下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

小田尚稔の演劇「凡人の言い訳」“Apology”@新宿眼科画廊スペースO

小田尚稔の演劇「凡人の言い訳」“Apology”@新宿眼科画廊スペースO

〔概要〕

「凡人の言い訳」は、プラトン(Plato:BC427-347)の『ソクラテスの弁明(Apology of Socrates)』を題材にして、「よく生きる」ということについて考えたくて書いた戯曲です。2015年の晩秋の時期から、翌年の春にかけて書きました。出演者は、女性一名。約100分の上演作品です。
ソクラテスの弁明』は、ソクラテスの一人語り(モノローグ)の形式で著された作品です。ですので、「凡人の言い訳」もそれに則してモノローグで構成しています。

プラトンは「よく生きる」ということについて次のように書いています。

「一番大切なことは単に生きることそのことではなくて、善く生きることである〔略〕また善く生きることと美しく生きることと正しく生きることとは同じだということ」『ソクラテスの弁明 クリトン』(岩波文庫、久保勉訳、1927年、74頁)。
今回の上演では、唯一の登場人物である女性の役を宇都有里紗さん、山下智代さんがそれぞれ演じてくれます。
2018年度の上演にあたって、公演日程も長く設け、上演回数も増やしました。

過去に演じてくれた俳優さんのものと同様に、今回もいい上演になるような気がしています。
毎度の言い回しで恐縮ですが、敬愛するアキ・カウリスマキ(Aki Kaurismäki:1957-)監督に倣って作品を「観終わった人が少し幸せになれるように」という心持ちで上演が出来たらいいな、と思っています。
そんな私(凡人)の言い訳。
〔脚本・演出〕

小田尚稔
〔出演〕

宇都有里紗 / 山下智代

〔音楽〕

原田裕
〔音響〕

畠山峻
〔映像撮影・編集〕

佐藤駿
〔宣伝美術〕

渡邊まな実
〔協力〕

犬など / People太 / シバイエンジン
〔企画・制作〕

小田尚稔
PROFILE
1986年生まれ。広島市出身。
東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了。
上記在学中の2011年からインディーズ演劇にて俳優としての活動を経て、2015年より劇作活動を始める。
Naotoshi ODA
Born 1986 in Hiroshima City
2012 Master of Education, Tokyo Gakugei University Graduate School

  小田尚稔の演劇「凡人の言い訳」“Apology”はひとり芝居で宇都有里紗さんと山下智代さんという2人の女優によるダブルキャストによる上演で、この日は宇都さんによるバージョンを見た。
 小田尚稔の演劇の特徴は多人数のキャストが登場する場合でも基本的には俳優同士による会話の部分はほぼなく、全編がモノローグの連鎖によって上演されることだ。とはいえ、この「凡人の良い訳」はひとり芝居なのでひとりの俳優が次々といろんな役を演じていくというような形式でもなければ、ひとり芝居の多くはモノローグ的な叙述を主体とするのが普通ではあり、その意味では演技スタイルは 小田尚稔の演劇の典型といっていいスタイルだと言えそうだが、他のひとり芝居との差異がそれほど露わではないという意味ではこの人の作品を知る作品として適しているわけではなかったかもしれない。
 小田尚稔の作品を見るのはこれが3本目だが、興味深いのがこれまで見たすべての作品が池袋を基点として私鉄沿線を舞台としていることだ。作品中には登場人物が住んだり、暮らしている街の情景場所もたっぷりとあって、そういう生活実感が感じられるのが魅力のひとつである。
 そして、主人公はオーバードクターの女子学生に設定しているが、この「凡人の言い訳」は小田自身の体験がかなり取り入れられた自伝的な性格の強い作品のように思われた。舞台は西武池袋線東久留米駅近くのある大学とその学生寮を中心に展開するが、PROFILEによれば小田尚稔は東京学芸大学大学院にいたことがあり、この芝居に出てくる大学は東京学芸大に間違いないのではないかと思う。主人公は祖父の死で広島県の故郷に帰省するが、小田の出身も同じ広島であり、主人公による広島の土地の説明に妙にリアリティーを感じるのはそういう実体験に根ざしたものだからと感じた。小説を原作にした「高架線」はともかく、東京での震災体験を描いた「是でいいのだ」もやはり作者の実体験を投影したドキュメンタリー風の演劇だった。
 とはいえ、小田は事実を事実としてそのまま舞台にのせることはしていない。映した現実をそのまま観客に見せることができる映画や写真などと違い、演劇は舞台上で見せたものを一度観客の想像力に委ねる過程が不可欠で、よく事実あったことをそのまま舞台に乗せて、それは実際に起こったことだからリアリティーを持つと勘違いする作者がいるけれど、こと演劇に関する限りそういう風にはならない。
 
   

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ももいろクローバーZ「ももクロ 春の一大事 2018 in 東近江市 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ~」@ニコニコ生放送

ももいろクローバーZももクロ 春の一大事 2018 in 東近江市 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ~」@ニコニコ生放送

2018年4月22日 東近江市 布引運動公園陸上競技場布引グリーンスタジアム) セットリスト

01. 笑ー笑 ~シャオイーシャオ!~
02. CONTRADICTION
03. サラバ、愛しき悲しみたちよ
04. ザ・ゴールデンヒストリー
05. Chai Maxx
06. 吼えろ!
07. 走れ!-Z ver.-
08. ピンキージョーンズ
09. 行くぜっ!怪盗少女
10. 青春賦
11. 希望の向こうへ
12. ももクロのニッポン万歳!
13. コノウタ
14. スターダストセレナーデ
15. チントンシャン!
16. BLAST!
17. GET Z, GO!!!!!
18. Link Link
19. 行く春来る春
20. 桃色空
<アンコール>
21. DECORATION
22. 勝手に君に
23. サボテンとリボン
24. 灰とダイヤモンド

FUMIHIKO COP@2018年4月21日(土)滋賀県 布引運動公園陸上競技場(布引グリーンスタジアム)

FUMIHIKO COP@ 2018年4月21日(土)滋賀県 布引運動公園陸上競技場布引グリーンスタジアム

​4/21[SAT]
12:00頃  リーフシトロン
12:15頃  煌めき☆アンフォレント 三重県のご当地アイドル
12:30頃  丸ちぇろ
12:50頃  Devil ANTHEM​
13:05頃  ときめき♡宣伝部
13:40頃  凸凹凸凹-ルリロリ-
14:00頃  奥澤村
14:25頃  玉井CUP決勝!
14:40頃  あゆみくりかまき

ももいろクローバーZ「ももクロ 春の一大事 2018」@滋賀県 布引運動公園陸上競技場(布引グリーンスタジアム)

ももいろクローバーZももクロ 春の一大事 2018」@滋賀県 布引運動公園陸上競技場布引グリーンスタジアム

ももいろクローバーZももクロ 春の一大事
2018 in 東近江市 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ~ 」
滋賀県 東近江 (布引運動公園陸上競技場)
野外 ライブ コンサート

セットリスト
1.DNA狂詩曲
2.BLAST!
3.行く春来る春
4.ピンキージョーンズ
5.Chai Maxx
6.GET Z GO!!!
7.勝手に君に
8.ザ•ゴールデン•ヒストリー
9.DECORATION
東近江市小学生達の合唱
未来へ(kiroro
風が吹いている(いきものがかり
10.希望の向こうへ
11.ももクロのニッポン万歳!
12.コノウタ
13.サボテンとリボン
14.CONTRADICTION
15.笑一笑~シャオイーシャオ!~
16.チントンシャン
17.Link Link
18.青春賦
19.桃色空

アンコール


20.吼えろ
21.オレンジノート
22.走れ!-Z ver.-
23.行くぜっ! 怪盗少女

ももいろクローバーZの春ライブの名称が「春の一大事」なのだが、今年からこの春のライブは地方自治体から候補地を募集、ももクロと地元が協力してライブを運営するというユニークな内容となっている。
 この雛形は昨年開催された埼玉県富士見市でのライブで生み出されたものだが、富士見市の場合は有安杏果富士見市出身だったという縁から始まったものであり、同市にアドバイザー的な役割でかかわっていた平田オリザ氏の助力もあって開催にこぎつけた。その意味では公募による開催は今回が最初であり、2日目には来年も同様の形で「春の一大事」が開催される旨の発表もあったが、アーティスト側と自治体が共同で開催する一大イベントとしての野外ライブというのはこれまで例がないものではないかと思う。
 ももクロからしても今回は今年始めの有安杏果の卒業(脱退)を踏まえて、4人の新体制により最初に開催する大規模ライブとなった。それゆえ、4人のももクロの実質的なデビュー戦として5人時代と遜色のないクオリティーのライブが出来るのかというのはひとつの見所だったが、ライブでは冒頭から「DNA狂詩曲」「Blast!」と5人での代表曲をたて続けにぶち込むといういわば先手必勝な
セットリスト。「Blast!」では杏果のパワフルな歌唱でのスタートが極めて印象的だが、ここは夏菜子が担当。モノノフの不安を断ち切るような歌声は4人のももクロの「名刺代わりの1曲」を思わせるものであった。
 とはいえ、東京周辺のような都市照明の影響を受けずに透明感のある空が広がる現地の立地も考慮にいれ、この日の白眉となったのは夕焼けの美しい桃色の空のもとで歌い上げた「桃色空」だろう。Kinki Kids堂本剛の提供曲でこれまでいろんなライブで披露して冒頭の夏菜子、杏果と続くデュオ的な歌唱部分がきわめて印象的な楽曲。
しかし、これまで野外のライブでは太陽がまったく見えない曇り空や雨模様ばかりで桃色の空の下歌ったことはなかった。
 天気に関しては日産スタジアムに豪雨の後、見事に虹がかかったあの伝説の「桃神祭」2日目をはじめ、信じられぬ天の恵みに祝福されるのがももクロライブなのだが、雲ひとつない夕空に数機の飛行機雲が見えたこの日の光景はこれまでのももクロの歴史の中でも記憶に刻まれるものとなりそうだ。
 冒頭は杏果→夏菜子から詩織→夏菜子に変更になったが、持ち味は違うけれど遜色のない出来栄え。後半の杏果のフェイクの部分はあーりんが担当になり、こちらはまだ頑張っているものの「遜色ない」とは言いがたいところだが、ここからスタートということを考えると悪くはないと思う。
 いまさら言うべきことではなく、やはり杏果の不在が大きいのは言うまでもないけれど、この日はやらなかったが2日目の最後の曲としてやったもうひとつの宿題「灰とダイヤモンド」の「砂にまかれても」などあーりんへの負担が一番大きいのかもとも思うが、個人的にはこれが大器あーりんの一層の成長を促す契機となればと思っている。まさに「灰とダイヤモンド」の歌詞をそのまま地でいくように。

『吼えろ』ももクロ♡新境地へ ×ファンキー加藤 〜田中将大 最新登場曲〜
 この日個人的にもっとも熱い気持ちになったのは新曲の「吼えろ」、2年前(?)の登場曲の.「GET Z GO!!!」、そしてライブの定番である「.勝手に君に」と3曲を歌って海の向こうで頑張るヤンキースの田中将投手に熱いエールを送ったことだ。なかでも「吼えろ」がよかった。さすがファンキー加藤は田中の今置かれた状況と思いをよく分かっていると思い、聞いていて涙が止まらなかった。昨年の「いつだって挑戦者」がいい歌だったから、今年も同じ歌でいいじゃないかと考えていたがそうじゃない。歌詞にははっきり歌われることはないけれど、もちろん、田中の思いは今年こそワールドシリーズに出て、マウンドで世界一に貢献することだ、その一点しかないし、メジャーの最近の動向からすれば今年が最大にして最後のチャンスかもしれない。この「吼えろ」はそういう思いのすべてを注ぎ込んだような歌で、ももクロのファンとしての見果てぬ夢は田中がこの歌をバックにワールドシリーズのマウンドに向かい勝利投手となり、栄冠をつかむことだ。大谷選手じゃないけれど、そんな漫画のようなことが起こることはないのかもしれない。でも、昨年プレーオフで喫した敗戦をいまだに背負いながら今シーズンのマウンドに登っていることは間違いないだろう。残念なのはヤンキースファンがおそらく日本語で歌われたの歌の歌詞の意味を知らないだろうことで、誰かYoutubeの翻訳職人が対訳作ってヤンキースファンも読めるようにした版を上げてくれないかなということだ。そういえばこの曲まだどこでも販売されていないよなあ。この日はやはり田中選手の入場曲だったのにライブでは披露したことがなかった「GET Z GO!!!」

ヤンキース マー君、登場曲はももクロ「GET Z, GO!!!!!」 ( 2016.9.5) NY 田中将大
も歌われたが、この曲もなかなかよい曲でなぜこれまでやらなかったのかと疑問に思われるほどだった。
 「春の一大事」で感動したのは地元の小学生らとの合唱で昨年に続き2回目だが、今後は自治体へのライブ開催地募集が続けば定番演出ともなりそう。
 今年は宗本康平のピアノ演奏で子供たちが「未来へ」「風が吹いている」を歌った後、舞台上に高城れにが現れて1万5000人を前にアカペラで「希望の向こうへ」の冒頭を歌いはじめた。ここのアレンジが本当に見事でその後を玉井詩織が加わり、メンバー全員が出揃いピアノ演奏、合唱とあわせてこの歌を歌い上げるのだが、高城の包み込むようなやさしい歌声が杏果の攻撃的なインパクトのある鋭い歌唱を失った後のももクロの新たな武器としてよりクローズアップされたと感じた曲でもあった。
 

『大谷ひかるのシンデレラ』@SCOOL

『大谷ひかるのシンデレラ』@SCOOL

佐々木敦

「ビビディ・バビディ・ブッブ」
作詞・作曲・歌 大谷ひかる
_
屋根裏部屋の窓 ちゃんと閉まらなくって
髪の毛の先っぽ 風に吹かれて
聞こえてくる誰かの歌声は
私よりも早起き小鳥たち
_
おしゃれなステップ 掃除しながら練習
お母さんが着てたドレス 風に吹かれて
高鳴る胸の上に落ちる涙
出来の悪い魔法使いのミス
_
なんて冗談言ってたら 魔法使いっぽい人
私の歌を聴いて呆れてる
お願い 聞いて 後は サビだけ
_
真夜中までで十分です
一度きりのワルツを踊ります
階段がなくちゃ
物語を駆け下りも駆け上がりもできない
_
真夜中まであと十分です
一度きりのワルツを踊ります
ガラスの靴があったところで
入らない 入らない だから
ハナにはめてみた

劇団桃唄309 + キミハドコニイル + 劇団だるめしあん + 劇団ひまわり 短編劇集 vol.12 春カフェ『お出かけいろいろ』@東中野RAFT

劇団桃唄309 + キミハドコニイル + 劇団だるめしあん + 劇団ひまわり 短編劇集 vol.12 春カフェ『お出かけいろいろ』@東中野RAFT

2018年04月18日(水) - 22日(日)



「お出かけ」を題材にした数々の短編劇を4つのカンパニーがお届けします。おいしい飲み物を手にしつつ、ごゆっくりとお楽しみください。

Bだるめしあん+桃唄309



劇団だるめしあん

『ミラクル戦隊~怪人のおでかけ~』

戯曲・演出 坂本鈴

怪人との決戦前夜、ラブホテルで見つめ合うミラクル戦隊のブルーとピンク。

河南由良 木内コギト




劇団桃唄309

『つまりは家路』

戯曲・演出 長谷基弘

時には都会のどまんなかで遭難することもあり得る。救助隊は来ない。生き残りをかけた地味な争い、勃発。

國津篤志 綾田將一 富山聡子





Cひまわり+桃唄309



劇団ひまわり

『追復曲《カノン》~「組曲」より~』

戯曲・演出 やまぐちやすお。

悩んだ答えを探しに桜舞う丘に出掛けた。教えてくれたのは真っ直ぐだったあの頃の私。

川井桃子 澤原莉 山﨑詩織




劇団桃唄309

『知らない星、光る』

戯曲・演出 長谷基弘

逆恨み男からの逃避行。レンタカーで右往左往。夜空きれい。39歳追い詰まれ系女子達の、不思議な数日間&小さな奇跡。

中野架奈 五十嵐ミナ 竹田まどか
中嶌聡(クレイジーパワーロマンチスト)

この日はBプロ、Cプロの合計4本だったが、会社の勤務を5時終わりの早番にしてもらったとはいえ、地下鉄丸の内線中野坂上駅から少し距離のある東中野RAFTまではけっこう時間がかかり、結局見られたのはBプロ2本目『つまりは家路』の途中から。とはいえ、結構長くやっていたから意外と最初の方から見れたのかもしれない。この芝居はやめようか続けようかを悩んでいるお笑いコンビを主人公にした不条理劇。とぼけた味わいがなかなか面白い。
 とはいえ、この日の白眉は最後の劇団桃唄309『知らない星、光る』であろう。短編だからそれほど複雑な構造があるわけではないが、ロードムービー風の物語で短時間で時間場所が次々ととんでも自然な流れの中で見ることができる作劇の巧妙さは長谷基弘ならではの持ち味であろう。
 
 

劇団桃唄309 + キミハドコニイル + 劇団だるめしあん + 劇団ひまわり 短編劇集 vol.12 春カフェ『お出かけいろいろ』

劇団桃唄309 + キミハドコニイル + 劇団だるめしあん + 劇団ひまわり 短編劇集 vol.12 春カフェ『お出かけいろいろ』@東中野RAFT

「お出かけ」を題材にした数々の短編劇を4つのカンパニーがお届けします。おいしい飲み物を手にしつつ、ごゆっくりとお楽しみください。キミハドコニイル+桃唄309



キミハドコニイル

『身も蓋もない話』

戯曲・演出 美生

蓋を開けた時、彩りよく美味しそうに見えるように詰めた。毎朝。あなたのために。

滝本みか(キミハドコニイル)
竹ケ原司(中央大学第二演劇研究会)
徳留卓史
根岸はるか
美生(演劇サークルact)




劇団桃唄309

『走れ味噌』

戯曲・演出 長谷基弘

東京から移住しお店を開業して半年。そろそろ始まるあの奇祭。参加しないと店がつぶれる? でもぼく、脱ぎたくない。

佐藤達 石坂純(劇団ひまわり) 山西真帆

日常の隣にある非日常というのも桃唄309(長谷基弘) の持ち味のひとつ。

青年団・こまばアゴラ演劇学校“無隣館”『革命日記』Bチーム(1回目)@こまばアゴラ劇場

青年団・こまばアゴラ演劇学校“無隣館”『革命日記』Bチーム(1回目)@こまばアゴラ劇場

作・演出:平田オリザ
2018年4月14日(土)- 4月30日(月・祝) 20ステージ
会場:こまばアゴラ劇場
日常と非日常が交錯する共同体の臨界点を鋭く描写した意欲作 。組織は腐敗する、革命は堕落する。いかなる組織も、いかなる革命も。
都市近郊の閑静な住宅街。ごく平凡な家庭が、二つのテロを企てる過激派集団のアジトになっている。空港突入と大使館襲撃。日常を引きずりながら突き進む、彼らの革命はどこへ向かっているのだろうか。2017年4月に入学したこまばアゴラ演劇学校“無隣館”3期生と青年団有志による合同公演として、 2012年に上演された『革命日記』を6年ぶりに再演。A、Bチームによるダブルキャスト公演です。
この戯曲は、1997年、安田雅弘さんが演出した『Fairy Tale』という作品の中核をなす物語として書き下ろされました。 当時、私は、「集団と個」の問題ばかりを考えていたように思います。オウム真理教の事件から二年、劇団を主宰する者として、演劇集団とオウム真理教はどこがどう違うのかばかりを考えていたように思います。個々の善意から生まれた集団が、なぜ狂気に走るのか。『革命日記』は、その答えを探そうとして書かれた作品です。
集団を作るのが難しくなっている今の時代に、無隣館の若い俳優(若くない人もいますが)たちと、この作品に再び取り組めることは、大きな意義があることだと思っています。

作・演出 平田オリザ


出演

Aチーム
本田けい 坂倉花奈 藤瀬のりこ 吉田 庸(以上、青年団)有吉宣人 飯田一期 石渡愛 外桂士朗 多田直人 西風生子 南風盛もえ 坊薗初菜 堀 紗織 山村麻由美 和田華子(以上、無隣館)


Bチーム 小林亮子 堀 夏子 中村真生(以上、青年団
石渡 愛 小野亮子 木村トモアキ 黒澤多生 鯉沼トキ 多田直人 奈良悠加 西風生子 南風盛もえ 坊薗初菜 矢野昌幸 和田華子(以上、無隣館)

スタッフ

舞台美術:青年団美術部
照明:井坂 浩
衣裳監修:正金 彩
舞台監督:河村竜也
宣伝美術:西 泰宏
制作:赤刎千久子 太田久美子

ダメダメで完全に戯画化された感のあったAチーム飯田一期の演じたリーダーに対して、坊薗初菜演じる女性リーダーがなんとも不気味。重信房子じゃないけれど、この人なら感情で突っ走って組織のために邪魔と判断したら粛清でもなんでもしてしまいそう。
この組織が面白いのは女性陣の方が優柔不断な男性と比べて肝がすわっていることで、特にリーダー役に女性を据えたBチームはそうだ。適当にその場をにごして後は穏便にという男性らのことなかれ指向に対しあくまで自分の思うことを粘り強く主張する女性たち。それが高じて最後の方では平田演劇には珍しく口角泡を飛ばしての言い合いとなるが、この問題には直接関係のない義弟も含め男たちが全員下を向いてしまうのが平田らしくシニカルな描写だった。

Mitaka! SCOOL!! 1st Anniversary!!!@SCOOL

Mitaka! SCOOL!! 1st Anniversary!!!@SCOOL

出演

〈14日〉
ZVIZMO(テンテンコ+伊東篤宏)
山縣太一
山崎広太
ワワフラミンゴ

〈15日〉
スペースノットブランク
Skylark Quartet
(幕間トーク 佐々木敦×桜井圭介)
マレビト・コント(松田正隆・生実慧・島崇)
川口隆夫×大谷能生

2017年4月、東京三鷹の小さなビルの5階に忽然と誕生したインディペンデント・マルチスペースSCOOL。あっという間にオープン1周年を迎えることになりました。ここに賑々しく記念イベント2デイズを催します!ジャンルもキャリアもスタイルも飛び越えた、ポップでアバンギャルド、エクスペリメンタルでキャッチーな、濃密過ぎる内容でお送りします!来たれ、事件の現場に!

青年団リンク キュイ「きれいごと、なきごと、ねごと、」(3回目)@アトリエ春風舎

青年団リンク キュイ「きれいごと、なきごと、ねごと、」(3回目)@アトリエ春風舎

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作 綾門 優季
演出 櫻井 美穂

出演
尾﨑 宇内(青年団
折舘 早紀(青年団
小寺 悠介(青年団
寺田 凜(青年団
中藤 奨(青年団
大橋 悠太

スタッフ
美術:渡辺瑞帆(青年団)/音響:櫻内憧海(無隣館/お布団)/ 照明:山岡茉友子(青年団)/舞台監督:島田曜蔵(青年団)/ 宣伝美術:原田くるみ/制作:谷 陽歩

「きれいごと、なきごと、ねごと、」の最大の謎はいじめによる過食症不登校、ストーカー、家庭内暴力など現代の学校生活、家庭生活におけるストレスにさらされ、破滅していく人々を描いたなんとも悲惨きわまる物語がなぜあんな終わり方をして大団円を迎えるのかという不可思議である。
 ハレルヤのキャスト全員での大合唱から、自分たちを全肯定するかのような拍手。ここで連想されるのはやはり発表された当時「不可解、謎の結」などとと騒がれたTV版「新世紀エヴァンゲリオン」の最終話*1である。
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