下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

ももいろクローバーZ「5th ALBUM『MOMOIRO CLOVER Z』SHOW at 東京キネマ倶楽部」(2回目考察)@ストリーミング配信

ももいろクローバーZ「5th ALBUM『MOMOIRO CLOVER Z』SHOW at 東京キネマ倶楽部」(2回目考察)@ストリーミング配信

2019年5月16日(木)東京都 東京キネマ倶楽部
2019年5月17日(金)東京都 東京キネマ倶楽部

「MOMOIRO CLOVER Z」
1. ロードショー
2. The Diamond Four(作詞・作曲・編曲:invisible manners)
3. GODSPEED
4. あんた飛ばしすぎ!!
5. 魂のたべもの
6. Re:Story
7. リバイバル
8. 華麗なる復讐
9. MORE WE DO!
10. レディ・メイ
11. Sweet Wanderer
12. 天国のでたらめ
13. The Show
(アンコール)
Bounus. ももクロの令和ニッポン万歳!

  前回は今回のパフォーマンスの概観を解説するにとどまったが、その後何度かライブ配信を見直し、その中で見えてきたものについてもう一度語ることにしたいと思う。まずアルバム「MOMOIRO CLOVER Z」が表題をグループ名にしているようにこのアルバム、そして東京キネマ倶楽部のパフォーマンスはももクロのこれまで過去・現在・未来が散りばめられたものになっている。それは間違いのないところであろう。もっとも、「5THE dimenntion」ツアーにせよ、映画・舞台の「幕が上がる」にせよ、ミュージカル「ドゥユ・ワナ・ダンス」にせよももクロのパフォーマンスの特徴はいつでもそこで描かれている舞台(映画)で展開される物語とももいろクローバーZというより大きな物語が重なり合って二重構造に見えてくるという基本的構造である。こうした自己言及的なメタ構造を持っているということはこれまでも今回も共通しているとはいえる。
 それなら特に今回について強調すべき特徴は何だろうか。それは「大人になったももクロ」ということではないか。 東京キネマ倶楽部ライブが際どい表現を含むショー仕立てになっているのはその大人感を存分に表現したかったからといえよう。前回の考察でこのライブを、「5THE dimenntion」ツアーの後継と位置づけたが、実は今回のライブに直接つながる重要なライブがもうひとつある。それはSSAで上演された「ももいろクリスマス2014 さいたまスーパーアリーナ大会 ~Shining Snow Story~」である。

特報「ももいろクリスマス2014 さいたまスーパーアリーナ大会 ~Shining Snow Story~」
 この年のももクリはそれまでにないような壮大な物語仕立てで冒頭で黄帝心仙人率いるダンス集団によるロボットマイムを登場させて、笑顔のないロボットが笑顔を獲得するという筋立てを演じたのだった。ただ、ライブ全体としては社交ダンスグループのダンスや田中将投手のゲスト出演などそれ以外のさまざまな要素も多くて、クリスマスライブ特有の縛りもあり狙っていたような本格的な音楽劇仕立てにはならなかった。
 実は今回ダンスの振り付けを担当したavecooはストリートダンスの振付コンテストのLegend Tokyo(レジェンド トウキョウ)(2014年7月開催)で準優秀作品賞を受賞しているが、この同じコンテストで黄帝心仙人もその2年前に審査員賞を受賞している。だから、こうしたショー系の振付家を外部招聘するのはももクロ陣営としてまったく初めてでもなかった。
 それを考えてももクリの衣装を見てみると実は今回の衣装とも多少の共通点はあるのが分かる。もっとも、映像を見てみればすぐに分かるけれど、2014年(つまり5年前)のももクロはまるで一張羅を無理やり着せられた子供みたいであり、本格的なミュージカルショーなどは難しかったし、今回はももクロ陣営にとっては大人になったももクロを擁してのリベンジの意味もあったのではないかと思うのである。
 さて、それでは実際のショーはどのようなものか。1. ロードショーから5. 魂のたべものまでがひとつのブロックになっていて6. Re:Storyから13. The Showまでがもうひとつのブロック。全体として二部構成になっているのはアルバム、ライブの考察で各方面から指摘されていることだが、これはそのとおりであろう。特にライブでは「あんた飛ばしすぎ」の最後に銃弾に見立てられたような多量の紅白の色合いの紙ふぶきが降りかかってきて*1、「魂のたべもの」では十字架に架けられた4人が皆、死んでしまったというような体で終わる。この後、つなぎのような場面として「Re:Story」があり、「死からの再生」をイメージさせるのが「リバイバル」。最初の方に出てくる4人のメンバーカラーのドラァグクイーンが「過去のももクロ」あるいは「ももクロの過去」だという解釈はネット上の考察などでも散見されたがそう考えて見直してみるとなかなか説得力がある考え方だと思う。全体としてもこのアルバムは「過去のももクロの死」とその「死からの再生」を表現しているのはほぼ間違いない。
 そして、「死から再生」したももクロの「現在から未来」を象徴するようにロックオペラ仕立ての「 華麗なる復讐」、高城れにの超ハイトーンが炸裂する「MORE WE DO!」、今までにない低音域で大人を強調する「 レディ・メイ」とこれまでの歌唱法では表現が困難な曲が続く。最後に 「天国のでたらめ」が来て、輪廻転生があっても永遠に続くももクロとモノノフの関係を歌い上げてショーのエンディングでもある「The Show」に向かうのだ。

《Full ver.》ももいろクローバーZ / 『The Show』MUSIC VIDEO from「MOMOIRO CLOVER Z」

simokitazawa.hatenablog.com

https://www.momoirocloverz-show.com/www.momoirocloverz-show.com

*1:これを紅白落選を意味すると解釈しているモノノフもいて、個人的には色彩的な効果からこうしたのでそこまでの深い意味はないだろうと思うが、こうした深読みを楽しめるのもももクロの魅力だろう