下北沢通信

中西理の下北沢通信

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70年安保闘争背景にした原作の色合い強く残す 舞台「ぼくらの七日間戦争」@東京建物 Brillia HALL

舞台「ぼくらの七日間戦争」@東京建物 Brillia HALL

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ぼくらの七日間戦争は映画版*1を最初に見た後、原作小説*2も読んだはずだが、その記憶はあいまいであった。今回の舞台版を見て初めてこういう設定の物語であったことに気が付いた。それは中学生が自ら「解放区」と名付けた建物に立てこもり、そこをアジトに中学の教師らに反抗するという物語だが、作者がこの物語を書いた背景には70年の全共闘による安保闘争があったということが、原作小説にありそれが舞台にははっきり受け継がれている。映画ではそのあたりの説明がほとんど省かれているため、作者がなぜこういう立てこもりの話を書いたのかが、はっきりとは分からない。戦車も登場するような砦での攻防戦などの描写から単純な冒険活劇のように見えてしまうのだが、そういうところは舞台版の方に説得力があると思った。
ただ、現代の目から見ると原作に忠実なせいか男女それぞれの描き方にやや違和感を感じた。それというのは映画版やアニメ版では女性キャラが男と一緒に砦に立てこもって実際の戦いにも加わるのに対して、舞台版では砦の外での後方支援に徹しており、重要な役割ではあるものの、男と女の固定化された分担についての疑いがいっさい作品にないからだ。宮沢りえを主演に据えたキャスティングの都合もあるのだろうが、映画の場合は彼女らが主体となっていたし、アニメに関していえば女生徒とそれぞれの父親との関係性が物語の骨格をなしていることもあり、それと比べると女性たちの扱いに「女性はこういう役割だ」という観念の固定化があるのではないかと思った。
もうひとつ疑問に思ったのは作中に登場する誘拐犯人の取り扱いだ。犯人から仲間を取り戻すところまではいいとしても、その後、犯人に代わり身代金の1700万円を強奪して、そのお金を借金で困っていた犯人にただ渡してしまうという筋立てはどうなんだろう。そんなことをしたらいくらなんでもバレるだろうし、不法な建物の占拠などとは比べられない重罪に問われることになるはずだ。
この舞台を見に行った主たる目的は元たこやきレインボー彩木咲良が出演していたことだった。少し不良っぽいキャラを違和感なく演じていたと思う。この舞台での役割をうまくこなしていたとは思うが、この舞台における女性陣にはいまひとつ活躍の場が与えられておらず、そこのところは物足りなかった。役を演じる才能はあると思う。本人も興味を持っているようだし、演劇に出ているのをまた見てみたいと思う。

2020年上演舞台の映像

www.youtube.com

2022年2月2日(水)~6日(日)
東京都 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)

原作:宗田理ぼくらの七日間戦争」(角川文庫・角川つばさ文庫
脚本・演出:久保田唱

キャスト
菊地英治:校條拳太朗

相原徹:瀬戸啓太

安永宏:毎熊宏介
天野司朗:土屋直武
谷本聡:村松健
宇野秀明:結城伽寿也
立石剛:弓木大和
中尾和人:鈴木祐大
柿沼直樹:安藤優
佐竹哲郎:春斗(CUBERS
佐竹俊郎:優(CUBERS

中山ひとみ:北澤早紀AKB48
堀場久美子:彩木咲良
橋口純子:樋渡結依

矢場勇:溝呂木賢
田中康弘:吉田宗洋
柿沼靖樹:緑川睦
八代謙一:田中孝宗
菊地詩乃:若井なおみ
榎本勝也:志村史人
堀場千吉:河内浩
杉崎警部:コウガシノブ
酒井敦:森山栄治

西脇由布子:根岸愛

柿沼奈津子:遠山景織子

橋口暁子:月影瞳

瀬川卓蔵:石橋保

丹羽満:渡辺裕之