下北沢通信

中西理の下北沢通信

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アメフラっシ配信限定ライブ「Dancing in Ur Roooom!!!!」

アメフラっシ配信限定ライブ「Dancing in Ur Roooom!!!!」

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【Digest Movie】アメフラっシ初の無観客ライブ「Dancing in Ur Roooom!!!!」

 高城れにももクロの無観客ライブの幕間でサプライズ登場して3曲のみパフォーマンスを披露したが、単独としてはひさびさのアメフラっシライブであった。アメフラっシは最年長の鈴木萌花でも18歳で、スターダストプラネットの中でもまだ若いグループといえばそう言えるのだが、メンバーそれぞれは育成グループであった3bjunior時代から勘定に入れれば、アイドル歴自体はかなり長い。しかも、アメフラ結成後を見てみても歌もフジテレビNEXTの「ガチンコスターダストプラネット」などを通じて鍛えられており、その急成長ぶりをはっきりと見せることができたライブであった。
 今回のライブはセットリスト通りの楽曲が収録された初めてのアルバムの発売が決まっており、その意味ではアルバムライブともいえるのだが、ライブ中に発表されたのは今回のライブをそのまま収録した映像コンテンツがブルーレイとしても販売されることになっており、その意味では無観客ライブであるとともに映像コンテンツの公開収録の性格もある企画だったということだ。
 配信されるということだけでもミスはできないというプレッシャーによる緊張感は普段より大きかったと思うが、そんなことよりもやっとライブができるという解き放たれたような高揚感は大きかったようで、それが出来のよいパフォーマンスにつながったのではないかと思った。
 少し気になったのは新衣装のこと。個人個人を取り上げればその人の個性にあって似合っているといえなくもないが、あまりにバラバラで前回衣装にあったような統一性が感じられず、そのことの違和感は若干あったのである。真相は分からないが、勘繰ればこの衣装は愛来ありきだったんじゃないかと考えてしまったのだ。愛来の衣装はお腹の部分に露出もあり、K-POPの女性グループが着るようなボディーラインがはっきり出るタイプのもので似合うというだけでなく、彼女の踊るダンスの切れ味などをアピールするにも最適な衣装なのだが、おそらく、現状のメンバーの中ではこれを着こなせるのは愛来しかいない。ここでこの衣装を無理やり全員に着せると下手をするとかなりまずいことになりかねないから、こういうことになったのかもしれない。勘違いかもしれないが*1、私にはそう見えたのだ。
 アメフラっシの楽曲は佐藤守道が手掛けているが、最近は現場マネージャー的な役割も果たすなど、よりコミットの度合いが強くなったこともあってか、楽曲の充実にもより力を入れてきているのが分かるセットリストになっている。
 スタプラの若手グループではukkaの定評が高いが、曲調の多様性によってはアメフラっシが勝るともいえ、かなり楽曲の水準は高いのではないかと思う。特に今回ライブでは初披露となった「メタモルフォーズ」はこれまでのアメフラっシにはなかったような洗練さを感じさせる楽曲*2で、振付も良くできていた。
 他ではひさしぶりに聞いた「STATEMENT」がよくて、これはライブダンジョンで桜エビ~ズを打ち破った楽曲なのだが、こういう自分たちの思いをストレートに打ち出せるエモーショナルな楽曲こそが今の彼女たちには合っていると再確認させられた。
 アメフラっシは歌唱の面では鈴木萌花、ダンスでは愛来が抜きんでていて、この二人がグループを引っ張っていた。今もそれは変わらないが愛来が歌の面でも急成長していて、センターとしてよくも悪くも全体をけん引している感が強くなったかもしれない。
 ただ、この日見て一方で気が付いたのは小島はな愛来に劣らぬ急成長であり、パフォーマーとしても以前は子供感が強く、子供としての可愛らしさが前面に出ていたのが、ここに来て様子が変わってきている。そうなると市川優月がパフォーマンスにおいてのメンバーの中での立ち位置をどう確保していくのかの問題は今後のアメフラっシの方向性にとって大きな課題となってくるのではないかと感じた。市川ももちろん進歩はしているし、特に歌でピッチをはずすようなミスをすることはなくなったのだが、アメフラっシの場合は楽曲的にはアイドル曲というよりはガールズ・ポップやロック的な色彩の曲が多いので完成度が高くなってくればくるほど見劣りする部分があることは否定できないからだ。
 ただ、一方でコロナ自粛期間中の生配信を見ても分かるように切り込み隊長的なトーク力などにおいてはグループの中で抜きんでた安定感があり頼りになるのも確か*3。アイドルグループにおいてはこれは非常に重要な要素であることはももクロやたこ虹を見ていれば歴然と分かる。とはいえ、実は市川優月は口が悪い荒くれものキャラで売ってはいるけれど、今回は披露しなかった「バカップルになりたい!」などのキャラクター色が強い歌では飛び道具的爆発力を発揮できる。そうした個性をどのように拾っていけるかが、今後の課題かもしれない。
 ライブ終了後には日テレらんらんホールでの有観客ライブ(8月15日)の発表もあり、目標のメジャーデビューに向けて大きく動き出したのではないだろうか。以前は3bjunior時代からの経緯もあってtmmnが運営をひとりで回していた感があって、本当にメジャーデビューを目指すということなら、もう少し体制を強化する必要があるのではないかと考えていたが、無観客ライブ、アルバム発売、観客を入れてのライブと最近の足早な動きはいよいよ本腰が入ってきた感があり、スタダ内のほかのグループとの比較においてもことパフォーマンスの内容に関してはなんら遜色がないどころか、すでにメジャーデビューしているグループを凌駕している点もあるから、今後がますます楽しみなのである。
 メジャーデビューのタイミングとしては相手があるかどうか次第の部分はあるけれど、グループとしてはいい形での爆発的なスタートを切りたいから、観客がいないところでの発表はまずないはず。そうであるならば、タイミングとしては次の有人ライブ、あるいはそこでさらに次なる会場を発表したうえで、そこでのサプライズぐらいがありうるのではないかと思う。このところ、スタプラではメンバーの脱退やグループの解散・改組が相次いだから、将来展望を考えていくうえで、アメフラっシのメジャーデビューは大きな契機となるはず。メンバーでは愛来のメジャー感が増してきているだけにこの勢いをなんとか生かしたいところだが。

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8/15 アメフラっシ有観客ライブ発表
「RUN!RUN!LIVE!2020」@日テレらんらんホール

*1:ネットなどを探ってみても不評な意見はあまりないようなので単に私の個人的趣味の問題でこれでいいのかもしれない。

*2:これまでは荒々しさ、勢いを感じるような楽曲が主流だった。

*3:逆にあれだけパフォーマンスにおいて抜きんでている鈴木萌花だが、バラエティーなどではほぼ戦力外状態である(笑)。