下北沢通信

中西理の下北沢通信

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CROWN POP Encounter 2020<2部> 山本花織ラストライブ

CROWN POP Encounter 2020<2部> 山本花織ラストライブ

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CROWN POPのことは夏Sで初めて知った。その後、ライブスタイルダンジョンに出演したが1勝もできないで悔しさのあまり泣いているのを見て、気になっていた。CROWN POPはもともとダンス&ボーカルグループによくあるようなボーカルとダンサーが担当が分かれるようなスタイルを取っていたが、ライブスタイルダンジョンの時に審査員のひとりがアイドルのグループとしては下手でもいいから全員が歌った方が強い印象を与えるなどと指摘された。ところが今春のスタプラフェスで全員の歌割りが増えていたことと全体のパフォーマンス力のレベルが段違いに上がっていたのに驚いた。
そのスタプラフェスで三田美吹がシンデレラを射止め、グループとしては「これからいくぞ」というところでコロナ禍でライブ活動が出来なくなり、今回のライブはそれ以来初めての集客ライブであったのにそれが三田美吹と一緒に長年グループを支えてきた山本花織のグループ離脱でラストライブになってしまったのはタイミングとしては皮肉なものとなったかもしれない。
 卒業ライブの時期というのはどのグループにとってもデリケートな問題だが、集客しての卒業ライブができずにオンラインになってしまったり、卒業自体がのびのびになってしまったグループが数多くあることを考えるとファンの前でこの日を迎えることができた山本花織はきわめて幸運だったという方がいいのかもしれない。
 最初の曲『LIFE』でメンバーのひとりがいきなりつまってしまい歌えなくなってしまったということはあったものの、ライブ自体は大泣きで崩れてしまうということなどは起こらずに一見いつものように進んでいったが、メンバーが自分たちで相談して決めたというセットリストは直接言葉にはしなくとも、去っていく山本花織への思いがにじみ出てくるようなもので、ディープなファンというわけではない私でさえ、感情が揺さぶられるところがあったから長年応援してきたファンにとっては特別なライブだったのではないかと思う。
 ただ、そういう中でもこの日見ていて感じたのは気合が入った時の三田美吹の鬼気迫る表情の凄味であった。深夜のラジオでふにゃふにゃと浮遊しているような人と同一人物とは到底思えない。まさに一騎当千を感じさせる存在感で、彼女がいる限りこのグループは大丈夫というような空気を作る力はももクロ百田夏菜子にも匹敵するものがあると感じさせた。
 一方、もう一人のメインボーカルである里菜はこういう危急の秋にこちらは柔らかく包み込むような表情が印象的であった。この二人が残りのメンバーを引っ張っていけば山本花織の喪失は大きいけれども、逆にグループ飛躍のきっかけにとつなげていくことも可能なのではないか。
 いささか能天気ながらもそんなことも感じたのは特に歌の面で、田中咲帆、藤田愛理の進歩が著しいと感じられ、グループのバランスが整ってきていること。そして、私の持論としてアイドルグループがただのガールズグループにならないためにはかならずひとりは声質に特徴がありキャラが立つメンバーがいることというのがあるのだが、そのポジションに雪月心愛が見事なまでにはまりつつある。しかも彼女は最年少、妹キャラであるのにライブ中のMCを務めるなどしっかりしたところもあり、年齢的な枷が取れて出演できる時間帯が広がればバラエティー班としての役割でも山本の穴を埋めていくことができそうだ。
 やめていく山本花織だが、メンバーとファンに感謝の弁を述べたがやめてどうするとか、やめる理由についての言及はなかった。ただ、離脱がネガティブなものではないことは感じ取れた気がする。
 ひとり減ったことで、フォーメーションや歌割りの変更など慌ただしい準備が必要ではあろうが5人となる新生CROWN POPがどんな顔を見せてくれるのか。TIF(4日)でのパフォーマンスが楽しみになった。

『LIFE』
『青天コンパス 』
『未来』
『Real×live』
『ホログラフィック・デート』
『スノウィシャイニーデイ』
『真っ白片想い』
『夏キラリ☆』
『change the world 』
『キミリプ 』
『Crossover 6人ver. 』

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