地点「かもめ」(びわ湖ホール)を観劇。
ダンスフェスティバルとしての色彩が強い夏のフェスティバルだが、実は一昨年の前回からダンス公演以外に身体表現の色合いの強い演劇公演も上演するなどその幅を広げている。前回フェスではいずれも東京を本拠地とするク・ナウカ、チェルフィッチュの二劇団が公演したが、今回は京都に本拠を置く地点がチェホフの四大戯曲連続上演の一環として「かもめ」を上演した。演劇の公演ではあったが、今年の夏のフェスティバル全体において白眉といえるのがこの舞台であったと思う。
びわ湖ホールの普段はオペラなどを上演する大ホールを前後逆に使って、舞台奥に架設の客席を設営。舞台上から本来客席である劇場後ろの方にまるで巨大な桟橋のような装置が突き出していて、その桟橋の下には無数とも思われる椅子が配置されている。第一幕ではこの装置が野外劇場となるのだけれど、この桟橋状の舞台装置の奥にはこちらは二対の椅子が置かれていて、つまりここでは客席の部分は湖なのだという想定。この舞台の空間配置のアイデアが面白かった。