下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

「sun. contact展 テンカイする時間」

「sun. contact展 テンカイする時間」shin-bi)を見る。

コンタクト展は京都精華大学の卒業生からshin-biの目を通してセレクトした展覧会です。こんかいは「テンカイする時間」というテーマで3組の作家が展示をおこないます。「テンカイ」は「展開」と「転回」を意味し、時間の扱い方についてそれぞれの作家が掘り下げます。
作家
rewall(映像)*1
小出麻代(ミクスドメディア)
田中洋喜(洋画)

 いずれも京都精華大学の卒業生である若いアーティストらによる作品ということだが、この中ではrewallの映像作品が面白かった。公式サイトの説明などによると6人の若い映像作家らによるプロデュースユニットのようなのだが、そのせいかセンスなどにはある一定の方向性を感じさせるところがあるものの、ここで展示された作品をとってみても作風的にはバラエティーに富んでいて、多様性が感じられる。特に面白いと思ったのは2つの映像を組み合わせてひとりの若い男が街中の公園や街路を移動していくのを描いた作品。映像自体は本当にさりげなくて一見どうってことのないものにも思われる。ひとりの若い男が公園の砂場で土いじりをしたり、道端でなにか小銭のようなものを拾ったりするところを淡々と追った2つの映像が組み合わさっているだけだからだ。
 ところが面白いのは2つの映像はひとつは普通の映画やビデオ映像のように動き回る男の姿を背後から追っているのに対し、もうひとつの映像はその男の目線に近いような位置から男の足元を捉えたもの(カメラアイ)となっていて、展示ではこの2つの映像が最初の方は壁に沿って平行にもうひとつの足元の映像モニターはそれとは直角に設置されて、作品を見る人はその2つを同時に見ることになる。そしてその結果どうなるかというと男の背後からの映像に対して、同時に男の視線に近い映像がコラージュされることで自分自身がその男になったような臨場感を感じさせられたのだ。
 その男の背後から男を捉えるカメラにはもうひとつのカメラは写っていないので、これは記録映像(ドキュメント)風に見えてもそうではなく、細かい計算のもとに演出してとったものなんだというのがわかってくるが、面白いのはそういう風にとっているためにふたつの映像における男の動きは同じではなくてタイミングなどが微妙にずれたりもしているのだが、それもまた微妙に不思議な効果を醸し出しているのが面白かった。
 少し驚いたのはダンサー(と思われる)黒い衣装の女性の足元を撮り続けている作品があって、顔がなかなか映らないのでじっと目を凝らしているとこれが昨日アートシアターdBで見たばかりの双子の未亡人の2人(佐伯有香、荻野ちよ)なのであった。そう思って表題を再確認してみるとその一部にTWIN WIDOWとあったのだけれど、先入観というのは恐ろしいもので完全に「TWIN WINDOW」(ふたつの窓)と誤読していたのであった。