下北沢通信

中西理の下北沢通信

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げんこつ団『デウス・エクス・マキナ〜完璧な首相〜』@小劇場楽園

げんこつ団『デウス・エクス・マキナ〜完璧な首相〜』@小劇場楽園

 げんこつ団『デウス・エクス・マキナ〜完璧な首相〜』@小劇場楽園を観劇。げんこつ団は今年で結成34年目である。

表題通りにげんこつ団の25周年記念公演である。一言で25周年というが、これはある意味驚くべき事だ。「純度の高い笑いだけを追求し続けるのは難しい。関西の雄、ベトナムからの笑い声が活動を休止したいま女性だけの劇団でありながら、なんの意味もなくただ笑いだけを追い求めるげんこつ団の存在は一服の清涼剤といっていい」と書いたのは何年前のことだろうか? ましてやげんこつ団は女性だけをメンバーとしている。作演出以外の旗揚げメンバーはすべて入れ替わり劇団が継続する例はあるがこの劇団は脚本・映像・音響・演出の一十口裏、振付・演出の植木早苗ら中心メンバーが健在であり、こうした形で25年続けてきたというのは稀有な例であろう。

 上記は今から9年前の結成25年目に書いたレビューに書いた文章のまるごと引用であるが○○周年の数字を変えたらそのまま今回の舞台『デウス・エクス・マキナ〜完璧な首相〜』の感想としても使うことができそう。これもげんこつ団の特徴。すでに解散している劇団が多々あるのはもちろんだが、旗揚げ近くから30年以上この劇団を見続けてきて、どの作品がいつ見た作品でどのような内容のものだったのかという記憶があいまいなものとなっている。それはこれも稀有のことだが、「ナンセンスでくだらないコメディー」という作風が首尾一貫して変わらず、ほぼ同じようなテイストの作品を作り続けているからだ。
 そして、その間にノウハウも蓄積されて、細部の完成度も上がっているはずだが、そういうことを表面上は見せることなく、あくまでチープで手作り感満載の印象が変わらないというのも実は凄いことではないかと思う。 
 若い出演者も加わってはいるはずだが、キャスト全般の印象も大きく変わることはなく特に旗揚げ以来のオリジナルキャストの植木早苗、春原久子がその時と変わらない姿で舞台に立ち続けているのは一種の奇跡と呼んでもいいのかもしれない。

Cast
植木 早苗 春原 久子 河野 美菜 丹野 薫
池田 玲子 三明 真実 三井田 明日香 白宮 綺桜
Written by 一十口 裏
2024年11月13日(水)-11月17日(日)