下北沢通信

中西理の下北沢通信

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DANCE BOX特別企画「GUYS3」(大阪現代芸術祭・仮設劇場<WA>)

DANCE BOX特別企画「GUYS3」(大阪現代芸術祭・仮設劇場<WA>)を観劇。

構成・演出 菱田信也
演出 竹ち代毬也
振付ディレクター ヤザキタケシ
〔出演〕ヤザキタケシ、竹ち代毬也、デカルコ・マリィ、吾妻琳、中西朔、阿比留修一、森井淳、指村崇、友廣満、佐藤健大郎、 石田陽介、 高見智征、 内山大、中村一規、 藤井雅、浅野泰生、新宅一平、 松田慎司、花田健介、赤松康裕、東真一郎、三原慶祐、山本卓
1、プロローグ 振付ヤザキタケシ
2、みあげて革命 振付村上和司
3、反 振付砂連尾理
4、乳首1回戦 振付垣尾優
5、天覧試合 振付竹ち代毬也
6、乳首準決勝戦 振付垣尾優
7、ルルルヒューマンケンカステップ 振付ヤザキタケシ
8、大阪港の夜に泣いている 振付ヤザキタケシ
9、兄とヤクザ・893舞踏編
10、乳首決勝戦 振付垣尾優
11、太陽に最も近づいた男 振付垣尾優
12、あしたのジョー 振付竹ち代毬也

 関西の男性コンテンポラリーダンサー23人(+俳優1人)が参加して華麗に繰り広げる男の世界である。関西においてコンテンポラリーダンスの存在を認知させた伝説の公演がアイホールで上演された「GUYS」。上海太郎も参加して異種格闘技の様相を見せた「GUYS3」。関西ダンス界のお祭り公演がひさしぶりに帰ってきた。
 今回は振付をヤザキタケシ、砂連尾理、竹ち代毬也、垣尾優、村上和司の5人、構成・演習を演劇畑の菱田信也が担当した。
 コンテンポラリーダンスの公演とはいえ、「GUYS」はもともと作品というよりはお祭り的企画。複数の振付家が参加したためにシーンごとにばらつきがでるのはいなめなかったが、それでも関西のコンテンポラリーダンスの力量を十分に示した公演となった。
 なかでも振付家、そしてダンサーとしての実力を見せつけ、健在ぶりをアピールしたのがヤザキタケシだった。「ルルルヒューマンケンカステップ」はセレノグラフィカの阿比留修一とj.a.m.Dance Theatreの森井淳のデュオ作品。音楽は三輪明宏の「愛の賛歌」(台詞付き)。これをバックに2人の男性ダンサーがところ狭しと踊りまくる。つまり、男同士の愛の賛歌というわけなのだが(笑い)、そういうネタモノ的な枠組みで受けを狙いながらも、逆に振付は男性ダンサーならではのアクロバティックで、きわめて技術的な要求度の高いもので、2人のダンサーがフロアに寝転んだまま、すばやくその体勢を次々と変化させていくなのヤザキ特有の動きを振りうつしながらも、表題の「ルルルヒューマンケンカステップ」
の通りに格闘技的な動きや、横っ飛びに回転してリフトなどというユーロクラッシュを思わせる動きもパロディ的に取り入れたりして飽きさせない。
 「ルルルヒューマンケンカステップ」というのはもちろんラ・ラ・ラ・ヒューマンステップスのモジリなんだろうけれど、動き自体はどちらかというとヴィム・ヴァンデケイビュスなどを意識しているかもしれない。