演劇集団円『風のやむとき』@吉祥寺シアター
あらすじ
俳優、演出家、文筆家であり、演劇集団円の創立者でもある芥川比呂志。1978年、病をえながらも、大作「夜叉ヶ池」演出の準備に忙しい。比呂志の一番のファンであり献身的に支える妻や、些細なことからお互いに口をきかなくなった娘も心配をするが、お構いなしに集団の俳優や、スタッフが家に次々と訪れる。溢れるアイデアを語る芥川。父、龍之介も愛した泉鏡花のこの作品を演出するのは彼の宿願でもあった...
上杉陽一
石井英明
瑞木健太郎
近松孝丞
大谷優衣
和田慶史朗
中野風音
山本琴美
中田翔真
星愛奈
小林莉沙/円演劇研究所48期生
演劇集団円
1975年に現代演劇協会付属劇団「雲」から、芥川比呂志を中心に独立して生まれた劇団。橋爪功をはじめ、ベテランから若手まで多彩な俳優が揃っており、舞台だけでなくテレビや映画、アフレコなど幅広い分野で活躍している。
劇団公演では、ラシーヌやシェイクスピアといった古典劇から、チェーホフ、イプセン、ピンター、マクドナーなどの近現代作品まで、国内外を問わず積極的に取り組んでいる。また、別役実、太田省吾、岩松了、渡辺えりなど日本の劇作家による書き下ろし作品にも力を入れている。
さらに、岸田今日子の企画によって始まった「円・こどもステージ」は、30作を超える児童劇を生み出してきた。谷川俊太郎や佐野洋子らによる書き下ろし作品が多く、質の高い音楽や脚本が評価され、数々の賞を受けている。
本公演以外にも、地方公演や小劇場での実験的な公演、リーディングなど年間を通じて活動を続けている。古典から現代まで、演劇の本質を問い続ける集団として、今も新たな挑戦を続けている。
芥川比呂志
俳優・演出家・文筆家
1920年芥川龍之介の長男として北区滝野川に生まれる。
弟に作曲家の芥川也寸志。(次男多加志はビルマで戦死)
慶應義塾大学仏文科在学中に演出家女優・長岡輝子や劇作家・加藤道夫たちと
新演劇研究会を結成し、学生演劇活動を始める。
1947年、演出家・女優長岡照子、加藤とその妻で女優の加藤治子らと共に「麦の会」を結成。
1949年から文学座の中心俳優として、または加藤道夫作『なよたけ』などの演出家として大成する。
1955年の『ハムレット』の主演は、今なお伝説として演劇史に語り継がれているほどの絶賛を博す。
貴公子ハムレットの異名を持った。
1963年、文学座を脱退。福田恆存らと「現代演劇協会」を設立。付属「劇団雲」で活動する。
その後、1975年「劇団雲」を脱退し、「演劇集団円」を創立。1987年「夜叉が池」が演劇集内藤裕子
劇作家・演出家
1975年、埼玉県生まれ。演劇集団円所属。2002年に劇団「green flowers」を旗揚げ。丹念な取材に基づく、優しさと温かさのある文体で描く家庭劇で定評がある。
2014年、演劇集団円『初萩ノ花』(作・演出)により読売演劇大賞優秀作品賞受賞、第18回鶴谷南北戯曲賞ノミネート。2020年、演劇集団円『光射ス森』(作・演出)により第65回岸田戯曲賞ノミネート。2022年演劇集団円『ソハ、福ノ倚ルトコロ』(作・演出)により第57回紀伊國屋演劇賞個人賞受賞。エーシーオー沖縄・名取事務所共同制作『カタブイ、1972』により第26回鶴屋南北戯曲賞と第10回ハヤカワ「悲劇喜劇」賞をダブル受賞。団円での唯一の演出となる。1981年61歳で死去。