下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

11月のお薦め芝居(2005年)



11月のお薦め芝居


11月のお薦め芝居

by中西理



 




 いろいろあって停止状態だったお薦め芝居。今月から大阪日記ともども再スタートしたい。




 今月のイチオシはロリータ男爵「信長の素」★★★★である。多摩美術大学の出身大学という出自を生かして、そのビジュアル感溢れる舞台美術の
壮大なる無駄骨折りぶりにいつも笑わせられてしまう彼らだが、その馬鹿パワーをひとつの到達点を示した作品がこの「信長の素」であった。初演時にインターネット演劇大賞にも選んだこの集団の代表作を劇団結成の10周年アニバーサリー公演として初めて再演される。
 女にとって理想の男とは、強く知的でそしてちょっぴりW・A・R・U。そんな男がかつて存在した。民から鬼、魔王と呼ばれたその男の名は…織田信長(1534〜1582)。その理想の男信長を女王の結婚相手として蘇らせる事とした一族は、本能寺跡から信長のDNAを捜し出し、信長のクローン製造に成功した。しかし、信長と言う男、果たして女王の結婚相手として本当に相応しいのか…。また、その遺伝子は一族に優秀な子孫を残す事ができるのか…。それを見極めるべくひとりの遣いが戦国時代へと送られた。優れた遺伝子は優れた男の優れた種の中に……。ロリ男初の時代劇ミュージカルとして銘打たれて上演されたものの
以上の粗筋を聞いただけでも「なんじゃそりゃ」と思ってしまう名作(迷作?)がオマンキー・ジェット・シティ(ゴキブリコンビナート)、元猫ニャーの小村裕次郎ら強力な客演(?)を加えてパワーアップして甦る。さらにこの舞台では劇団初の関西公演も予定されており、関西の演劇ファンもこのオオ馬鹿パワーの大爆発にはぜひ注目してほしい。




 チェルフィッチュ「目的地」★★★★こまばアゴラ劇場)にも注目したい。こちらも先日びわ湖ホールで初演した舞台の再演ではあるが、出演者も増やし、一層練り直しての上演となる。



 一方、弘前劇場「FRAGMENT 刻印」「FRAGMENT F.+2」★★★★にも注目したい。主宰、長谷川孝治と並ぶもうひとりの柱であった畑澤聖悟らの退団など、激震が走った昨今の弘劇だが、体制を新たにしての再出発に選んだのは長谷川の代表作ともいえる「F.+2」と今から10年前、95年の作品「刻印」の「FRAGMENT」シリーズ2本立てである。再演とはいえ、再演ごとに新たな挑戦を見せてくれる長谷川演出だけに今回はどんな風になるのかが待ち遠しい。




 ダンスではBABY-Q 「Alarm!」★★★★(シアタートラム)にも注目してほしい。コンペ総なめで注目の東野だが、カンパニーとしてはこれが東京では初めての本公演となる。「Alarm!」は再演ではあるが、カンパニーごと東京に拠点を移し、新展開を目指すBABY-Qとしても最初の公演となることもあり、内容は大幅に変更され、ほぼ新作に近いものになりそう。東野としても真価が問われる舞台となるだけにどんなものを見せてくれるのか。




 1年に1回、恒例の企画、なにわのコリオグラファーを自認する北村成美が踊りまくる北村成美「北村成美のダンスマラソン」★★★★も必見の公演。恒例の企画とは書いたが実は昨年のダンスマラソンは北村の故障のために公演中止になり、今回はその意味でも2年越しの待望の舞台。しげやん復活の鐘を華々しく鳴らす公演になるはず。





 元ダムタイプで現代美術作家として知られる高嶺格といえば金森穣とのコラボレーションでも話題となったが、今回は初のパフォーマンス作品に取り組む高嶺格パフォーマンス「もっとダーウィン」★★★★にも注目したい。現代美術作家としてはここのところ急速に知名度を上げ、今もっとも旬の人といっていい高嶺だが、舞台作品は未知数。それだけにどんな作品が出来上がってくるのか、期待が膨らむ。





 飛ぶ劇場「IRON」★★★★




 千日前青空ダンス倶楽部「夏の器 総集編」★★★★ 




 アサヒビールアートフェスティバルに参加してのトリのマーク(通称)「水と魚の記憶」★★★★にも引き続き注目したい。今回は「ふたつの向島-東京⇔尾道-
+<水と魚の記憶>」★★★★
のリーディング公演である。「場所から発想する演劇」のトリのマークが各地方の面白い場所と出会うことでどんなものを生み出すのか、興味はつきない。



 
 演劇・ダンスについて書いてほしいという媒体(雑誌、ネットマガジンなど)があればぜひ引き受けたいと思っています(特にダンスについては媒体が少ないので機会があればぜひと思っています)。特にチェルフィッチュについてはどこかにまとまった形で書いておきたいと思っているのだけれど、どこか書かせてくれるという媒体はないだろうか。
 私あてに依頼メール(BXL02200@nifty.ne.jp)お願いします。サイトに書いたレビューなどを情報宣伝につかいたいという劇団、カンパニーがあればそれも大歓迎ですから、メール下さい。パンフの文章の依頼などもスケジュールが合えば引き受けています。







中西