下北沢通信

中西理の下北沢通信

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無隣館若手自主企画 vol.26 中村企画「せかいのはじめ」(Aチーム)@小竹向原アトリエ春風舎

無隣館若手自主企画 vol.26 中村企画「せかいのはじめ」(Aチーム)@小竹向原アトリエ春風舎

脚本:中村奏太(無隣館)
演出:山内晶(青年団)、木村恵美子、中村奏太、平田知之(以上、無隣館)


せかいのはじめ、そこにはなにもなかった。
俳優という身体が舞台という空間に飛び込んだとき、そこにひとつの世界が作り上げられる。
きっとわたしじゃなくてもよかった。でも、この世界にはわたしが立っていて、あなたが見ている。

はじめという子は、胎内で死んだ兄の生まれ変わりとして名付けられた。
それならわたしはいつからはじまったんだろう。
生まれるのはわたしじゃなくてもよかったんじゃないか。
それでもわたしが生まれて、こう考えるわたしがいて、世界はここにある。
はじまりとおわりをめぐる、世界と人生と演劇のはなし。

本公演では、「せかいのはじめ」という一本の一人芝居の戯曲を、四人の演出家・俳優によって上演します。
一つのステージにつき、連続して二組の上演があります。

組み合わせはこちら。

A
①演出:中村奏太 俳優:井上みなみ
②演出:平田知之 俳優:山田舜

B
①演出:木村恵美子 俳優:外桂士朗
②演出:山内晶 俳優:石渡愛

脚本家中村自身の演出によってストレートに表現するほか、

青年団・無隣館の中から、「せかいのはじめ」に新たな価値を創出してくれそうな3名の演出家を招きました。

テキストの改編は自由。それぞれの視点によって、新たなせかいを立ち上げます。

2018年2月上演時の台本を公開中。


『せかいのはじめ』台本公開



中村奏太(無隣館三期・アルココチ)

プロデューサー。1994年3月生まれ。大阪出身。

観劇を趣味とし、年間200本~300本程度観劇をする。2018年度こまばアゴラ劇場支援会員・花まる学習会王子小劇場ユース会員・文学座支持会員。

2017年、制作者を志し無隣館に所属。第4回大阪短編学生演劇祭にて「せかいのはじめ」(団体:元気の極み)の作・演出を担当し、最優秀賞を受賞。2018年、プロデューサーとして劇作家女子会。とコラボし、高校演劇マルシェを開催。演劇ユニット・モメラスの公演の制作を担当。

本企画以降は、関西の劇作家の作品を東京の演出家に演出してもらう企画や、特定の作家のTRIBUTE企画等を構想している。

出演

井上みなみ(青年団)、石渡愛、外桂士朗(以上、無隣館)、山田舜也(東大スタタリング/オーバートーン)

スタッフ

演出協力:三浦雨林(青年団
演出補佐:升味加耀(無隣館)
照明:井坂浩(青年団
音響:櫻内憧海(無隣館/お布団)
音響操作:小林遥(裏方集団Stage Line)
映像美術:柳生二千翔(青年団/女の子には内緒)
舞台監督:島田曜蔵(青年団
宣伝美術:片山裕子(劇団夜光鯨)
制作:神戸みなみ、鴨居千奈(以上、無隣館)
制作補佐:山守凌平(青年団
総合プロデューサー:平田オリザ
技術協力:大池容子(アゴラ企画)
制作協力:木元太郎(アゴラ企画)

日時

2018年12月22日[土] - 2018年12月30日[日]


2 作品連続上演

A:中村奏太・井上みなみ、平田知之・山田舜

B:木村恵美子・外桂士朗、山内 晶・石渡 愛

 「せかいのはじめ」という同一のテキスト(一人芝居向け)を4人の演出家、4人の俳優が競演するという企画だが、この枠組みがなかなか刺激的なものであった。
 この公演はなんといっても「せかいのはじめ」というテキストがきわめてユニークなもので、ひとり芝居と言っても通常の演劇のような会話体ではなく、この世界はそしてそこに生きている私はどのように生まれ、存在し、消えていくのかという世界の構造自体をテキスト化したもの。戯曲というよりはこの舞台の骨組みだけを提示した設定図というような色合いが強いかもしれない。
 それゆえ、参加する演出家、出演者はそれぞれ戯曲も演出プランも自由に改変することが可能だ。4公演を通してみたが、井上みなみ×中村奏太による上演が素晴らしかった。この戯曲の特徴は原作戯曲に物語のようなエピソードがほとんどなく、ほぼすべて我々のいる「この世界とはなにか」「この世界はどのようにはじまったのか」「私はどのようにはじまった」のかなどという通常演劇にするのが困難な哲学的な問いから出来ていることだ。