下北沢通信

中西理の下北沢通信

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 「ダンスの未来」公開選考会(7時〜、京都府民ホールALTI)を見る。
 来年2月に京都府民ホールALTIで行われるダンス企画「ダンスの未来」の出演者を選ぶための公開選考会である。
参加したのは小川珠子・坂本公成モノクロームサーカス)・セレノグラフィカ・浜口慶子舞踊研究所・花嵐・森本達郎(Satzkamer)の6団体(人)。この公開審査会はプレゼンテーションとはいっても必ずしもパフォーマンスを見せるという形式でなくてもいいらしく、そのため予定されるパフォーマンスの一部を見ることができたのはSatzkamer・セレノグラフィカ・浜口慶子舞踊研究所だけであった。
 それでも坂本公成モノクロームサーカス)は自分たちの過去の作品のビデオとそのビデオの一部に合わせて今回のテーマである音楽家との共同製作で作品作りに参加する音楽家(THIS)の即興演奏が紹介された。これはバイオリンとピアノのデュオなのだが、即興でありながらジャズではなく、あえていえば現代音楽だがそれも調性のまったくないようなものではなく、聴いていてとても心地よく、モノクロームサーカスとの組み合わせでぜひ作品を見てみたいと思わされた。
 もっとも、今回の公開選考会では最初にプレゼンを行った小川珠子などは制限時間があることも了解しておらずだらだらとダンスと音楽についての講義をはじめてしまい「おい、ちょっと待ってくれ」といった雰囲気。審査する方は専門家ばかりなはずなのにいまさら、ヒップホップのダンスは音楽に同期するが、我々のはそうじゃないなどと言われても、そんなことはいいから早くなにをやるのかしゃべってくれと思ってしまった。それと比べるとまだましだが、花嵐などは面白そうなのにひょーたんオーケストラの音がいっさい聞けないからアジア的な音楽がなんだのと能書きだけを聞かされても困ってしまうのだ。
 そういうわけで私がこのプレゼンだけで選ぶとしたら、坂本公成モノクロームサーカス)と作品の一部を見せてくれてそれがそれなりに面白かった森本達郎(Satzkamer)の2組。次点としてプレゼンはうまくなかったけれど花嵐だろうか。
セレノグラフィカは実力のある人たちではあるが、今回のプレゼンを見てその続きが見たいという気には残念ながらならなかった。さて、どこが選ばれているだろうか。

 選考会終了後、坂本公成と会うのは随分ひさしぶりだったので、夕食とりがてら少し話を聴いた。来年は坂本氏は大忙しで、6月ぐらいには山口県山口情報芸術センターダムタイプ藤本隆行とダンス作品を共同製作。これは山口で上演した後、シドニービエンナーレ舞台芸術祭?)で上演される予定らしい。これにはダンサーとしてモノクロームサーカスのメンバーが参加する。この他、船橋、仙台でもWSを継続したうえで「大収穫祭」の上演など計画中らしい。この他にもアジア各国のアートプロデューサーとのミーティング(京都でやって来たクリエイターズ・ミーティングのアジア版と称していた。日本(坂本)、シンガポール、ソウル、香港、台北のフェスティバルディレクターが一堂に会するという企画。さらに再来年にはアメリカ・ニューヨークでのダンスショーケース公演にも参加の予定もあり、準備中という。