振付:アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル
音楽:スティーヴ・ライヒ「18人の音楽家のための音楽」(1976)
美術・照明:ヤン・ヴェルスウェイヴェルト 衣装:ドリス・ヴァン・ノッテン
制作助手:アンヌ・ヴァン・アースコット 技術:ヨリス・エルヴィンほか
音楽解析:ジョルジュ・エリ・オクトール
製作:ローザス、王立モネ劇場 共同製作:パリ王立劇場
主催:(財)埼玉県芸術文化振興財団 後援:ベルギー大使館、ベルギーフランドル
交流センター 製作協力:カンバセーション
さいたま芸術劇場で見た「ワンス」もよかったが、これもよかった。
ただ、作品としての質は全く異なりむしろ対照的といってもいいかもしれない。ジョーン・バエズのコンサートライブアルバムを音源に使ってケースマイケルがソロで踊った「ワンス」はダンスという枠組みにとどまらない舞台であったからだ。これは「ワンス」がソロであるということにも深い関係があるのだが、そこで我々が目撃したのはダンスそのものというよりはダンスを通じてのケースマイケルの生きざまであった。そして、その生きざまは作品を通じて30年近い時を越えてバエズの生きざまとも呼応していく。昨年初演されたこの作品はかなりの程度にポスト「9・11」の政治的な状況を背景に生まれたことは間違いないし、舞台背景に流れる第1次世界大戦の戦場の映像を使うなどあざといともいえる素材で作品つくりをしてはいるが、それでもケースマイケルの珍しい熱さにほだされてついほろりと来てしまったのである。
一方、「レイン」はダンスとしての構成・演出の精緻な完成度の高さを感じさせる舞台であった。こちらの音楽はスティーブ・ライヒの「18人の音楽家のための音楽」。