下北沢通信

中西理の下北沢通信

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スペースノットブランク『ウエア』(2回目)@こまばアゴラ劇場

スペースノットブランク『ウエア』(2回目)@こまばアゴラ劇場

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スペースノットブランク『ウエア』2回目の観劇。1回目の観劇後「作品の流れについていくのが非常に難しくて、見終わった後、異常なほどの疲労感を感じてしまった。つまらないわけではないけれど、しんどいというのが見終わっての第一印象だった」と書いたが、今回はどういう話だったのかという筋立ては理解しやすかった。最初の観劇時に理解が難しかったのはこの作品では同じセリフがループして何度も繰り返される上にそれを発話する俳優が出演する二人の俳優の間を渡り歩くことだ。さらに現実世界に存在すると思われる岡正樹、須田学以外に彼らが制作していた映像作品に登場する創作上の人物であるはずの「ニコンロ」と「ナミ」、そしてさらに仮想上の人物である「メグハギ」が岡や須田のいた世界に侵入してきて、それぞれの話者がだれなのかというのが判然としないということが意図的になされているのだ。
 舞台の後半部分では映像が多用されており、これはおそらく原作者とクレジットされている池田亮が提供したものと思われるが、テキストとしてはこうした映像(アニメーション)によるイメージと発話される言語テキスト、そしてパフォーマーの身体が互いに関連はしているものの独立して並置されていて、こうした提示の仕方がユニークだ。今回は「フワワ」という続編がこの後上演されることもあり、こちらではどのような世界が展開されるのかが非常に興味深い。

原作・美術:池田亮 音楽:額田大志 演出:小野彩加、中澤陽
スペースノットブランク、三度目のこまばアゴラ劇場となる本公演では、遺伝や家族にまつわる実体験をベースとした舞台作品を創造する演劇ユニット〈ゆうめい〉代表の池田亮氏を原作及び美術に、音楽のバックグラウンドを用いた脚本と演出でパフォーミングアーツの枠組みを拡張していく舞台作品を創造する演劇カンパニー〈ヌトミック〉主宰の額田大志氏を音楽に迎えた創造的なコレクティブによって、アンコンシャス・バイアスの化身「メグハギ」をめぐるアドベンチャーを描きます。2020年3月に初演された『ウエア』を再解釈したニューバージョンを上演すると共に、世界観を共有する新作『ハワワ』を上演。一週目に『ウエア』を上演したのち、たった一度の「通し上演」を行ない、二週目は『ハワワ』へとバトンタッチする公演形態となります。


スペースノットブランク
小野彩加と中澤陽が舞台芸術を制作するコレクティブとして2012年に設立。舞台芸術の既成概念に捉われず新しい表現思考や制作手法を開発しながら舞台芸術の在り方と価値を探究している。環境や人との関わり合いと自然なコミュニケーションを基に作品は形成され、作品ごとに異なるアーティストとのコラボレーションを積極的に行なっている。

出演
『ウエア』荒木知佳、古賀友樹
『ハワワ』大須みづほ、古賀友樹、鈴鹿通儀、奈良悠加

スタッフ
音響・照明:櫻内憧海
舞台監督:鐘築隼
保存記録:植村朔也
当日運営:渚まな美
制作:花井瑠奈

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