◎「振り返る私の2013」 中西理(中西理の下北沢通信)http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/
1.維新派「MAREBITO」@岡山・犬島海水浴場
2.松田正隆×松本雄吉「石のような水」@にしすがも創造舎
3.木ノ下歌舞伎「東海道四谷怪談 〜通し上演〜」@池袋・あうるすぽっと
▽年間観劇本数=150本
▽コメント
2013年は演出家、松本雄吉(維新派)が日本現代演劇におけるひとつの到達点を示した年だった。瀬戸内国際芸術祭2013に参加し、岡山・犬島で海水浴場から眺められる島々を借景に維新派「MAREBITO」は日本のルーツとしての南島論を展開した。ひさびさにスペクタクルに溢れ維新派の野外劇の魅力を堪能できた舞台だった。
さらに松本はF/T2013にも参加、松田正隆(マレビトの会)の書き下ろした会話劇を独自の手法で演出し新たな姿を見せた。松本×松田のコンビが作品を上演するのは2010年の「イキシマ」以来。今回はタルコフスキー「ストーカー」「惑星ソラリス」を下敷きにポスト3・11の日本の状況を重ね合わせた。松田は1990年代に演出・平田オリザと秀作を次々と上演したが、松本演出とのコンビはそれに匹敵するものとなった。
ポストゼロ年代の若手劇団では「東海道四谷怪談 〜通し上演〜」など木ノ下歌舞伎の躍進が目立った。