下北沢通信

中西理の下北沢通信

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小松台東「シャンドレ」@こまばアゴラ劇場

小松台東「シャンドレ」@こまばアゴラ劇場

小松台東の描く世界は嫌いではないのだが、今回のように地方のスナックに入り浸る男たちの生態となるとまったく共感が持てなくてちょっと厳しい。特に松本哲也演じる男が「馬鹿な男たち」と笑ってすませるような世界がかつてあったし、いまでもあるところにはあるのかもしれないが、端的に言って不愉快なのだ。
私が酒を全然飲まないこともあるかもしれないが、酔ってからんだり、暴力をふるったりする人が一番苦手なのだ。とはいえ、芝居としたらこういう人物を見ている人が不愉快になるほどに迫真で演じられるというのは松本が俳優として優れているということなのだとは思うが、やはり見ていて愉快な気分にはなれない。もっともそういう意味で言えば、松本が演じる人物だけでなく、その上司といい後輩の同僚といえ、ここまで好感が持てる人物がひとりも出てこない芝居も珍しいかもしれない。
 スナックを描いた舞台ではあるが、そこで働く女性は舞台上にはひとりも登場しなくて、相手役としてそこに存在することはしていてもいっさい登場はしていない。演劇的な仕掛けとも言えるし、コロナ禍での舞台としての感染対策の意味合いもあるのではあろうが、これが現実の女優も登場して、それぞれ役柄を演じていればもう少し男性たちへの印象は変わっていたかもしれない。舞台を見ながらそんなことも考えたのである。

作・演出:松本哲也


シャンドレという田舎街のスナックを巡る男たちの物語です。舞台に立つのは3人だけの予定ですが、人物はきっとそれよりも多く出てくるのではないでしょうか。
お酒にはトラブルがつきもの。その場だけでは解決しないことも多々あり。翌朝気づいたら服に血がついていることだってあります。それでもお酒をやめられない馬鹿な男たちを、全編宮崎弁でお贈りします。

小松台東

松本哲也による演劇ユニットとして、
2010年12月第一回公演「ノンアルコールで吐く」より劇団活動を開始。
2013年より劇団名を小松台東(こまつだいひがし)に変更。
全作品宮崎弁で上演されていることが特徴で、日常の中で起こる人間の機微を丁寧に、ユーモアを交えて描いています。
2019年より瓜生和成、今村裕次郎、佐藤こうじが劇団員として加入。

出演

瓜生和成、今村裕次郎、松本哲也

スタッフ
CP:佐藤こうじ
舞台監督:中西隆雄
舞台美術:泉 真
音響:Sugar Sound
照明:鷲崎淳一郎(ライティングユニオン)
演出助手:坂本奈央(終のすみか)
スタンドイン:森崎健康(KAKUTA) 
宣伝美術:吉田電話
制作協力:塩田友克
芸術総監督:平田オリザ
技術協力:黒澤多生(アゴラ企画)
制作協力:木元太郎(アゴラ企画)


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