下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

第10回せんがわ劇場 演劇コンクール(2日目)=劇団速度・ルサンチカ・公社流体力学

第10回せんがわ劇場 演劇コンクール(2日目)

【公演スケジュール】

7月14日(日)【2日目】
13:30~14:10 劇団速度 (京都) 『Nothing to be done.』
作・演出・出演:
瀬戸沙門
好光義也

スタッフ
音響・照明: 久保田舞
制作:野村眞人


あらすじ.

ダンスとは何か、という問題意識のもとで制作する上演作品の第一弾。今作は、ゴドーを待ちながらを下敷きとし、ダンスにおける振り付けを”考えろ!”あるべき未来の身体やその運動のために、現在の身体があるのではない。アップデートされ続ける現在にこそ身体はあるのだ!


15:00~15:40 ルサンチカ (京都) 『PIPE DREAM』

構成・演出:河井朗

出演者
近藤千紘
道元

スタッフ
舞台監督:小野彩加
制作:河野遥
協力:劇団子供鉅人、点潤、ヌトミック


あらすじ.

ターケル著作による『死について!』を原案に用いて演劇作品を制作する。『人間誰しも自分の理想の死に方で死んで行く権利がある』という言葉を起点に【理想の死に方】について様々な職業、年齢の人々にインタビューを行い、それをモノローグとして扱う。この世で理想の死に方を迎えることができる人はいるのだろうか。

16:30~17:10 公社流体力学 (埼玉) 『美少女がやってくるぞ、ふるえて眠れ』

作:公社流体力学
演出:公社流体力学a.k.a太田日曜


出演者
公社流体力学
あらすじ.

私は演劇コンクールファイナリストに選ばれた日にそれはそれは美しく黒い少女に出会い生涯を終えました。しかし生き返れる可能性が出てきました。その鍵を握る鷲のような少女と共に黒い少女を探しています。これは私が頑張る話かもしれないし百合香る話かもしれません。因みに舞台には私(男)しか出ませんのであしからず。

受付は各回開演30分前/開場は各回開演15分前

18:30~20:00 表彰式
入場整理券は当日配布のみ

7月13日(土)【1日目】
13:30~14:10 キュイ
15:00~15:40 世界劇団
16:30~17:10 イチニノ
受付は各回開演30分前/開場は各回開演15分前

 
劇団速度 (京都) 『Nothing to be done.』はベケットの「ゴドーを待ちながら」を下敷きにしたダンス作品。ダンスのスタイルというか、技法というのはコンタクトインプロヴィゼーションの流れを汲むもので、Monochrome circus以来のコンタクトの伝統を持つ京都らしい作品。京都らしく洗練はされているとは思ったがダンスとしてのオリジナリティーを感じさせるところまではいかないというのが正直なところかもしれない。劇団速度は劇団であり、普段は野村眞人演出による作品を異なる分野のアーティストの共同制作として作っているということだが、今回は野村はいっさいかかわっておらずパフォーマーである瀬戸沙門、好光義也がダンス作品を創作し、作・演出・出演したということのようだ。劇団速度は12月にこまばアゴラ劇場で公演が予定されているのだが、「こちらは三好十郎作品ということで今回とは全然違う演劇作品になる」(野村眞人)とのことだった。
 次のルサンチカ (京都) 『PIPE DREAM』も京都の劇団。自分の死について語ったという複数の人へのインタビューを抜粋、再構成したテキストと男性が女性のパフォーマーを綱状の装置で吊り上げ、そのまま牽引して奈落に降ろすというパフォーマンスを同時進行させた。ただ、単純に芝居をやっているのではないという点では演出のセンスを感じさせるのは確かだが、強い作家性のようなものは感じ取りにくく、集団としての方向性もいまひとつつかみにくい感があった。
 単純に面白いかどうかでいえば公社流体力学が抜群に面白かったかもしれない。一人芝居ではあるが、演じる本人の人を食ったような個性と観客を引っ張っていく力には評価すべきところがあった。
 ただ、私が審査員でどれかひとつ選ぶという条件なら第1にキュイ、次点がルサンチカかなと思う。ただ、全体として抜群といえるものはなかったのも確か。キュイにしても本来持つ魅力を出しきれてない。

審査結果

グランプリ 公社流体力学
オーディエンス賞 世界劇団
戯曲賞 キュイ
演出賞 ルサンチカ
俳優賞 公社流体力学