下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

 HEP HALLプロデュース「ケツバン」(7時〜、HEP HALL)を観劇。
 メンバーが集まらず試合が出来ないために求人雑誌に時給で参加する野球選手を募集する草野球チームの話である。どう言えばいいのか。こういう種類のプロデュース公演としてはけっして出来が悪い方ではないし、見ている時には十分以上に楽しめもする。だが、こぐれ修(劇団★新感線)、中川浩三(元そとばこまち)ら出演者がいくら芸達者であってもそれだけじゃ耐えられない、なにかそれ以上のものが舞台からほしい自分がいるので困ってしまう。以前は演劇表現としての刺激が別になくても役者が魅力的であればそれだけでも楽しめたものだが、最近は妙にハードルが高くなっている気がする。いつからこういう風な体質になってしまったのか……。
 こぐれ修、中川浩三らのハイテンションの演技はHEP HALLの前身であるオレンジルームで劇団★新感線やそとばこまちがつか芝居を演じていた時代の雰囲気を彷彿とさせるところもあって懐かしく、今回のHEP HALLの第1回プロデュースがオレンジルーム時代からこの小屋を運営してきた福田昌治プロデューサーの退任前の最後の仕事だと考えると「らしさ」はやはりあって、一種の感慨の念が引き起こされてくるということはあるのだが、企画意図のあっていくぶんやむをえないところはあるとはいえ、芝居のテイストにすごく古めかしさを感じてしまったのも確かなのである。
 ロビーにこぐれ修あての「舞台復帰祝い」の「花束」が出ていて、その送り主が「劇団★新感線一同」だと思いきや「劇団★新感線一部」となっていて、しかも花束をよく眺めたら、パチンコ屋の新装開店によく並んでいる「あれ」だったので思わず笑ってしまった。あの劇団らしいシャレだが、いったいだれが贈ったのだろう(笑い)。
 「バーフィネガンズ・ウェイク」で現代アートにおけるコピーとオリジナルなどを主題に議論。白熱して気が付いたら明け方近くになってしまい、またもや原稿書きは全然できずじまい。