下北沢通信

中西理の下北沢通信

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ヌトミック「ぼんやりブルース」(2回目)@こまばアゴラ劇場

ヌトミック「ぼんやりブルース」(2回目)@こまばアゴラ劇場

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ヌトミック「ぼんやりブルース」2回目観劇。1回目の観劇レビューで確かめてみたい解釈があると書いたが、どうやら私の勝手な妄想だったようだ。震災のことは直接は出てこないが、途中に出てくる手紙は福島からの便りであったりしたことから、断片的に現れる声は震災で犠牲になった「死者の声」ではないかと思ったのだ。そこで2回目の観劇ではそれを念頭に置いて見てみたのだが、どうしてもうまく嵌まらない。やはり、これは無理だったようだ。
今回の公演とどのようにつながっているのかが、よく分からないが、こまばアゴラ劇場では昨年度に青春五月党・柳美里の新作戯曲「JR常磐線上り列車(仮)」を、ヌトミックが上演することになっていたのではないかと記憶している。この公演は公演中止となったが、今回の「ぼんやりブルース」がその代わりに企画されたものなのかどうかという詳細な事情は分からない。
 とはいえ、「ぼんやりブルース」が準備の一環として額田が福島に滞在していた時に感じたことも作品に入り込んでいることは間違いないだろう。

構成・演出・音楽:額田大志

未来がぼんやりとしてしまった。みんなが、自らの力で立ち上がらないといけない時代。家族や会社、都市の共同体がゆるやかに歪んできて、そんなときに「上演」でできることは何かを考える。果たして、わたしが信じられる日常はどこにあるのか。

『ぼんやりブルース』は、信じられる(かもしれない)未来を掴もうとする、途方もない(と思われる)ことに取り組むパフォーマンス。無謀かもしれないけれど、今はそれを信じながら上演をつくります。

2016年に東京で結成された演劇カンパニー。
「上演とは何か」という問いをベースに、音楽のバックグラウンドを用いた脚本と演出で、パフォーミングアーツの枠組みを拡張していく作品を発表している。俳優のみならずダンサー、ラッパー、映像作家などとのコラボレーションも積極的に行う。主な作品に『SUPERHUMAN』(2018)、『アワー・ユア・タワーズ』(2019)、『それからの街』リクリエーション(2020)など。また「ヌトミックのコンサート」と題したライブパフォーマンスも定期的に開催。

出演

朝倉千恵子鈴木健太、長沼航、額田大志、原田つむぎ、藤瀬のりこ

スタッフ

舞台監督:中西隆雄 黒澤多生
音響:山川権(MR SOFT LLC.)
照明:松本永(eimatsumoto Co.Ltd.)
舞台美術:渡邊織音
衣装:中島エリカ
映像:高良真剣
ムーヴメント指導:藤瀬のりこ
演出助手:鈴木啓佑
稽古場助手:深澤しほ
宣伝美術:三ッ間菖子
制作補佐:山下恵実 大野創
制作:河野遥<<