下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

ももいろクローバーZ「ももクロ 春の一大事 2018」@滋賀県 布引運動公園陸上競技場(布引グリーンスタジアム)

ももいろクローバーZももクロ 春の一大事 2018」@滋賀県 布引運動公園陸上競技場布引グリーンスタジアム

ももいろクローバーZももクロ 春の一大事
2018 in 東近江市 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ~ 」
滋賀県 東近江 (布引運動公園陸上競技場)
野外 ライブ コンサート

セットリスト
1.DNA狂詩曲
2.BLAST!
3.行く春来る春
4.ピンキージョーンズ
5.Chai Maxx
6.GET Z GO!!!
7.勝手に君に
8.ザ•ゴールデン•ヒストリー
9.DECORATION
東近江市小学生達の合唱
未来へ(kiroro
風が吹いている(いきものがかり
10.希望の向こうへ
11.ももクロのニッポン万歳!
12.コノウタ
13.サボテンとリボン
14.CONTRADICTION
15.笑一笑~シャオイーシャオ!~
16.チントンシャン
17.Link Link
18.青春賦
19.桃色空

アンコール


20.吼えろ
21.オレンジノート
22.走れ!-Z ver.-
23.行くぜっ! 怪盗少女

ももいろクローバーZの春ライブの名称が「春の一大事」なのだが、今年からこの春のライブは地方自治体から候補地を募集、ももクロと地元が協力してライブを運営するというユニークな内容となっている。
 この雛形は昨年開催された埼玉県富士見市でのライブで生み出されたものだが、富士見市の場合は有安杏果富士見市出身だったという縁から始まったものであり、同市にアドバイザー的な役割でかかわっていた平田オリザ氏の助力もあって開催にこぎつけた。その意味では公募による開催は今回が最初であり、2日目には来年も同様の形で「春の一大事」が開催される旨の発表もあったが、アーティスト側と自治体が共同で開催する一大イベントとしての野外ライブというのはこれまで例がないものではないかと思う。
 ももクロからしても今回は今年始めの有安杏果の卒業(脱退)を踏まえて、4人の新体制により最初に開催する大規模ライブとなった。それゆえ、4人のももクロの実質的なデビュー戦として5人時代と遜色のないクオリティーのライブが出来るのかというのはひとつの見所だったが、ライブでは冒頭から「DNA狂詩曲」「Blast!」と5人での代表曲をたて続けにぶち込むといういわば先手必勝な
セットリスト。「Blast!」では杏果のパワフルな歌唱でのスタートが極めて印象的だが、ここは夏菜子が担当。モノノフの不安を断ち切るような歌声は4人のももクロの「名刺代わりの1曲」を思わせるものであった。
 とはいえ、東京周辺のような都市照明の影響を受けずに透明感のある空が広がる現地の立地も考慮にいれ、この日の白眉となったのは夕焼けの美しい桃色の空のもとで歌い上げた「桃色空」だろう。Kinki Kids堂本剛の提供曲でこれまでいろんなライブで披露して冒頭の夏菜子、杏果と続くデュオ的な歌唱部分がきわめて印象的な楽曲。
しかし、これまで野外のライブでは太陽がまったく見えない曇り空や雨模様ばかりで桃色の空の下歌ったことはなかった。
 天気に関しては日産スタジアムに豪雨の後、見事に虹がかかったあの伝説の「桃神祭」2日目をはじめ、信じられぬ天の恵みに祝福されるのがももクロライブなのだが、雲ひとつない夕空に数機の飛行機雲が見えたこの日の光景はこれまでのももクロの歴史の中でも記憶に刻まれるものとなりそうだ。
 冒頭は杏果、夏菜子から詩織、夏菜子に変更になったが、持ち味は違うけれど遜色のない出来栄え。後半の杏果のフェイクの部分はあーりんが担当になり、こちらはまだ頑張っているものの「遜色ない」とは言いがたいところだが、ここからスタートということを考えると悪くはないと思う。
 いまさら言うべきことではなく、やはり杏果の不在が大きいのは言うまでもないけれど、この日はやらなかったが2日目の最後の曲としてやったもうひとつの宿題「灰とダイヤモンド」の「砂にまかれても」などあーりんへの負担が一番大きいのかもとも思うが、個人的にはこれが大器あーりんの一層の成長を促す契機となればと思っている。まさに「灰とダイヤモンド」の歌詞をそのまま地でいくように。

『吼えろ』ももクロ♡新境地へ ×ファンキー加藤 〜田中将大 最新登場曲〜
 この日個人的にもっとも熱い気持ちになったのは新曲の「吼えろ」、2年前(?)の登場曲の.「GET Z GO!!!」、そしてライブの定番である「.勝手に君に」と3曲を歌って海の向こうで頑張るヤンキースの田中将投手に熱いエールを送ったことだ。なかでも「吼えろ」がよかった。さすがファンキー加藤は田中の今置かれた状況と思いをよく分かっていると思い、聞いていて涙が止まらなかった。昨年の「いつだって挑戦者」がいい歌だったから、今年も同じ歌でいいじゃないかと考えていたがそうじゃない。歌詞にははっきり歌われることはないけれど、もちろん、田中の思いは今年こそワールドシリーズに出て、マウンドで世界一に貢献することだ、その一点しかないし、メジャーの最近の動向からすれば今年が最大にして最後のチャンスかもしれない。この「吼えろ」はそういう思いのすべてを注ぎ込んだような歌で、ももクロのファンとしての見果てぬ夢は田中がこの歌をバックにワールドシリーズのマウンドに向かい勝利投手となり、栄冠をつかむことだ。大谷選手じゃないけれど、そんな漫画のようなことが起こることはないのかもしれない。でも、昨年プレーオフで喫した敗戦をいまだに背負いながら今シーズンのマウンドに登っていることは間違いないだろう。残念なのはヤンキースファンがおそらく日本語で歌われたの歌の歌詞の意味を知らないだろうことで、誰かYoutubeの翻訳職人が対訳作ってヤンキースファンも読めるようにした版を上げてくれないかなということだ。そういえばこの曲まだどこでも販売されていないよなあ。この日はやはり田中選手の入場曲だったのにライブでは披露したことがなかった「GET Z GO!!!」

ヤンキース マー君、登場曲はももクロ「GET Z, GO!!!!!」 ( 2016.9.5) NY 田中将大
も歌われたが、この曲もなかなかよい曲でなぜこれまでやらなかったのかと疑問に思われるほどだった。
 「春の一大事」で感動したのは地元の小学生らとの合唱で昨年に続き2回目だが、今後は自治体へのライブ開催地募集が続けば定番演出ともなりそう。
 今年は宗本康平のピアノ演奏で子供たちが「未来へ」「風が吹いている」を歌った後、舞台上に高城れにが現れて1万5000人を前にアカペラで「希望の向こうへ」の冒頭を歌いはじめた。ここのアレンジが本当に見事でその後を玉井詩織が加わり、メンバー全員が出揃いピアノ演奏、合唱とあわせてこの歌を歌い上げるのだが、高城の包み込むようなやさしい歌声が杏果の攻撃的なインパクトのある鋭い歌唱を失った後のももクロの新たな武器としてよりクローズアップされてきたと感じた曲でもあった。