下北沢通信

中西理の下北沢通信

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漫画「ブルーピリオド」1~3@山口つばさ

漫画「ブルーピリオド」1~3@山口つばさ

「ブルーピリオド」は美大志望の若者たちを描いた漫画である。3巻までを読んだが、ここまでは絵を描くことの魅力に目覚め、美大(東京藝大)を目指すことになる主人公、矢口八虎の奮闘ぶりがスポ根漫画的なタッチで描かれている。美大の青春群像を描いた「ハチミツとクローバー」など、これまでも美術大学をモチーフにした漫画作品はあったけれども、「ハチクロ」などを読むと現代美術のようなものはまったく登場しないで、現代における美術のありかたのリアリティーが全然感じられないという不満があった。
 「ブルーピリオド」の作者の山口つばさは自らが東京藝大の出身であるだけあって、そのあたりのリアリティーがみごとに描かれていて、ここまではまだ受験前なので、現在進行形の現代美術作品などが生のまま取り上げられるということはないのだが、美術(絵画)入門としても読むことができるような丁寧な作りになっている。今後、大学に入学してからどんな風な美術との出会いがあるのかに非常に興味深く、続きがはやく読んでみたくなった。