下北沢通信

中西理の下北沢通信

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ジョン・ディクスン・カー「四つの凶器」@創元推理文庫

ジョン・ディクスン・カー「四つの凶器」@創元推理文庫

アガサ・クリスティーエラリー・クイーンは一部ノンミステリやジェビナイルを除いて、ほとんどの作品を複数回読んでいるはずだが、それと比較すると三大巨匠と言われている中で、ジョン・ディクスン・カーはまだ未読の作品がいくつかある。それを評して京大ミステリ研時代から、「カーとクロフツは老後の楽しみのためにとってある」と言い張っていたが、ひとつには当時はまだ未訳や絶版の作品も多かったこともある。とはいえ、いろんな意味で現代ミステリの源流にあり、現在でも重要な存在であるクリスティー、クイーンと比較するとカーは一部好事家のみが評価する過去の遺物のイメージが拭いきれてないかもしれない。
そこでカーについても再び考えて直してみようと調度考えていた時に取り壊す実家調べたら、京大ミステリ研時代に例会の読書会のレジメとして用意した文章が発掘された。
 それは「皇帝のかぎ煙草入れ」(THE EMPEROR’S SNUF)を取り上げたもので、かなり詳細な作品分析を行っている。いずれこのサイトにも改訂版を掲載したいところだが、写真で一部を転載したいとも考えたものの、ネタバレ御免で書いているためここには原文を掲載することは今回は見送ることにした。
その後にアラン・バンコランものの最後の作品であるジョン・ディクスン・カー「四つの凶器」を書店で見つけた。できたら未読のカー作品をまとめて読むことができたらと考え、まずこの作品を読むことにした。

アンリ・バンコランもの​
1930年 It Walks by Night 『夜歩く』◎
1931年 The Lost Gallows 『絞首台の謎』◎
1931年 Castle Skull 『髑髏城』◎
1932年 The Corpse in the Waxworks 『蝋人形館の殺人』◎
1937年 The Four False Weapons 『四つの凶器』

ギデオン・フェル博士もの​
1933年 Hag's Nook 『魔女の隠れ家』◎
1933年 The Mad Hatter Mystery 『帽子収集狂事件』◎
1934年 The Eight of Swords 『剣の八』
1934年 The Blind Barber 『盲目の理髪師(ビクトリア号怪事件)』◎
1935年 Death-Watch 『死時計』
1935年 The Three Coffins 『三つの棺(魔棺殺人事件)』◎
1936年 The Arabian Nights Murder 『アラビアンナイトの殺人』◎
1938年 To Wake the Dead 『死者はよみがえる(死人を起こす)(二つの腕輪)』◎
1938年 The Crooked Hinge 『曲がった蝶番(動く人形のなぞ)』◎
1939年 The Problem of the Green Capsule 『緑のカプセルの謎』◎
1939年 The Problem of the Wire Cage 『テニスコートの殺人(足跡のない殺人)』◎
1940年 The Man Who Could Not Shudder 『震えない男(幽霊屋敷)』
1941年 The Case of the Constant Suicides 『連続殺人事件』◎
1941年 Death Turns the Table 『猫と鼠の殺人(嘲るものの座)』
1944年 Till Death Do Us Part 『死が二人をわかつまで(毒殺魔)』◎
1946年 He Who Whispers 『囁く影』◎
1947年 The Sleeping Sphinx 『眠れるスフィンクス
1949年 Below Suspicion 『疑惑の影』◎
1958年 The Dead Man's Knock 『死者のノック』
1960年 In Spite of Thunder 『雷鳴の中でも』◎
1965年 The House at Satan's Elbow 『悪魔のひじの家』
1966年 Panic in Box C 『仮面劇場の殺人』
1967年 Dark of the Moon 『月明かりの闇』

ヘンリー・メリヴェール卿もの(カーター・ディクスン名義)​
1934年 The Plague Court Murders 『黒死荘の殺人(プレーグ・コートの殺人)』◎
1934年 The White Priory Murders 『白い僧院の殺人』◎
1935年 The Red Widow Murders 『赤後家の殺人』◎
1935年 The Unicorn Murders 『一角獣の殺人』
1936年 The Magic Lantern Murders (英国版題名)『パンチとジュディ』◎
1937年 The Peacock Feather Murders 『孔雀の羽根』◎
1938年 The Judas Window 『ユダの窓』◎
1938年 Death in Five Boxes 『五つの箱の死』
1939年 The Reader is Warned 『読者よ欺かるるなかれ(予言殺人事件)』◎
1940年 And So to Murder 『かくして殺人へ』◎
1940年 Nine-and Death Makes Ten 『九人と死で十人だ』◎
1941年 Seeing is Believing 『殺人者と恐喝者(この目で見たんだ)』◎
1942年 The Gilded Man 『仮面荘の怪事件(メッキの神像)』
1943年 She Died a Lady 『貴婦人として死す』◎
1944年 He Wouldn't Kill Patience 『爬虫類館の殺人(彼が蛇を殺すはずはない)』◎
1945年 The Curse of the Bronze Lamp 『青銅ランプの呪』◎
1946年 My Late Wives 『青ひげの花嫁(別れた妻たち)』
1948年 The Skeleton in the Clock 『時計の中の骸骨』
1949年 A Graveyard to Let 『墓場貸します』
1950年 Night at the Mocking Widow 『魔女が笑う夜(わらう後家)』◎
1952年 Behind the Crimson Blind 『赤い鎧戸のかげで』
1953年 The Cavalier's Cup 『騎士の盃』

歴史ミステリ​
1934年 Devil Kinsmere (ロジャー・フェアベーン名義)
1950年 The Bride of Newgate 『ニューゲイトの花嫁』◎
1951年 The Devil in Velvet 『ビロードの悪魔』◎
1955年 Captain Cut-Throat 『喉切り隊長』◎
1956年 Fear Is the Same (カーター・ディクスン名義)『恐怖は同じ』

1957年 Fire, Burn! 『火よ燃えろ!』◎
1959年 Scandal at High Chimneys 『ハイチムニー荘の醜聞』◎
1961年 The Witch of the Low-Tide 『引き潮の魔女』◎
1962年 The Demoniacs 『ロンドン橋が落ちる』
1964年 Most Secret 『深夜の密使』 Devil Kinsmere の改訂版。
1968年 Papa Là-Bas 『ヴードゥーの悪魔』

1969年 The Ghosts' High Noon 『亡霊たちの真昼』◎
1971年 Deadly Hall 『死の館の謎』◎
1972年 The Hungry Goblin 『血に飢えた悪鬼』

ノン・シリーズ​
1932年 Poison in Jest 『毒のたわむれ』
1934年 The Bowstring Murders (カー・ディクスンあるいはカーター・ディクスン名義)『弓弦城殺人事件(黒い密室)』
1937年 The Burning Court 『火刑法廷』◎
1937年 The Third Bullet (カーター・ディクスン名義)『第三の銃弾』
1942年 The Emperor's Snuff-Box 『皇帝のかぎ煙草入れ』◎
1952年 The Nine Wrong Answers 『九つの答』
1956年 Patrick Butler for the Defence 『バトラー弁護に立つ』

短編集​
1940年 The Department of Queer Complaints (カーター・ディクスン名義)『カー短編全集1/不可能犯罪捜査課』◎
1947年 Dr.Fell, Detective and Other Stories
1954年 The Third Bullet and Other Stories
1963年 The Men Who Explained Miracles

以上3冊は日本では『カー短編全集2/妖魔の森の家』『カー短編全集3/パリから来た紳士』の2冊に編集されている。
1980年 The Door to Doom and Other Detections 『カー短編全集4/幽霊射手』『カー短編全集5/黒い塔の恐怖』
1999年 『グラン・ギニョール』 - 日本で独自に編集。

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