下北沢通信

中西理の下北沢通信

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コトリ会議「全部あったかいものは」@こまばアゴラ劇場

コトリ会議「全部あったかいものは」@こまばアゴラ劇場


編集
コトリ会議「全部あったかいものは」@こまばアゴラ劇場を観劇。清涼飲料水工場の外れにある休憩室が舞台。ここは社員ではない日雇いの労働者が集まっている場所で、ここで展開される。群像劇ということで、見る前は例えば小松台東や青年団リンクやしぁごのようなリアルな群像会話劇に作風をリアル方向に転換したのいかと考えて観劇に臨んだのだが、もちろんそんなことはなくて、この休憩室は正社員がいる表の世界からは弾き出された人々がここにいつの間にか集まってくるような日常と非日常の間のような場所。宇宙人とか明らかに日常からかけ離れたものは今回は出てこないけれどここで殺された(らしい)女性の幽霊のようなものは出てくるし、描かれている描写のうちのどの部分が現実でどの部分が非現実なのかというのもあいまいで分からないといういかにもコトリ会議らしい物語になっているのだった。

作:山本正典 演出:山本正典とコトリ会議
“ま”のわるい人、いるじゃないですか。
なにか事件があったとして、ただ近くにいただけで疑われてしまう人。
私はそういう人に、世の中の光を見てしまうのです。

清涼飲料水工場の外れにある”ま”のわるい休憩室には”ま”のわるい人たちだけ集まる。
そして今日も”ま”のわるい、小さな事件がぽつりと起きた。
でも今日は、ちょっと違った。
“ま”のわるいぽつりが、
ぽつり、
ぽつり、
ぽつりぽつりぽつりぽつり、

いつもは後ろ指さされるだけですんだのに。
今日だけは死刑になった。

作家・山本正典が描く一生懸命になりすぎてなんだか変なことになっちゃった人たちの生活を部屋の片隅から銀河に浮かぶ惑星まで、果てはあの世を舞台に表現する劇団。
会話は、軽妙で笑えるが、詩情に満ちて切なくもある。
旅する本公演だけでなく、演劇祭や短編企画では誰も狙わない”隙き間”を利用した小作品を生み出している。

出演
大石丈太郎、川端真奈、三ヶ日晩、花屋敷鴨、原竹志、山本正典

スタッフ
演出助手:吉田凪
舞台監督:柴田頼克(かすがい創造庫)
音響:佐藤武
照明:石田光羽
舞台美術:竹腰かなこ
衣装:木場絵理香
小道具:伊達江李華(小骨座)
宣伝美術:小泉しゅん(Awesome Balance)
記録写真:河西沙織(壱劇屋)
制作:若旦那家康
今回はお休み劇団員:まえかつと