下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

横浜ダンスコレクションR '06

「横浜ダンスコレクションR '06」横浜赤レンガ倉庫)を観劇。

《横浜ダンスコレクションR '06》
岡本真理子振付作品:『プチサバイバル・ガーデン』新作
(2005年 横浜ソロ×デュオ<Compétition>+【若手振付家のための在日フランス大使館賞受賞振付家】)
振付作品:『Double Montage』新作
(2005年 横浜ソロ×デュオ<Compétition>+【未来へはばたく横浜賞受賞振付家】)
濱谷由美子振付作品:『R』
(2005年 横浜ソロ×デュオ<Compétition>+【ナショナル協議員賞受賞振付家】)

 濱谷由美子の「R」は濱谷が一昨年に上演した作品*1の再演ではあるが、映像や舞台美術を初めて使ったことでやや焦点がぼけてしまっていた作品を純粋に身体の動きだけに焦点を絞り込む形でタイトに再構築し、「立ち尽くすダンス」というそのラジカルなコンセプトは一層露わになった。完成度においてはまだ若干の難があったものの、ダンスに対するアプローチは刺激的なものであった。
 前作の「SPIN」そしてその発展形といえる「GARDEN」は「倒れるまで踊り続ける」というコンセプトだったが、こちらは「倒れるまで立ち尽くし続ける」というコンセプト。やっている作業は一見対極的に見えるが、いずれも身体に通常ではない負荷をかけ続けていくことで、初めて立ち現れる身体のありようを舞台上に提示してみせるという意味では共通点があり、この2作品は2部作としていわば双子のような作品ともいえる。実は負荷をかけることで、立ち現れる身体のアンコントローラブルな動き、いわばノイズ的身体*2にこそ最近の日本のコンテンポラリーダンスの新たな問題意識があるのじゃないかと今、考えていて、その意味でもこの作品には注目する必要があるのではないかと思った。

*1:http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20040529

*2:ニブロールチェルフィッチュ、そして揺れる台の上で踊る山下残の「船乗りたち」