下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

KARAS「インダストリアル ブック」(勅使川原三郎構成・振付・演出)@荻窪アパラタス

KARAS「インダストリアル ブック」(勅使川原三郎構成・振付・演出)@荻窪アパラタス


KARAS「インダストリアル ブック」(勅使川原三郎構成・振付・演出)@荻窪アパラタスを観劇。これまで見た勅使川原作品の中でも際立った出来栄え。精華ともいうべき作品であった。
まず卓越していたのは自らデザインした照明による空間構成を身体の配置、そのムーブメント、音楽的な構成要素との呼応(シンクロニシティ―)と組み合わせて構築された極度に洗練されたデザインワークであったことだ。ダンス作品としては勅使川原三郎のダンス作品の魅力はそのダンスムーブメントの他にはない特異性(ユニークネス)をまず挙げなければいけないが、それはただダンサーがそうした動きを体現するというのにとどまらず、アートパフォーマンスとしての完成度の高さを舞台空間全体のデザインを照明効果と舞台美術によって体現、全体の視覚効果の鮮やかさにほかのダンスアーティストとは一線を画した特徴があるといえるかもしれない。たいていの振付家、演出家はそれを照明家、舞台美術家、音楽家とのコラボレーションにより具現化するが、勅使川原の場合はそのすべてを自らがデザインすることでパッケージとしての完成度の高さを実現しているのが素晴らしい。
「インダストリアル ブック」の場合、暗闇の中に照明効果によって形成された複数の矩形の中をいずれも黒の衣装をまとった勅使川原三郎、佐東利穂子という鍛え抜かれた身体能力を持つパフォーマーが高速で移動、さらに舞台上に大きな姿見を置き、照明の塩梅により、そこに光が反射したり、ダンサーの踊る姿が映し出されたりと刻々と舞台の印象が変化していくという複雑な構成となっており、それが舞台音楽として絶えず流れ続けるクラシック系のピアノ音楽とそれに重なり合うようなノイズ音と重なり合うことで千変万化の変容を見せていくのである。


アップデイトダンスNo.118
新作「インダストリアル ブック」

演出・照明:勅使川原三郎
アーティスティックコラボレーター:佐東利穂子
出演:勅使川原三郎 佐東利穂子

揺れる 2026Ver.@シアターグリーン Box in Box Theater

揺れる 2026Ver.@シアターグリーン Box in Box Theater


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作  マリア・ミリサヴリエヴィッチ
訳  高橋 文子
演出  公家義徳
音楽  国広和毅
舞台美術  池田ともゆき
衣裳   稲村朋子
照明   真壁知恵子
音響   島猛
スライド・映像(演出助手)  彦坂紗里奈 林亜里子
舞台監督 篠原祐哉
宣伝美術 本多敬 
制作   小森明子 太田昭

キャスト
母 原口久美子
兵士(母の子供) 雨宮大夢 
語り 1 洪美玉
   2 浅井純彦
   3 奈須弘子
   4 永濱渉
母の子供たち  1 篠原祐哉    
        2 戸澤萌生
        3 篠澤寿樹
        4 山角愼之介 (客演)
        5 永野 愛理
        6 福井奏美
        7 細谷巧
        8 菊地柾宏
        9 竹内茉由架

2026.3.7-8 野火止RAUM
2026.3.10-15 シアターグリーン Box in Box Theater

第178夜しおこうじのお台場フォーク村「フォーク村 春の一大事」 Dear BEATLES勝手に後夜祭

第178夜しおこうじのお台場フォーク村「フォーク村 春の一大事」Dear BEATLES勝手に後夜祭


最近のフォーク村を見ていると以前と比べると格段に高品質の音楽番組になってきたなと感じることが多いのだが、この回はそれをいつも以上に感じさせた。アーティスト同士の共演がとてもよく、この日でいえば太陽とシスコムーンと2人のアーティスト(玉井詩織、柏木ひなた)との組み合わせがそれぞれに単独とは違う魅力を引き出した。
 特に「ROCK THE BOAT」玉井詩織×太陽とシスコムーン×ダウンタウンしおこうじバンドはももクロ楽曲でありながら、ももクロのそれとはまったく違う質感を浮かび上がらせて、楽曲の持つポテンシャルを見せてくれた。

M1「ROCK THE BOAT」玉井詩織×太陽とシスコムーン×ダウンタウンしおこうじバンド
M2「Magic of Love」太陽とシスコムーン×ダウンタウンしおこうじバンド
M3「Everyday Everywhere」太陽とシスコムーン×柏木ひなた×ダウンタウンしおこうじバンド

M4「BBB」柏木ひなた×ダウンタウンしおこうじバンド
M5「Alca」柏木ひなた×玉井詩織×ダウンタウンしおこうじバンド
M6「ONENESS」miwa×柏木ひなた×ダウンタウンしおこうじバンド
M7「片想い」miwa×愛佳×ダウンタウンしおこうじバンド
M8「桜みたいな恋なんだ」miwa×玉井詩織×ダウンタウンしおこうじバンド
M9「新谷さん、犬つれて」ジョニー大蔵大臣
M10「外山節」小湊姉弟(きょうだい)×宗本康兵
M11「ALGO」
M12「LOVE LIFE」伊豆田洋之×ダウンタウンしおこうじバンド
M13「No More Lonely Nights」伊豆田洋之(×坂崎幸之助×加藤いづみ)
M14「We Can Work It Out」伊豆田洋之×しおこうじ×ダウンタウンしおこうじバンド
M15「My Love」伊豆田洋之×しおこうじ×ダウンタウンしおこうじバンド
EC1「The Long and Winding Road」伊豆田洋之×坂崎幸之助
EC2「Hey Jude」伊豆田洋之×しおこうじ×ALL×ダウンタウンしおこうじバンド


しおこうじ
坂崎幸之助/玉井詩織

伊豆田洋之
太陽とシスコムーン
miwa
柏木ひなた

オープンマイク
ジョニー大蔵大臣
(水中、それは苦しい)



ダウンタウンしおこうじバンド
宗本康兵音楽監督
加藤いづみ/佐藤大剛/竹上良成/やまもとひかる//吉田太郎

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.fujitv.co.jp/FOLKMURA/setlist260310.pdf

MONO第53回公演『退屈忍者』@吉祥寺シアター

MONO第53回公演『退屈忍者』@吉祥寺シアター


MONO第53回公演『退屈忍者』@吉祥寺シアターを観劇。戦国の世が終わり、忍者が忍者としての役割を果たすことがなくなった後の忍者の里の物語。普通ではないちょっと変わった状況をコメディー色の強い物語へと落とし込んでいく作演出の土田英生の才気には特筆すべきものがある。とはいえ、それがドリフターズ的なコントにとどまらず、ある種一定以上のリアルを感じさせる世界として描き出されているのは金替康博、水沼 健、奥村泰彦ら土田英生の描き出す劇世界の世界観を共有する仲間たちが健在であるからだろう。
 MONOの作品ではいつもそうなのだが、世間から取り残され先の見えない忍者の世界を描き出すこの作品は実は劇団としてのMONOの現状を描き出した映し絵ともいえそう。 MONOは劇団という形でこれまで1989年の旗揚げ以来、37年続いてきた*1。それはまれなことであり素晴らしいことではあるのだが、この「劇団」という形式や「演劇」というジャンルがコスパ重視の現代の中で明らかに時代にそぐわぬものとなりつつあることは土田をはじめ、MONOのメンバーが一番ひしひしと感じており、だからこそ戯画化された自画像としてそうした状況を笑い飛ばそうと考えた作品のように私には思われてきたのだ。
 実は昨年、MONOの長年のメンバーであった尾方宣久が退団、俳優も引退するということがあり、パンフの冒頭の「ごあいさつ」で土田英生が「長年を共にしてきた仲間が一人MONOから離れました。このまま人混みの中で力を抜いてしまいたいとも思いました」と現在の心境を語っている。どこの劇団でも仲間の離脱は大きな出来事ではあるが、MONOの場合は土田がそれぞれの俳優に合わせて、役柄をあてがきしているという制作手法もあり、大きな影響があったのではないかと推察する。
 パンフでは続けて「やはり劇団で芝居を創ることは楽しい」と続けており、これは葛藤をへて劇団活動の継続を決めた心境の素直な表明とも受け取ることができる。とはいえ、現在の劇団の状況は確実に「退屈忍者」に反映されており、そこで浮かび上がってきたのが、世間から取り残され先の見えない忍者の世界ではないか。
 結局のところ、自らの運命に準ずるように最後を遂げていく、忍びたちの群像は最後には登場人物の多くが討ち死にしてしまうことから、悲劇と見ることもできるのだが、それをあえて笑い飛ばそうとしているところに演劇人としての土田の矜持を感じたのである。

作・演出土田英生 

出演金替康博 水沼 健 奥村泰彦 渡辺啓太 石丸奈菜美 高橋明日香 立川 茜 土田英生

あらすじ
時は江戸。
大名どうしの争いはなくなり、無用になったものたちがいた。
「忍び」……現在では忍者として語られる面々だ。山里に暮らす彼らの意見は割れる。
変化を受け入れるもの、過去の栄光にしがみつくもの。それは今の私たちの姿だ。

衰退していく忍びたちの群像が奇妙な恋愛話を中心に描かれる。
MONOの真骨頂、軽妙で滋味深い会話劇をお届けします。

コメント(作・演出:土田英生)
タイトルは「退屈忍者」。当時は忍者とは呼ばれていませんでしたが「忍びの者たち」の話です。先が見えない現代の私たちの姿を、江戸時代の忍びの者たちを題材に表現します。

この舞台では二つの話が並行して進みます。一つは不条理な恋愛ストーリー。仲間内での禁忌(忍びのルール)を破ってまで結ばれたのにも関わらずうまくいかない二人の話。もう一つはその仲間たちの日常。江戸時代になり仕事がなくなった忍びたちの話。目的を失った人たちのやるせない物語です。こうした彼らの姿を喜劇的に描き出します。

MONOでは今年、31年間メンバーだった尾方宣久さんが俳優を引退して劇団を抜けました。時には「団体芸」などと呼ばれるほどアンサンブルを大事に作品作りをしてきた私たちにとって、彼の喪失は大きな痛手でした。しかし前に進むことにしました。この私たちの決意も作品の裏地には縫い込むつもりです。劇団の代表作にするという固い決意で準備しているところです。

MONO

1989年に立命館大学に在籍していた土田英生を中心に、「B級プラクティス」として旗揚げ。
1990年以降の全作品の作・演出を代表の土田英生が務める。1991年にMONOに改名し現在にいたる。
2009年に文化庁芸術祭優秀賞を受賞、2017年に大阪文化祭賞優秀賞を受賞。2023年に第1回関西えんげき大賞最優秀作品賞を受賞。



MONO公式ホームページ(外部リンク)新しいウィンドウで開きます
開催期間
2026年2月27日(金曜日)から2026年3月8日(日曜日)まで

開催時間
 2月27日(金)19:00★
 2月28日(土)14:00
 3月1日(日)14:00
 3月2日(月)14:00
 3月3日(火)休演
 3月4日(水)19:00
 3月5日(木)14:00/19:00
 3月6日(金)19:00
 3月7日(土)13:00/18:00◎
 3月8日(日)14:00

 ※開場は開演の30分前、受付開始は1時間前より。
 ★初日割引
 ◎終演後、スタッフによる舞台ツアーあり(MONOウェブサイトより要申込)

ホエイ『メヤグダ』@シアター風姿花伝

ホエイ『メヤグダ』@シアター風姿花伝


ホエイ『メヤグダ』@シアター風姿花伝を観劇。表題の「メヤグダ」というのは津軽方言で原義は「迷惑だ」が変異した言葉だと思われるが、「迷惑だ」以外に感謝の言葉「ありがとう」などの意味としても多義的に使われるらしい。
舞台となっているのは東京在住の青森出身者が集う「つがるふるさと県人会」の事務所。ここを舞台に津軽方言と東京の言葉が行きかう現代口語の日常会話群像劇として展開される。山田百次はこれまでも津軽の言葉を有効な武器として活用してきたが、実はこれまでは例えば家族同士の濃密な会話を描き出した「ふすまととぐち」、農村部の主婦らの会話で構成された劇団野の上「 臭う女〜におうひと〜」など地元以外の人には正確には言葉の意味が聞き取れないような言葉をあえて使うことで、独特の空気感を作り出すような作劇が多かった。
しかし、今回の「メヤグダ」は舞台が東京ということもあって、津軽方言と東京の言葉が行きかう現代口語の日常会話群像劇となっており、これは出身劇団の作演出であった長谷川孝治が得意とする手法でもあり、東京に出てきてそこで暮らす青森人の故郷との微妙な距離感を描いた今回の作品の主題とも呼応するがゆえにこうした手法を取ったとも思われるが、「原点回帰」の意味合いも感じられた。
 舞台は最初、下手の椅子に座った三上晴佳演じる女性が携帯電話で誰かと話をしているところから始まるが、その言葉はかなり訛りの度合いが深くて、それは電話の相手がおそらく実家の青森にいる誰か(おそらく母親)で相手との関係性でそうなっているということが分かってくる。ただ、この作品では他にディープな津軽方言を話すのは山田百次が演じたここを訪ねて謎の男だけであり、その他の人物は東京で暮らす東北出身者のほとんどがそうであるように多少の訛りは残っているとしても基本的には東京の言葉を使うという状態が示されて、それが最初の携帯でのやりとりと対比されることで、現在の彼らと故郷との距離感が示されるのだ。

あらすじ
都内。
とある地下鉄駅13 番出口から徒歩5 分、
古びたビルの一室にある「つがるふるさと県人会」事務所。
そこは、故郷に帰れない、帰らない人たちが集う場所。
事務所に迷い込んだ一匹の猫。
そこに出入りするようになった一人の男。
どちらも、すこし「メヤグ」な存在だった。

作・演出
山田百次

キャスト
赤刎千久子 河村竜也 山田百次(以上、ホエイ)
東さわ子(劇団東演) 尾倉ケント 中田麦平(シンクロ少女) 羽場睦子 三上晴佳

会場
シアター風姿花伝
〒161-0032  東京都新宿区中落合2-1-10  Tel : 03-3954-3355

ダウ90000(蓮見翔脚本)「ロマンス」「第70回岸田國士戯曲賞」受賞 大石恵美「よだれ観覧車」も同時受賞

蓮見翔脚本、ダウ90000「ロマンス」が「第70回岸田國士戯曲賞」受賞 大石恵美「よだれ観覧車」も同時受賞

蓮見翔(ダウ90000)が脚本を担当した「ロマンス」が「第70回岸田國士戯曲賞」を受賞した。蓮見はコント作家、劇作家の二足のわらじで活動を続けてきたが、演劇分野での賞の受賞は初めてではないかと思う。こうした活動形態で演劇賞を受賞した作家としてはコントユニット「ラジカル・ガジベリビンバ・システム」の作演出を担当していた宮沢章夫*1の例もあったが、宮沢が逝去した後、ひさびさに出てきた笑いの演劇のスター候補でもあり、いろんな意味で注目の存在となりそうだ。
大石恵美「よだれ観覧車」も同時受賞となった。

オペラシアターこんにゃく座 オペラ『歌え!比羅夫丸』@吉祥寺シアター

オペラシアターこんにゃく座 オペラ『歌え!比羅夫丸』@吉祥寺シアター

スコットランドで建造され、1908年、本州と北海道を結ぶ青函航路にやってきた比羅夫丸と田村丸。明治から昭和にかけた激動の時代に“国を富ませ強からしめるため”と、人と物資を懸命に運んだ船たちは、やがて戦争の渦に巻き込まれていき……。日本の近現代史を、船たちの視線を借りて描きだす意欲作です。

作曲は信長貴富さん。オペラ『ルドルフとイッパイアッテナ』(2022)に続き、こんにゃく座への書き下ろしオペラ2作目となります。演出は、オペラ『森は生きている』(2021)、オペラ『遠野物語』(2019)などでご一緒してきた劇団俳優座の眞鍋卓嗣さんです。台本は、現役の高校教諭であり、高校演劇で活躍しつつ青森を拠点とする劇団【渡辺源四郎商店】「店主」の畑澤聖悟さん。同劇団が2022年に初演した「Auld Lang Syne」をオペラ台本に改訂し、この度、新しい船出となります。青函連絡船にちなみ、青森組と函館組、ダブルキャストでお届けします。どうぞご期待ください!


2025年11月

オペラシアターこんにゃく座


スタッフ
台本 畑澤聖悟
作曲 信長貴富
演出 眞鍋卓嗣
美術 伊藤雅子
衣裳 富永美夏
照明 田中祐太
振付 白神ももこ
映像 須藤崇規
ドラマターグ 工藤千夏
舞台監督 八木清市
音楽監督 萩京子
宣伝美術 画:尾崎仁美
デザイン:片山中藏

キャスト


青森組
 
函館組

比羅夫丸 ほか


​沖まどか
西田玲子

田村丸 ほか


入江茉奈
白石温

女神 ほか


​齊藤路都
​豊島理恵

車運丸 ほか


鈴木裕加
​青木美佐子

翔鳳丸 ほか


​佐藤敏之
沢井栄次

蛟龍丸 ほか


​金村慎太郎
​吉田進也

会下山丸 ほか


​中村響
泉篤史


弘済丸 ほか


​島田大翼
​北野雄一郎


ピアノ
榊原紀保子
入川舜
(2/8,10,11昼,12,14昼,16夜,17)
(2/9,11夜,13,14夜,15,16昼,18)

台本 畑澤聖悟
作曲 信長貴富
演出 眞鍋卓嗣
美術 伊藤雅子
衣裳 富永美夏
照明 田中祐太
振付 白神ももこ
映像 須藤崇規
ドラマターグ 工藤千夏
舞台監督 八木清市
音楽監督 萩京子
宣伝美術 画:尾崎仁美
デザイン:片山中藏

FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS 幻影戦争 THE STAGE@池袋サンシャイン劇場

FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS 幻影戦争 THE STAGE@池袋サンシャイン劇場

 実は原作に当たるゲーム「FINAL FANTASY」のキャラクター、物語などの詳し設定を知らない。AMEFURASSHIの鈴木萌花スターダストプロモーションのアイドル、俳優が出ているというだけで前作も見ていないのに見に行ったために物語の複雑な流れが分からず、物語設定上にどういう勢力があり、誰が誰と戦っているのかさえ、把握できないままに舞台の途中まで進んでしまった。こういうのは「1」「2」や原作小説を読むことなく、映画「指輪物語3」を見に行って世界設定が分からずに当惑した時と同じぐらいに「もう少し予習しておけばよかった」と後悔した。
 作品としては劇中に剣による戦闘シーンが数多く出てくるいわばバトルアクションで、そういうシーンのレベルはかなり高い。具現化された想いを使役し戦わせることのできる力であるビジョンという一種の「魔法」を駆使して戦うバトルも随所にあり、これは俳優のアクションと舞台背後に映像で映し出される映像と音響エフェクトで表現されたが、それらがかなり巧みに駆使されていて、迫力を感じた。

  • あらすじ-

列強に囲まれしリオニスは小国ながらも、一目を置かれる存在であり続けていた。
その理由は、「翼ある者」に授けられた「指輪」にある。


ビジョン── すなわち具現化された想いを使役し戦わせることのできる力は、それほどまでに各国にとって脅威だったのだ。


だが、幾重にも交錯する残酷な運命は絆や愛、そして友情までをも静かに蝕んでゆく。


リオニスに生まれた双子の王子、モントとシュテルとて例外ではなかった。
彼らの確執は、長きに渡る幻影戦争の戦端を開くこととなるのであった。


群雄割拠するこの地でまばゆき光をたたえたクリスタルは果たして誰に微笑もうというのか。
■出演

吉田仁人(M!LK)
武藤 潤(原因は自分にある。) 川上千尋NMB48
赤井沙希 清井咲希 浦野秀太(OWV)  桜庭大翔
石坂 勇
レイザーラモンHG 姜 暢雄
鈴木紗理奈 前川泰之



奥平祐介 加納義広 工藤翔馬 熊倉 功 澤田圭佑 下尾浩章 中野貴文  横田 遼



■スタッフ

原作:FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS 幻影戦争(スクウェア・エニックス
音楽:上松範康Elements Garden



脚本・演出:松多壱岱(ILCA)



■主催

エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ



■企画・制作

エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ / ILCA



■企画協力
スクウェア・エニックス

「赤い余白/Crimson Void 」@第74回 東京藝術大学 卒業・修了作品展

「赤い余白/Crimson Void 」@第74回 東京藝術大学 卒業・修了作品展


www.instagram.com

  「赤い余白/Crimson Void 」@第74回 東京藝術大学 卒業・修了作品展を観劇。やはり藝大生の劇団身体ゲンゴロウが卒業制作として作った野外劇場でのダンス公演。東京藝大には同劇団の公演招待を受け、出かけたが、その公演直後にこの作品も上演されることを知り見ることにした。
 演出・構成・振付を岡田結実(おかだゆみ)を舞台美術・衣装・メイクを呉詩瑶を担当。岡田はダンサーとしても活動しているようだが、全体の演出・構成を手掛けているためにこの作品では踊らず、先輩にあたるらしい大西優里亜 ・岸本茉夕がこの日は踊った。
 ダンス作品ではあるが、女性の妊娠、出産、流産などをモチーフに複数の女性へのインタビューにより構成したらしい言語テキストが音楽とともに流される。筋立てはないが、ダンスムーブメントを主体に構築された作品というより、アクティングエリアの背後に設営された巨大な卵を思わせるオブジェや白い衣装を途中で着たり脱いだりすることでビジュアルによるイメージや妊娠、出産、流産など女性に起こりうる様々な出来事をモチーフとして連想させるという美術的パフォーマンスやインスタレーション的な要素を含むものとなっていた。
 振付コンペなどで見る女性の振付家は本人がダンサーで自ら踊って自分のことを表現することが多いので、こうしたアプローチのものは珍しく、興味深く思った。
 今回はこうした野外舞台での作品であったが、ギャラリーなどでのインスタレーション的作品の上演やオブジェなど美術的な要素を持ち込んだカフェ公演なども見てみたいと思わされた。

日程|2026.1/28~2/1
1/28(水) 11:00/12:30
1/29(木) 15:00/16:30
1/30(金) 11:00/16:30
1/31(土) 10:30/15:00
2/1(日) 13:00/16:30

*上演時間 約30分
*自由席・立ち見あり
*開場は開演10分前を予定
*日中と夕方では照明の演出が異なります

会場|東京藝術大学上野キャンパス グラウンド
〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8

演出・構成・振付|岡田結実(おかだゆみ)
舞台美術・衣装・メイク|呉詩瑶 @five.forone
出演|
1/28.1/29
大西優里亜 @yuria_glily ・岸本茉夕 @kpyy_________0.7
1/30.1/31.2/1
さとうまゆ @maako.jp ・安井美沙 @yasui___misa
サウンドデザイン|
Kani Ningen @kani_ningen_ ・岡田結実(おかだゆみ)
照明協力|男山愛弓 @ayu_bwk_07
ビジュアルデザイン|呉詩瑶

Special Thanks インタビューにご協力いただいた皆さま

                                    • -

第74回 東京藝術大学 卒業・修了作品展
2026年1月28日(水) - 2月1日(日)
※1月31日(土)、2月1日(日) の2日間はオンライン事前予約制
午前9時30分 - 午後5時30分(入館は午後5時まで)
入場無料

第74回 東京藝術大学 卒業・修了作品展テント演劇(劇団身体ゲンゴロウ)B1F52LLLLLLLLLLLLLDDDDDDDDDDDDKKKKKKKKKKKKK「 無数に産まれたぼくたちは」@東京藝術大学上野キャンパス内テント

第74回 東京藝術大学 卒業・修了作品展テント演劇(劇団身体ゲンゴロウ)B1F52LLLLLLLLLLLLLDDDDDDDDDDDDKKKKKKKKKKKKK「無数に産まれたぼくたちは」@東京藝術大学上野キャンパス内テント

劇団身体ゲンゴロウの武田朋也、菅井啓汰による東京藝術大学卒業制作B1F52LLLLLLLLLLLLLDDDDDDDDDDDDKKKKKKKKKKKKK「無数に産まれたぼくたちは」を観劇。アリの世界を滅びゆく人類のメタファーとして描いた作品。演劇作品とテント劇場の双方を卒業制作作品として制作した。どうやら、5月にはこのテントを使用しての新作も予定しているようで、卒業制作という機会をとらえて、演劇が上演可能なテント劇場自体を作ってしまおうという発想が面白い。
 アリの世界と書いたが、生物としてのアリの生態をリアルに描写するというよりは寓話的な仕立てになっている。生物進化の描写としては羽根を捨てた蜂がアリになったというような説明は明らかに誤りであり理系出身の身としてはこういう部分はどうしても気になってしまった*1のだが作品としての設えは人間がアリを演じることで、それがそのまま現代の人間世界への風刺的な表現になっているため、そういう生物学的なディティールにはあまりこだわっていないのかもしれない。上演時間が30分ということもあり、テントの閉じられた空間が作品の最後に開け放たれるということと、巣の中のアリたち(これには観客も含まれる)が外に出ていくことになるという空間構造が二重重ねになりある種のメタファーとして機能するというのが作品の狙いなのだろうと思った。

■ あらすじ
羽根を失った雄蜂が、蟻の巣へ転がり込んだ。

君たちは卵だ。
ブランケットにくるまれ、殻の中で世界の匂いを嗅ぐ。
そこで君たちは目撃する
――働きアリたちが、何の迷いもなく、雄を産んだ英雄の腹を噛みちぎる瞬間を。

「雄は要らない」。そう言って、卵を次々と割る。感情はない。ただプログラムがある。
傷ついた仲間を撫で、餌を運び、死ぬべき者を殺す。迷いなく。

「私たちは優しくなるために機械になった」

遥か一億年前、羽根のない蜂が地面を掘り、互いを撫で合って生き延びた記憶。
小さくなるために感情を捨て、愛をプログラムに変えた。
一匹では何者でもない。巣として初めて、彼らは愛になる。

やがて巨大な足音が迫る。外から。テントの外から。
滅びのプログラムはもはや止められない。

地べたを這う雄蜂は、もげた羽根を震わせながら叫ぶ――
――「俺はやさしさ。俺は機械。その歯車」

■ 客席と舞台の境界がない自作テントで上演
本公演は、自作したテントの中で行われます。テントは上から見ると六角形で、観客は中心を囲むように座ります。どこからでも出入りできるオープンステージなので、役者も観客も自由に動けます。開演すると幕が閉じ、テント内が暗くなります。そこで明かされるのは、ここが「アリの巣」だということ。観客も役者も、同じ巣にいる「働きアリ」として物語が始まります。客席も舞台の一部になるのです。

テントの外から聞こえる騒音は、巣を攻める敵の脅威になります。テント内の寒さは、アリたちを弱らせる環境になります。現実の音や温度が、そのまま演劇の一部となるのです。

「外に強敵がいて、閉じこもるしかない」――これは人間が古くから抱いてきた根源的な恐怖です。舞台と客席が一体となり、演者と観客が同じ状況を共有する中で、やがて巣が崩壊していく様を描きます。


■ 武田朋也コメント

武田朋也
「武田の中学の恋バナ聞かせてよ」

これがすべての始まりだった。

2020年のコロナ禍。音響スタッフとして呼ばれたはずの公演のZoomミーティング。PCの前で一人、わけもわからず私はその詳細を語り尽くした。

翌日、稽古場にいくと私の恋バナが戯曲になっていて、なぜか主演になっていた。そして最悪なことに、当時その恋はまだ進行形だった。

血迷った私は、その公演に片想いの女の子を呼んでしまった。完全にホラーだ。呼ばれた彼女の困惑は計り知れない。

どれもこれも演劇のせいだし、菅井のせいだ。

そんな演劇に大学生活7年を注ぎ、菅井とタッグを組んできたのは誰か。その集大成が、「蟻の話をテントでやる」とは何事か。

とんでもない世界に迷い込んでしまった。
もはや私の責任だ。渾身の一撃、かまします。

プロフィール
1999年生まれ。静岡県富士市出身。
演劇作家(脚本、演出、舞台美術、音響、役者)、現代美術作家。都内を中心に演劇活動、現代美術との横断的な創作を軸にしている。「劇団身体ゲンゴロウ」所属、演劇ユニット「様相」メンバー。東京藝術大学 美術学部 先端芸術表現科卒業。現在、同大学院に在籍中。

■ 菅井啓汰コメント

菅井啓汰
何かを成し遂げなければ、人生は無意味。
そう思い込んでいた時期が、誰にでも一度はあるはず。私は辛うじて今もですよ。

本芝居は、人が身体を使って本気で蟻を演じます。そりゃもう、それなりに滑稽です。演出に、動きが蟻っぽくないって言われます。感情の出し方が蟻っぽくないって。

蟻っぽいってなんだよ。行進すればいいの? 感情を感じる頭もないらしいけど。今日も黙々と働いて、気づけばいなくなる。目立たないし、名前も残らないし、たぶん誰にも感謝されません。

一匹の蟻の人生に、意味はあるのか。その問いを舞台上で追いかけているうちに、気づけば、「自分の人生は何に支えられてきたのか」という問いにすり替わっていきます。

1億年を超えて種を残すために機械となった蟻。その生は残酷で、美しくも見えてきます。

テントという巣に入れば、あなたも蟻の一匹です。
セリフはありません。
ノルマもありません。
それなのに、なぜか少し疲れます。
たぶん、ちゃんと生きているからです。

プロフィール
大学の身体言語論という授業で演劇にハマってから、劇団身体ゲンゴロウを立ち上げました。脚本、演出を中心に色々と公演をやらせてもらっています。大学というよりは、稽古が始まると稽古場に、始まる前はマクドナルドにいます。本の〆切前のたび、マクドナルド前の電柱に泣きついているのが私です。

2025年の主な公演
劇団身体ゲンゴロウ「ジャンク・チャック・ハック」(千本桜ホール 作・演出)
音楽朗読劇「クニゲイ」(狛江エコルマホール 脚本)
声優朗読劇「新・南総里見八犬伝 笑わないお姫様」(千葉県南総文化ホール 作・演出) など
■ 公演について考えていること
アリを通して、現代社会を照射する
あらゆる分断が可視化された現代において、私たちは共同体を作りたいと考えています。

アリは世代間の分断が強い生物です。働きアリは全員、女王アリの子供です。そして高齢になるほど、巣の外での食料調達や戦闘など、死ぬ危険が高い役割を担います。つまり、高齢のアリから自然に間引かれていくのです。

劇中では、「どのアリが巣の外に出るか」など、アリの生態をなぞった話題が展開されます。しかし人間がアリを演じることで、世代間の格差や高齢者への偏見といった、現代社会の分断の問題が重なって見えてきます。

これまで当劇団は、理想の共同体とその崩壊をテーマに演劇を作ってきました。今回はアリを通して、現代に結びつく共同体のあり方を考えます。

最後に観客がテントを出て帰る瞬間。それは「居たかった共同体から出なくてはいけない」という体験になります。そのカタルシスを作り出せたら、この公演は成功だと思っています。

疑似的に古代アテナイを作り出す
かつての古代ギリシアでは、民主制とともに演劇が生まれ、市民が多く参加しました。コミュニティが集まり、その共同体の物語を語る場として、都市のど真ん中に劇場がありました。コロスは一般市民が演じていたという研究もあります。

演劇がショーアップされ、都市の中心に劇場がない現代でどう劇場に共同体をつくるか――テントに入って幕が下りた時、今・ここでという限定のもとで、疑似的あるいは緩やかな連帯を作り出すことを目的にしています。

*1:説明の仕方としては違和感がなくもないが、蜂の一種がアリに進化したというの正しかったようだ。ここは私の完全な勘違い。