下北沢通信

iaku「ハイツブリが飛ぶのを」@こまばアゴラ劇場

iaku「ハイツブリが飛ぶのを」@こまばアゴラ劇場

作:横山拓也 演出:上田一軒


越冬のためにこの場所に渡ってくるハイツブリ。次の冬まで体は持つだろうか。またハイツブリが飛ぶ姿を見ることができるだろうか。この避難所に建てられた無数の仮設住宅は、あの噴火ですべて廃屋と化し、もう私しか住んでいない。戻らない夫を待っている。段々、夫の顔が思い出せなくなってくるほどに、私は衰えている。そこに何人かの男がやってくる。被災者の想い出を絵にする絵描き。家族の遺体を捜す青年。そして、ついには私の夫だという男も現れた。人生の終焉、少し私の周りは賑やかになってきた。


iaku

劇作家・横山拓也による大阪発の演劇ユニット。アンタッチャブルな題材を小気味良い関西弁のセリフで描き、他人の議論・口論・口喧嘩を覗き見するような会話劇を発表している。ほとんどの作品で上田一軒氏を演出に迎え、関西の優れた俳優を作品ごとに招くスタイルで公演を行う。繰り返しの上演が望まれる作品づくり、また、大人の鑑賞に堪え得るエンタテインメントとしての作品づくりを意識して活動中。

出演

阪本麻紀(烏丸ストロークロック) 緒方晋(The Stone Age) 平林之英(sunday) 佐藤和駿(ドキドキぼーいず)

スタッフ

舞台監督:今井康平(CQ) 舞台美術:柴田隆弘
照明プラン:葛西健一 照明オペ:久津美太地(Baobab)
音響プラン:星野大輔(サウンドウィーズ) 音響オペ:櫻内憧海
演出助手:鎌江文子 衣装:植田昇明(kasane) 文芸協力:カトリヒデトシ
宣伝美術:下元浩人(EIGHTY ONE) 写真:堀川高志(kutowans studio)
宣伝ヘアメイク:由季 & 長田浩典(iroNic ediHt DESIGN ORCHESTRA)
制作協力(東京):佐藤美紘 宣伝:吉田プロモーション、制作:笠原希(iaku・ライトアイ)

 iakuは劇作家、横山拓也による演劇プロデュースユニット。大阪を拠点に公演ごとに俳優を募り横山作品を上演してきた。多くの作品で上田一軒が演出を務めてきた。
 今回の新作「ハイツブリが飛ぶのを」もそうした枠組みで上演。横山の作品は食肉処理場を舞台にした代表作である「エダニク」をはじめ社会的問題を取り扱ってきた作品が多かったのだが、大規模震災、相次ぐ火山噴火などで無政府状態になってしまった近未来の日本を舞台に孤立した仮設住宅に住む少人数の人物間の葛藤を描き出した。
 物語的に中心となっているのは仮設住宅にただひとり残されていた女(阪本麻紀)。女は外に出て行った夫であるアキラを待っていて、ある日ここにやってきた男(緒方晋)にアキラと呼び掛ける。男もそれに応じて2人はまるで夫婦であるかのようにここで暮らし始めるが、そこに謎の若い男がやってきたことで、男が実は別人で記憶障害の女に合わせて夫を装っているのだということが分かってくる。