下北沢通信

中西理の下北沢通信

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梅雨明けなのに雨を呼び込む「梅雨祭」 小さなライブハウスだが「桃神祭」引き継ぐ気概 AMEFURASSHI 「梅雨祭」第二部@新宿BLAZE

AMEFURASSHI 「梅雨祭」@新宿BLAZE


AMEFURASSHIのライブ「梅雨祭」第二部に出掛けた。東京はちょうど梅雨が明けていたのにこの日は朝から雨模様。今回は太鼓奏者の一彩がゲスト演奏者として参加。彼がライブ中に再び祭りが戻ってきたようで嬉しいと言ったのはおそらくももいろクローバーZの「桃神祭」のこと。AMEFIRASSHIのメンバーと一彩が最初に顔を合わせたのは和楽器隊や全国各地のお祭りの人たちが参加して、一大祝祭空間を作り上げた「桃神祭」で、メンバーがMCで「出来るなら屋台を出したい」とか「いつかは数万人規模で」と話したのも名前こそ出さなかったが「桃神祭」を意識してのことだと思う。韓国のグループを思わせるような緻密なステージワークを展開したアルバムツアー「DROP」から一転して、和太鼓という日本を代表する楽器との親和性の高さを見せ、K-POP系グループとはまったく違うももクロの後継のイメージも押し出したライブを敢行したのも興味深かった。
 冒頭の太鼓ソロプレイから「Rain Makers!!」「DROP DROP」と太鼓の生伴奏で楽曲を盛り上げた。AMEFURASSHIの場合、特に最近の楽曲は打ち込み音源として製作されているため、打楽器の生演奏となじむのかどうかには危ぐされる部分もあったのだが、結論からいえば重低音を重視した楽曲のトラックと和太鼓の相性はとてもよかった。もちろん、和太鼓の演奏は数曲に過ぎず、出来るだけ向いていそうな曲に絞り込んだのだろうと思うし、生バンドの参加があるとしても今後も曲により組み合わせを考えていくことになりそうだが、試金石としては大成功だったのではないか。
 ももクロの場合、夏やクリスマスのライブではバックバンドであるダウンタウンももクロバンドを背負ってのパフォーマンスが恒例となっており、楽曲のバンドアレンジも売り物となっているが、打ち込み音源の多いAMEFURASSHIの場合、この日は和太鼓のみとはいえ、バンド系の生演奏と楽曲やパフォーマンスがうまくかみ合うかどうかはファンの間でも論議が分かれる部分もあった。
 今回のライブを「梅雨祭」としたのは明らかにももクロの夏ライブ「桃神祭」を意識したもので、今回は会場も小規模なライブハウスでゲスト演奏も和太鼓奏者ひとりにすぎないが、ゆくゆくはももクロの「桃神祭」のようにスタジアムを舞台としたような巨大ライブにという大いなる野望があるのではないかと思う。もちろん、今現在は夢物語のようなものだが、行くことはできなかったが先日スタートした「SONG&DANCE」、さらには春に続いて秋にも行われるツアー、昨年も行われたクリスマスライブと年間スケジュールの組み立てが出来てきたのではないか。
 AMEFURASSHIのライブでは先日の「DROP」ツアーでもアルバム曲のノンストップでの連続パフォーマンスが敢行されたがこの日も衣装の着替えのための短いインターバルを和太鼓の演奏でつなぐという演出や市川優月のソロ曲「梅雨前線停滞中」などは挟み込まれたものの何と15曲をMCを一切挟みこまずに連続してパフォーマンスには少し驚かされた。
 ちなみに「梅雨祭」はもちろんAMEFURASSHIの「AME(雨)」にちなんでいてアメフラの楽曲のうち「雨」とかかわる曲を選んでいるということのようだ。ライブ中のMCの説明によればさらに本編は5曲づつ3つのパートに分かれていて、「雨」「梅雨」「夏に向かって」というような主題だったのではないかと思うが、旧来の曲、アルバム曲と音楽性が異なる楽曲を混交させながら、AMEFURASSHIの世界を表現できたことにもグループとしての可能性を感じさせたと思う。

日時
2022年 7月 3日 (日曜日)