下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

熱帯◎カジュアル Vol.3 『抵抗者たち』@Gallery & Space しあん

熱帯◎カジュアル Vol.3 『抵抗者たち』@Gallery & Space しあん

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脚本・演出 黒川麻衣
出演
芳賀晶
吉増裕士(ナイロン100℃
森田ガンツ猫のホテル / なかないで、毒きのこちゃん)
秋山想(TBプラネット)
木村梨恵子(ECHOES)
遠藤弘章(東京タンバリン)
奥村香里

 4人の中年(初老)の男たちの物語。死を意識せざるを得なくて、ただまだ自らのものとしてそれを捉えるには実感も湧かない。そんな男たちが始めた文豪の最期の時について、それぞれがまとめてレポートを発表するサークル活動を始める。
 活動の場所となっているのは民家の一部を改装したレンタルスペース。ある日、スペースのオーナーらの補佐役として、若い女性(木村梨恵子)がアルバイトとしてやってくることになるが、その女性はなかなかの美人。この女性が現れた瞬間、乗りかかった船のように嫌々惰性でサークル活動にやってきていた4人の男たちの活動が、一気に活気づくことになる。
 80年代のラジカル・ガジベリビンバ・システム宮沢章夫)からはじまり、劇団健康、その後継であるナイロン100℃に続き、90年代には純度の高い笑いだけを追求する若手劇団が相次いで登場した。一十口裏らのげんこつ団、ハシノヨウヘイ率いるオハヨウのムスメ、ブルースカイの猫ニャーが続いたが、黒川麻衣のOJO!もそうした笑いを探求した劇団のひとつであった。当時は若い才気にまかせてどちらかというとハイブラウかつシュールな笑いを得意としていたといってもいいが、歳をへて現在の集団、熱帯で今回上演するのは山田洋二の「寅さん」シリーズを思わせる中年男の醸し出す「男ってバカだな」を痛感させる喜劇なのだ。劇中でそれが言葉として出てくることはないのだけれど、作者のブログなどでは「マドンナ役」のなどと出てきているので、これは作者が確信犯としてそう狙っているのは間違いないだろう。
 90年代はともに若手であった吉増裕士(ナイロン100℃)、森田ガンツ猫のホテル / なかないで、毒きのこちゃん)、秋山想(TBプラネット)らと一緒に醸し出す熟成した空気感は若い劇団には出すことができない独特の味わいを生み出している。