下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

玉田企画「今が、オールタイムベスト」@東京芸術劇場

玉田企画「今が、オールタイムベスト」@東京芸術劇場

ある家族とその関係者が、結婚式のために長野県辺りにある避暑地の別荘地に前乗りでやってきて大騒ぎするお話です。結婚式前に別荘地に前乗りして大騒ぎするわけですから、それなりに小金持ちで、それなりにいけ好かない連中なのです。そんな彼らの中の、共感できるような感情や、滑稽で愛すべき姿に焦点を当てて描いた作品です。初演よりパワーアップしたものをお見せできるように頑張ります。

玉田真也


作・演出: 玉田真也
出演:

浅野千鶴(味わい堂々)
岩崎う大かもめんたる
神谷圭介(テニスコート
篠崎大悟(ロロ)
玉田真也
奈緒
野田慈伸(桃尻犬)
堀夏子(青年団
山科圭太

舞台監督:鳥養友美
舞台美術:濱崎賢二(青年団
照明:井坂浩(青年団
音響:池田野歩
衣装:アレグザンドラ早野
宣伝美術:牧寿次郎
制作:足立悠子、小西朝子、井坂浩
協力:アービング、イマジネイション、エクリュ、サンミュージックプロダクションスターダストプロモーション、レトル、味わい堂々、劇団かもめんたる青年団、テニスコート、桃尻犬、ロロ
主催・企画制作:玉田企画
提携:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場

玉田真也は青年団演出部所属の気鋭の若手作家演出家。同僚である大池容子(うさぎストライプ主宰、青年団演出部)と一緒にNHKの深夜ドラマ「伝説のお母さん」の脚本を担当したほか、昨年は映画「あの日々の話」の監督も手掛けるなど、舞台以外にも活躍の場を広げている。とはいえ、ホームグラウンドはあくまで舞台。今回の公演は以前アトリエヘリコプターで初演*1された作品を東京芸術劇場で再演することになった。
3年前の6月に初演された作品。中学生、大学生などのいわば同質性が強い小集団の中での閉じた関係性から生み出させる微妙な空気感を笑いに転換してきた玉田真也だが、この作品に登場するのは社会人である大人たち。とはいえ、舞台の描写が社会に開かれていくというようなことはいっさいなく、相変わらずの玉田節である。
 野田慈伸(桃尻犬)、山科圭太ら主要キャストが初演同様の安定の玉田印の人物像を演じる。それに加えて、今回の新キャストで白眉となったのが、奈緒であろう。テレビドラマ「あなたの番です」でストーカー的な狂気を感じさせる女を怪演して強烈な個性を印象づけたが、この「今が~」でも二人の男を手玉に取る女を演じ、怪しい魅力を発揮した。
 初演でも感じたが、コミュニケーション障害を思わせる少年を演じる玉田真也は迫真の演技。この役があってのこの作品とも思わせるところがあった。神谷圭介(テニスコート)のどこか周囲から浮かび上がってしまう不調和感には笑ってしまう。こんな風に出演者のそれぞれにうまく個性を発揮できる居所を見つけるうまさは抜群で、一度ここで見てしまうと野田慈伸にしても山科圭太にしてもこういう人としか思えなくなってしまう。全く別の芝居で別のキャラを演じていてもそうとしか思えなくなるのが、やっかいなところなのだが(笑い)。

青年団・現代演劇を巡る新潮流 vol.2 玉田真也(青年団リンク 玉田企画)評論編 https://spice.eplus.jp/articles/66009
青年団・現代演劇を巡る新潮流 vol.2 玉田真也(青年団リンク 玉田企画)インタビュー編 https://spice.eplus.jp/articles/65513