下北沢通信

中西理の下北沢通信

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会場に響き渡る透明な歌声 ピアノだけの「希望の向こうへ」に思い託す「ももクロ 春の一大事2022 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ in 楢葉・広野・浪江 三町合同大会~」1日目@福島Jヴィレッジ

ももクロ 春の一大事2022 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ in 楢葉・広野・浪江 三町合同大会~」1日目@福島Jヴィレッジ

ももいろクローバーZももクロ)は4月23、24日に福島・Jヴィレッジでライブイベント「ももクロ 春の一大事2022 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ in 楢葉・広野・浪江 三町合同大会~」を開催した。ももクロの春ライブは「春の一大事」と題して、各地方の地方自治体と提携し、共同開催する今の形を取るようになってこれが4回目。埼玉県富士見市滋賀県近江市、富山県黒部市と続き、今回は 楢葉・広野・浪江 三町合同大会として開催されたが当初2020年の東京五輪を前に復興のシンボルこめられこめられ聖火のスタート地点とされたこの地で予定されていたのがコロナ禍による二度の延期をへてようやく今春実施されることになった。
ももクロの野外での大規模なライブも黒部市での「ももクロ 春の一大事2019」以来の開催となり、今回はその時以来となる周回ライブ(きてくんちぇパーク)も開催されたことから、マスクの着用義務、コールの全面禁止など感染予防に十分な注意をしながらとの前提条件付きではあるが、いよいよ本格的なライブ活動再開へと大きく舵をきったといえるだろう。
 ももクロには「Hanabi」のような鎮魂をイメージした楽曲や死からの再生を主題にした楽曲もあるのだけれど、今回のライブではあえてそういう東日本大震災の被災者や原発事故による被災などを感じさせる楽曲ははずして、いまや春の一大事のテーマ曲となりつつある「幕が上がる」の関連楽曲や「背番号」「吼えろ」「何時だって挑戦者 -ZZ ver.-」「勝手に君に-ZZ ver.-」などの東北楽天イーグルス田中将大の登場曲を地元の人たちを含めた東北の人たちへのエールとして、セットリストを組んだ。
 とはいえ、今回の「ももクロ春一」の曲中で白眉となったのは宗本康兵のピアノのみの演奏による「希望の向こう側」の歌唱といえるだろう。冒頭の透明感のある高城れにのソロが印象的なナンバーだが、この歌は福島第一原発事故の被災地となったこの地の復興後、コロナ後への明るい未来に祈りを捧げたようにも思われた。これまでは「ももクロ春一」では毎回地元の子供たちのコーラスとの共演が毎回披露されて、感動の場面となってきたが、今回はコロナ感染防止の観点から地元の子供たちの出演はあきらめざるをえなかった。

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 代わりに組み込まれたのがピアノ演奏のみでの楽曲披露の場面で今回は「希望の向こうへ」「行く春来る春」の2曲を披露。以前はこういうところでは緊張のあまり音程が揺らいでしまうようなことが多かった高城だが、今回は堂々とした安定ぶりで、ももクロ全体としても広い会場の隅々まで生声だけで支配する圧倒的な歌唱力の高さを見せつける形となった。
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