下北沢通信

中西理の下北沢通信

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シラカン第5回公演『坦々とおこり』@北トピア

ラカン第5回公演『坦々とおこり』@北トピア

作・演出 西 岳
出演 青木幸也、徳倉マドカ、
岩田里都、中村里佳、
春木来智(以上シラカン)

同じ多摩美大出身なのでライバルなのかもと思って妖精大図鑑のことを聞いたがだいぶ先輩なのでということで世代が少し違うようだ。別に同じ大学だからといって無理やり共通点を探すのもおかしな話だが、劇団員がどうかは別にして美術スタッフを活動内部に取り込んでいて、その作家の作品の基調も作演出同様に劇団の色になっているということはあるのではないか。
実は快快がマルチメディアパフォーマンス的でスタイリッシュだったのに対し映像でしかまだ見ていないが、妖精大図鑑はかなり下手うま的なテーストを感じていたのだが、このシラカンにはさらに脱力的、あるいはへなへなな美術や演技のテイストを推し進めたようなところがある。世代が若くなればなるほどこうした遊戯的な感覚が増していくというのはもちろん偶然なのかもしれないが、ダンスでも若手の作品に似たような傾向を感じることがあったから、世代的な感覚の違いというのもなくはないのかもしれない。
「坦々とおこり」は家族が祖父の死をどのように受け入れるのかという意味で、死と家族と言う主題的には重くなるのが普通の事柄を扱ってはいるのだけれど、亡くなった祖父の存在をおでんのがんもどきで表現していたり、カナシミニストという変なコーディネーターのような人が出てきて祖父の霊を降ろしたりと表現のやりかたはかなり遊戯的でばかばかしさが溢れたものとなっている。