する事務所「スターダストプロモーション」がスターダスト(星屑)という名前を持つことから、ももいろクローバーZを始めとしたその所属グループは星にまつわるモチーフを主題として歌うことが多いのだが、この「SuperSpark」もそうした1曲。メンバーの彩木の作詞ということもあって、星をメタファー(隠喩)として、自分たちのことと重ねて歌っている。アイドル曲はももクロの場合でもそうだが、空なら空、星なら星となぞらえて歌っていながら、実はそれが自分たちの思いと二重重ねとなってくるような構造を取ることが多いが、「SuperSpark」は典型的なそういう楽曲である。それで思いをこめ感情をぶつけて歌うことで感情を揺さぶられることが時折起こるが、今回のライブはそれが現在の状況と重なり合って、さらに心の琴線をかき乱すような強い印象を与えた。
 ももクロもそうだがこうした感情をファンに引き起こさせていく力はアイドルの場合重要だ。たこ虹の場合、この「SuperSpark」を作詞、そしてこの日アンコール曲として最後に披露された「一緒に帰ろう」の作詞作曲も手掛けた彩木咲良は今後の彼女たちにとってのキーパーソンとして重要な役割りを担っていきそうだ。というのはこの2つの楽曲を見て分かるように、彩木の場合、単にいい音楽を創作する才能を持っているということだけにとどまらず、それがたこやきレインボーというグループの個々の意志、全員の意志を代弁するかのようになっているからだ。
 この曲は「並んで歩いてくこの道 暗くて静かな夜 ふとみんなで見あげたら 沢山の星たち 並んで眺めた夜空に一番星を見つけたんだ どんな星よりも1番に輝いていた」とはじまる。皆で見つけた一番星(宵の明星)のことを歌っているようで実はこの一番星はたこ虹の目標であることが次第に分かってくる仕掛けになっている。
https://www.uta-net.com/song/263759/
 そしてこの曲の途中で「夜空に光る あの一番星を 私たちいつか届くかな」という箇所がある。曲の中には具体的なイメージは直接は描かれていないけれど、「一番星」と言うときに彼女たちの脳裏に浮かぶイメージはグループとしての目標として彼女たちがよく挙げる甲子園球場でのライブかもしれない。そのほかにもいろんな目標はあるだろう。
 そのどれも当てはまるようにあえて描かれた歌詞だけれど、本当はあえて口にださないひとつのことを示していることを私たちは皆薄々気づいている。だから、どこか一点を見つめるような彼女たちの強い眼差しを見る時にいつの間にか強い感情に突き動かされて、思わず感情移入させられ涙ぐんてしまったのである*1。 

www.youtube.com

live2.nicovideo.jp

CLUB RAINBOW'20
2020年7月12日(日)

虹色進化論
Rainbow Plane
なにわのはにわ
たこ虹物語〜オーバー・ザ・関ヶ原
にじースターダスト
どっとjp ジャパーン!
尼崎テクノ
恋のダンジョン UME
卒業ラブテイスティ
もっともっともっと話そうよ -Digital Native Generation-
輝け!おっサンシャイン!
SuperSpark
ちゃんと走れ!!!!!
オーバー・ザ・たこやきレインボー
(アンコール)
一緒に帰ろう

開場:2020/07/12(日) 16:00
開演:2020/07/12(日) 16:30

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01. ちちんぷいぷいぷい
02. 恋のダンジョンUME
03. プレイバックス
04. もっともっともっと話そうよ -Digital Native Generation-
05. めっちゃDISCO
06. ナナイロダン

*1:本文の中ではあえて触れないでおくことに決めたが、もちろん、「一番星」とは彼女たちの目標であるももいろクローバーZのことである。