下北沢通信

中西理の下北沢通信

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第64回岸田國士戯曲賞最終候補8作品決定  宮沢章夫氏は選考委員外れる

第64回岸田國士戯曲賞最終候補作品決定

 岸田國士戯曲賞の最終候補8作品が発表された。焦点はすでに鶴屋南北戯曲賞を受賞している谷賢一のダブル受賞がなるかどうかだが、これはよほどのことがなければ受賞はほぼ確実だと思われる。
 キタモトマサヤ『空のトリカゴ』、ごまのはえチェーホフも鳥の名前』と関西勢からベテランともいえる二人が選ばれたのは嬉しいことだが、それよりも意外なのはiaku(イアク)の横山拓也が選をはずれたこと。とは言え、例え候補に入っても今年は谷との同時受賞は考えにくい。同時受賞の可能性があるとすればこのところ毎年のように受賞が期待されている女性作家。市原佐都子あたりが有力か。最近注目している西尾佳織、根本宗子も応援したいが、予想としては今年は谷が抜群なるがゆえに単独での受賞の可能性が高いと思う。
 選考委員でこのところ毎年入っていた宮沢章夫氏が入っていないことに対してはなんのステーツメントもないが、とりざたされていた早稲田大学でのパワハラ事件が関係しているのは間違いなさそうだ。ただ、本人が辞退した場合に白水社側が「一身上の都合により」以上の理由を提示することは難しく、岸田國士戯曲賞でのこの問題についてはおそらくこれで決着ということになりそう。
 とはいえ、こちらがこういう形で決着したことでネット上で並列で取り上げられていた地点、三浦基氏のロームシアター館長就任の人事案件の方も問題についてただスルーして知らぬ存ぜぬでは済まないことになりそう。どうなるだろうか。

 第64回岸田國士戯曲賞白水社主催)の選考会が2020年2月13日・木曜日、午後5時より、東京神保町・學士會館にて行なわれます。
 選考委員は岩松了岡田利規ケラリーノ・サンドロヴィッチ野田秀樹平田オリザ柳美里の各氏(五十音順、敬称略)です。
 本年度の最終候補作品は下記の8作品となっております。

株式会社 白水社

第64回岸田國士戯曲賞最終候補作品一覧(作者五十音順、敬称略)

市原佐都子『バッコスの信女 ― ホルスタインの雌』(上演台本)
岩崎う大『GOOD PETS FOR THE GOD』(上演台本)
キタモトマサヤ『空のトリカゴ』(上演台本)
ごまのはえチェーホフも鳥の名前』(上演台本)
谷賢一『福島三部作 1961年:夜に昇る太陽/
          1986年:メビウスの輪
          2011年:語られたがる言葉たち』(上演台本)
西尾佳織『終わりにする、一人と一人が丘』(上演台本)
根本宗子『クラッシャー女中』(上演台本)
山田由梨『ミクスチュア』(上演台本)

候補者紹介 (五十音順、敬称略)