下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

◎「振り返る私の2014」 中西理

◎「振り返る私の2014」 中西理(中西理の下北沢通信)http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/

1.悪い芝居「スーパーふぃクション」@赤坂 RED THEATER

2.鳥公園「緑子の部屋」@3331 Arts Chiyoda B104

3.Cui?「止まらない子供たちが轢かれてゆく」@小竹向原・アトリエ春風舎

 ▽年間観劇本数=150本

▽コメント

 今年は最近では珍しく豊作な1年。3本に絞り込むのは困難を極めた。アビニョン演劇祭で大きな成果を残したSPAC(宮城聰)を筆頭に維新派青年団ミクニヤナイハラプロジェクト、マームとジプシーらベストアクト常連組はいずれも好舞台を見せてくれたが、「振り返る私の2014」では今後の演劇界を引っ張っていきそうな勢いを感じさせた若手の舞台を選んだ。
 ここ数年関西で面白いのはと聞かれると悪い芝居と木ノ下歌舞伎と答えてきた。昨年(2013年)「東海道四谷怪談 〜通し上演〜」の上演などで木ノ下歌舞伎が躍進。悪い芝居はやや水を開けられた感があったが、今年(2014年)は「圧倒的な虚業を目指す」と宣言する主人公を登場させた一風変わった音楽劇「スーパーふぃクション」で突き抜け、山崎彬(=悪い芝居)は一気にこの世代のトップランナーに躍り出た。 一番勢いのあった頃の大人計画ナイロン100℃を思わせる迸るようなエネルギーを感じさせた。
 一方、さらなるネクストジェネレーションの萌芽を感じさせたのが鳥公園(西尾佳織)とCui?(綾門優季)。いずれもままごとやチェルフィッチュなどが手掛けてきた叙述や劇構造の実験性をさらにもう一歩推し進めようというような作風で今後の活躍が期待できそう。