下北沢通信

中西理の下北沢通信

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じゅんじゅんSCIENCEダンス公演「街角」@BUoY北千住アートセンター

じゅんじゅんSCIENCEダンス公演「街角」@BUoY北千住アートセンター

演出・振付:高橋淳

音楽:山中透

出演:金森温代 小山柚香 長屋耕太 久井麻世 三橋俊平 森川弘和

■会場
BUoY北千住アートセンター (東京都足立区千住仲町49-11)   

buoy.or.jp

東京メトロ千代田線・日比谷線/JR常磐線/東武スカイツリーライン

「北千住」駅出口1より徒歩6分、西口より徒歩8分

京成本線千住大橋」駅より徒歩7分

じゅんじゅんSCIENCEダンス公演「街角」は昨年こまばアゴラ劇場で見てはいるのだが、今回は約1年ぶりの再演である。とはいえ、今回は音楽を初演とは変えて山中透が担当しキャストにMonochrome circus出身で高橋淳、小野寺修二作品には常連の森川弘和も加わったこともあり、かなり印象の異なる作品に仕上がった。
こまばアゴラ劇場で見た時には端正なダンスアンサンブルという風に見えた。今回もタイトな振り付けは変わらないもののダンサー個々の表情の表し方がより露わになってその分それぞれの個別の魅力が際立って感じられた。
「街角」という主題に対して作品がより深掘りされた印象が強まったことについては街角の環境音などを多く、落とし込んだ山中透の音楽が今回から新たに付け加えられており、これがうまく嵌まっていたのではないか。途中で2カ所ほど挿入されたポピュラー音楽(1曲は「MY WAY」だった)も観客の作品への親密性を高めるのに効果的だったのではないか。
出演者では全員が前回公演と比べるとそれぞれの個性を発揮していて個々の魅力がよく出ていた。中でも今回新たにキャストに加わった金森温代と引き続き出演の久井麻世。この2人が表情豊かで作品全体を引っ張った。のっぽでスキニーな金森とチビの久井。体格も見掛けのキャラも対照的なので対比がいい効果を生んでいたと思う。
もちろん、森下弘和はよかった。前半のアンサンブルに入るところでは悪目立ちしないように抑えていたが、やはり彼が入ると技術は確かだから群像での動きにも芯というか厚みができる。後半の男性ダンサー2人のやりとりでは驚異的な身体能力の片鱗を見せた。ただ、圧倒に面白かったのは押しくら饅頭のようになる場面。いきなり、他のダンサーに全体重を掛けてよりかかるようにするのだが、押されたダンサーが本当に嫌がっているみたいなので、聞いてみると稽古中にはおくびも出さず、本番になって突然仕掛けてきたらしい(笑)。おそらく、この部分は毎日変わると思うので公演中に一体どんなことになるのか。