下北沢通信

中西理の下北沢通信

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座談会「クィア演劇史は可能か 劇を書く、抵抗を読む(欲望)」

座談会「クィア演劇史は可能か 劇を書く、抵抗を読む(欲望)」


日本におけるクィア演劇の歴史を探る座談会という興味深い試み。これまで知らなかったことを知ることができて、有意義な企画だったとは思うが、一番驚いたのはセクシュアルマイノリティのアクティビティとしての出来事としても舞台芸術においても最重要だと私が考えているダムタイプ「S/N」のことが全く触れられないで終わったことだ。
もちろん、ここでの演劇関係の参加者の意識としてこれはやはりこの場で積極的に触れられることはなかった映画における類似テーマの作品群と同様「演劇の外側」の出来事と認識されていたからかもしれないが、当該の「S/N」の関連シンポジウムでは浅田彰ダムタイプを持ち上げる一方でそれに対峙する表現として平田オリザを批判していたのを考えると今回の主題への構えはややレンジが狭すぎるとも感じたことも確かだ。
この問題に限らず「当事者/非当事者」というのは大きな問題である。特に今回の問題については性的性癖全般にまで話を広げてしまえば別だが、少なくとも狭義の同性愛については「非当事者」でしかないので、ある表現に対して「当事者」がどのように感じるかについては安易に断言することはできない。だから、「そういう風に受け取られていたのか」と意外に感じたことも多々あった。
そのひとつがF/T(フェスティバルトーキョー)における「透明な隣人 ~8 -エイト-によせて~」をめぐる議論。実は私はそういう議論があったと聞いた時点では「そんなことあったかしら」と全然ピンと来ていなかった。なぜかというとその時点で私はそれを全然違う文脈の問題として受け取っていたからだ。

概要

2022年11月に上演されたフライングステージ『Four Seasons 四季 2022』(作・演出/関根信一)と、ムニ『ことばにない』前編(作・演出/宮崎玲奈)。

ゲイの劇団を標榜するフライングステージの30周年と、長編レズビアン演劇の上演とが重なった節目の年。演劇でセクシュアルマイノリティをあつかうこと、セクシュアルマイノリティが演劇をつくることの歴史的意義を考えたい。業界とコミュニティとの接触面(あるいはその埒外)からなにが見えるだろうか。

そろそろ年の瀬、いっしょに来し方行く末を思いましょう。


スピーカー 関根信一、宮崎玲奈

コメント 外島貴幸

司会 飛田ニケ(キューピー)


日時

2022.12.03(土) 15:00-18:00


会場

室伏鴻アーカイブカフェShy(新宿区早稲田鶴巻町557-12)

https://kkunstwatanabe.wixsite.com/shys


料金

1000円