「体育館の殺人」(青崎有吾著)@創元推理文庫
今年の夏頃、京大ミステリ研の設立45周年記念のシンポジウムでゲストとなっていた著者と会い、すぐこの著書の問題編を読み、推理のために読み返そうと思ったままそのままになっていたのをやっと全編を読み通すことができた。
読み返そうと思ったのはこの小説が京大ミステリ研で行われていた犯人当てと類似と思わせる見掛けを持っていたからだが、読み終わって感じたのは実はそれがまったく違う思考によって書かれているという事実である。とはいえ、この作品は極めて良くできたミステリ小説であり、作者が「平成のクイーン」と称せられるようになったというのはあながち間違いではないと思わせるものであった。
クイーンに準えるならこの作品は「オランダ靴」か「スペイン岬」かなと思う。「ギリシア棺」のような飛躍が望めるのか。他の作品も早く読んでみたい。