下北沢通信

中西理の下北沢通信

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12月のお薦め芝居(2019年)by中西理

12月のお薦め芝居(2019年)by中西理

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(復刻版、えんげきのぺーじでおなじみの「お薦め芝居」を復刻)
 
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 今月(2019年12月)のイチオシお薦め芝居は京都の公演。ダンサー・振付家のきたまりのソロダンスである木ノ下歌舞伎『娘道成寺』★★★★(6・7日、京都造形芸術大学春秋座)。歌舞伎舞踊でも知名度の高い「京鹿子娘道成寺」をコンテンポラリーダンスの技法で再構築したもので、すでに何度も再演を繰り返し、海外公演も行うなどきたまりにとっても木ノ下歌舞伎にとっても代表作といっていい作品となっている。
 これを今回はきたまり、木ノ下裕一の出身大学である京都造形芸術大学の春秋座で、きたまりが「いつかやりたい」と念願していた長唄・囃子が生演奏で下座音楽を担当する特別ヴァーションで製作した。ぜひいつか東京(あるいは横浜)でも上演してほしいが、今回は京都まで見に行く予定だ。




少年王者舘アサガオデン(劇場版)』★★★★(14・15日、下北沢ザ・スズナリは「ストレンジシード2018」@静岡県駿府城公園などで上演された野外劇の劇場版である。静岡では30分程度の野外劇として公園で上演されたが、今回はそれを全面的に改訂し、しかもなんと落語と合体させての上演だという。
 自分自身の企画でもあり、ここで宣伝するのもおこがましいことではあるが、公演翌日の16日夜には三鷹SCOOLで天野天街氏をゲストとして迎え、少年王者舘の魅力を解剖していく ポストゼロ年代演劇の新潮流 ゲスト天野天街少年王者舘)@三鷹SCOOL セミネールin東京★★★★を開催。豊富な映像を交えて、裏話なども天野氏本人にしてもらう予定。少年王者舘ファンならずとも必見の内容にしていく予定なので、ぜひ予約してほしい。
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前回のセミネール*1で取り上げた山崎彬の新作である悪い芝居『ミー・アト・ザ・ズー』★★★★世田谷パブリックシアター)もぜひ注目してみたい舞台だ。岸田國士戯曲賞にノミネートされた過去作品「駄々の塊です」 にセルフインスパイアされた新作で全編オリジナルのバンドが演奏しての音楽劇ともなる予定。ブレイク寸前までは上りつめてきたが、ここでもうひと化けすることができるだろうか。
 ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」の演技でも注目を集めた日比美思(ひびみこと)、俳優・声優として、アニメから舞台まで幅広い活躍を見せる藤原祐規、映画『アイスと雨音』(松居大悟監督)でデビューして以来、舞台にも活躍の場を広げる田中怜子、経験に裏打ちされた安定感と爆発力を見せるクロムモリブデンの久保貫太郎が客演。
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 ヌトミック『アワー・ユア・タワーズ』★★★★(東京・学芸大CLASKA 8F The 8th Gallery)にも注目したい。2016年に結成されたヌトミックは、作曲家の額田大志(東京塩麹)が主宰を務める演劇カンパニー。額田は2015年に東京藝術大学の卒業制作として上演した『それからの街』で『第16回AAF戯曲賞』大賞を受賞したほか、2018年には『こまばアゴラ演出家コンクール2018』最優秀演出家賞を受賞。多彩な才能を持つ額田は次世代のスター候補で、ヌトミックも若手劇団では一番の注目株になりつつある。
 東京を描いた作品といえば地方出身で東京にはアウトサイダーキュイ、綾門優季による「景観の邪魔」★★★★(12月1日まで、こまばアゴラ劇場)が上演されているが、今回上演する『アワー・ユア・タワーズ』は、東京生まれ東京育ちの額田が東京生まれ、東京育ちの人々へのインタビューとリサーチを元に創作した新作。脚本、演出、音楽を額田大志が担当、綾門の描く東京へどのように返答するのか。ホテルの8階のギャラリーという東京を広く見渡すことができる会場ならではの演出も行なうという。出演はヌトミックの深澤しほ、原田つむぎ、コンプソンズの細井じゅんら。




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トウキョウノート
 東京ということなら青年団若手自主企画堀企画『トウキョウノート』★★★小竹向原・アトリエ春風舎)も見逃せないだろう。「東京ノート」は青年団平田オリザの代表作で岸田國士戯曲賞受賞作でもある。平田演出による「東京ノート インターナショナルバージョン」「東京ノート」の上演が来年2~3月に吉祥寺シアターで予定されているが、今回はそれに先駆けて青年団俳優部所属の堀夏子の構成・演出によるオリジナルバージョンで上演する。
 青年団の若手自主企画は「若手」とはあっても出演する俳優陣は
近藤強、佐山和泉(東京デスロック)ら本公演にも引けを取らない陣容。青年団内での俳優によるプロデュースにはサンプルの松井周、青年団リンク やしゃごの伊藤毅らの前例もあるが堀はどんな作品を見せてくれるのか。




 今月の舞台では小松台東『ツマガリク~ン』★★★三鷹市芸術文化センター)にも注目したい。小松台東は宮崎県出身の松本哲が宮崎方言を駆使して送る群像会話劇である。出演する俳優陣の人間味あふれる魅力もこの劇団ならではのもので、客演常連の佐藤 達(劇団桃唄309)、山田百次(ホエイ/ 劇団野の上)に加えて、今回は新たにナイロン100℃から廣川三憲がキャストに加わった。以前の公演で所属の青年団でとは一味違う大人の色気を見せてくれた荻野友里、客演の常連からついに劇団員となった瓜生和成らはどんなアンサンブルを生み出すのか。楽しみでならないのである。




 大阪の劇団ではあるが東京公演も重ねて評価を高めつつあるコトリ会議『セミの空の空』★★★こまばアゴラ劇場)も注目株。こちらは毎回SFともファンタジーともとれるような不可思議な世界が観客席にもいわくいいがたい癒しの空気を醸し出す。




 根本宗子には劇作家というだけではなくドラマの脚本家としても注目しているのだが、今年も毎月ののように精力的に演劇を上演しているなかでも月間『根本宗子』第17号『今、出来る、精一杯』★★★新国立劇場)に注目していきたい。根本は小劇場の劇団公演と中劇場以上の商業的展開の両方で活躍が期待される逸材で、この舞台は音楽劇だが清竜人の出演も予定されていて、この組み合わせがどんな化学反応を引き起こすのかが楽しみなのだ。



 
 劇団公演を見るのは初めてなので、期待度だけの★1つだが、こまばアゴラ劇場演出家コンクールにも参加したことで速度『冒した者』2019★こまばアゴラ劇場)にも期待はしている。「冒した者」は三好十郎による戦後日本戯曲の傑作だが、この作品で利賀演劇人コンクール2018で優秀演出家賞・観客賞を受賞。




 最後に舞台芸術の公演ではないのだが、東京都現代美術館で開催中の展覧会ダムタイプ|アクション+リフレクション』★★★★は1990年代に世界を席巻したマルチメディアパフォーマンスグループ、ダムタイプの大規模な回顧展で必見の展覧会であろう。
 好評を博したポンピドゥー・センター・メッス分館での個展(2018年)の作品群に新作を加えてバージョンアップ。古橋悌二生前のパフォーマンス《Pleasure Life》に基づく《Playback》、初演時の舞台装置の再現《pH》、「人間の条件」展(1994)と同年の舞台《S/N》による作品《LOVE/SEX/DEATH/MONEY/LIFE》や、古橋没後の3つのパフォーマンスを再構成した《MEMORANDUM OR VOYAGE》(2014) に加え、古橋悌二《LOVERS》(1994/2001、second edition、国立国際美術館所蔵)を展示し(2020 年1 月19 日まで)、卓越したサウンドデザインによる空間体験を提供する。
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www.mot-art-museum.jp




 
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中西