下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク「松井周と私たち」@こまばアゴラ劇場

小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク「松井周と私たち」@こまばアゴラ劇場

原案:ジェローム・ベル『ピチェ・クランチェンと私』(2005年)
演出・出演:小野彩加 中澤陽 松井周
振付家のジェローム・ベルと、タイ伝統舞踊家のピチェ・クランチェンが芸術的実践について互いに問い掛け合い検証する舞台『ピチェ・クランチェンと私』のアイデアをトレースする。舞台芸術の新たな価値を直向きに探究する[小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク]。演劇を通じて、人間と世界の虚実入り混じった仕組みを表現するユニット[サンプル]を主宰する劇作家・演出家・俳優の松井周。出自、創造性、世代など、あらゆる異なる点を持つ二組が舞台上で出会い、芸術的実践をはじめとして、現代日本の演劇界、延いては舞台芸術界全体に関する問いを共有し、検証する新しい舞台『松井周と私たち』として上演する。

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最近、自分が作品をつくるときに「どうやるんだっけ?」という疑問がまず浮かびます。これは、自身の方法すらつかめきれず、焦燥感から暗闇で手を振り回してデタラメに彫刻しようとする感覚に近いです。新型コロナ以降のパフォーミングアーツの方法やプロやアマチュアの垣根を越えた表現の形式、芸術一点豪華主義(倫理や生活を犠牲にして)の終焉などに影響されてるというか、それらについて考えているうちにぼんやりしてしまうのです。ただの老化かもしれません。しかし、スペースノットブランクの作品は、観るたびにいつもシンプルで、自分よがりな焦燥感を忘れさせてくれるものでした。「恐れずに発想を形にして、最大の効果を引き出す!」という強い意志を勝手に感じて励まされていたのです。だから、一緒にやりませんか? という話が来たときはとても嬉しかったし、ジェローム・ベルの『ピチェ・クランチェンと私』という作品のやり方(正式にジェローム・ベルの許可を得ています!)を使って『松井周と私たち』という作品を立ち上げるという話にも興奮しました。とてもシンプルなコンセプトに貫かれていたから。ちょうど9月のはじめに、稽古の前半を終えたところです。今のところ、いい感じです。『松井周と私たち』という言葉以外に置き換えられない時間になっていると思います。ぜひ御覧ください。

松井周

小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク
二人組の舞台作家である小野彩加と中澤陽が舞台芸術の創作を行なうコレクティブとして2012年に設立。舞台芸術の既成概念に捉われず、独自の新しい仕組みを研究開発しながら舞台芸術の在り方と価値を探究している。固有の環境や関係により生じるコミュニケーションを創作の根源とし、作品ごとに異なるアーティストとのコラボレーションを積極的に行なっている。

出演
小野彩加 中澤陽 松井周

スタッフ
音響・照明:櫻内憧海
舞台監督:河井朗
保存記録:植村朔也
記録写真:高良真剣
記録映像:日景明夫
当日運営:青田亜香里 渚まな美 奈良悠加 山口静
制作:花井瑠奈

こまばアゴラ劇場スタッフ〉
芸術総監督:平田オリザ
技術協力:中條玲(アゴラ企画)
制作協力:日和下駄(アゴラ企画)