本番明日(5月15日)に迫りましたが、参加者少なくピンチです。当日参加も歓迎ですが、可能な人はぜひ予約をお願いします。
主宰・中西理(演劇舞踊評論)=演目選定
東心斎橋のBAR&ギャラリーを会場に作品・作家への独断も交えたレクチャー(解説)とミニシアター級の大画面のDVD映像で演劇を楽しんでもらおうという企画がセミネール「演劇の新潮流」です。今年は好評だった「ゼロ年代からテン年代へ」を引き継ぎ「ポストゼロ年代へ向けて」と題して現代の注目劇団・劇作家をレクチャーし舞台映像上映も楽しんでいただきたいと思います。
新シリーズでは引き続きポストゼロ年代演劇の劇作家らを紹介していき、この世代に起きている新たな潮流の最新の動きを紹介していくとともに90年代半ば以降は平田オリザに代表される「群像会話劇」「現代口語演劇」中心の現代演劇の流れの非主流となってきた「身体性の演劇」の系譜の流れを紹介していきたいと考えています。
ライトノベル世代の演劇
「演劇の新潮流2 ポストゼロ年代へ向けて」でクロムモリブデンに続き、今回取り上げるのはロロ=三浦直之です。ままごとの柴幸男、柿喰う客の中屋敷法仁ら昨年あたりからポストゼロ年代の劇作家たちが本格的に台頭してきたのですが、そのなかでも漫画、アニメ、小説(ライトノベル)といった他ジャンルのからの影響を強く感じさせるというのがロロの特徴です。
ゼロ年代における(小説・現代美術・映画などの)表現傾向は簡単に言えば「漫画やアニメやゲームみたいだ」ということなのだが、ロロの三浦直之にはどうやらそうしたほかのジャンルの表現の要素を演劇に積極的に取り入れ展開していこうという強い意思があり、確信犯としてそれを目指しているようだ。
演劇の世界では平田オリザの現代口語演劇の影響力からか小説などのほかのジャンルにおけるアニメ・漫画的なキャラクター設定やゲーム的な仕掛けなどのいわゆるゼロ年代的な要素の導入が目立ちにくいきらいがあった。そのため、先行するジャンルとは明らかにタイムラグがあり、演劇においてもようやくそれが顕在化してきたのが2010年以降になってからだ。
ロロの作品は参照項として数多くアニメ、ライトノベル、漫画からの引用や見立てが仕込まれていて、元ネタを知る人はそれがトリガー(引き金)となって、アニメ的なイメージが立体化されて再現させるような仕掛けとなっているのだが、参照元のジャンルへのリテラシーがないとこれは本当に「なにがなんだか分からない世界」なのだ。そういう意味でこれはよくも悪くも極めてポストゼロ年代的といえるだろう。
『いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校』(2010)
三浦直之インタビュー
「セカイ系」的な物語構造をデス電所、五反田団などのゼロ年代演劇が持っていることをこれまでのレクチャーで分析してきましたが、ロロの場合、その物語の多くが「僕と彼女の物語」の形式をとっていることや例えば谷川流の「涼宮ハルヒ」シリーズがそうであるように唐突にほとんどなんの説明もなく一見、日常的な物語世界に宇宙人のような非日常的なものが登場したりするという意味で、より本格的にいわゆる「セカイ系」と呼ばれる物語の特徴をよく受け継いでおり、ライトノベルやゲーム、アニメ的な世界のガジェットが数多くちりばめられているのもその特徴。そのため、その評価にもライトノベルなどに慣れ親しんだ熱烈な支持層がいる一方で、激しい拒否反応もあり、そういう意味ではポストゼロ年代において出るべきして登場してきた集団といえるだろう。今回はロロの舞台映像を基にポストゼロ年代演劇について考えてみたいと思う。
「ゼロ年代からテン年代へ」では前田司郎*1、三浦大輔*2、岡田利規*3らゼロ年代の作家たち。「わが星」で岸田戯曲賞を受賞し話題の柴幸男をはじめ、快快(篠田千明)、柿喰う客(中屋敷法仁)、悪い芝居(山崎彬)らこれからの10年間の新しい潮流を作って行きそうな作家たちの舞台を取り上げてきました。
【日時】5月15日(日) 7時半〜
【演目】「いつだっておかしいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校」「旅、旅旅」など
レクチャー担当 中西理
【場所】〔FINNEGANS WAKE〕1+1 にて 【料金】¥1500[1ドリンク付]
※[予約優先] 定員20人ほどのスペースなので、予約をお願い致します。当日は+300円となりますが、満席の場合お断りすることもあります。
【予約・お問い合わせ】 ●メール fw1212+110515@gmail.com あるいは BXL02200@nifty.ne.jp(中西) 希望日時 お名前 人数 お客様のE-MAIL お客様のTEL お客様の住所をご記入のうえ、 上記アドレスまでお申し込み下さい。ツイッター(@simokitazawa)での予約も受けつけます
06-6251-9988 PM8:00〜 〔FINNEGANS WAKE]1+1 まで。 web:http://t.co/bc4sE62 Bridge Gallery & Bar 〔FINNEGANS WAKE〕1+1 大阪市中央区東心斎端1-6-31 リードプラザ心斎橋5F (東心斎橋、清水通り。南警察署2軒西へ)
2009 年5 月、三浦直之の処女作『家族のこと、その他のたくさんのこと』の王子小劇場「筆に覚えあり戯曲募集」史上初入選をきっかけに旗揚げ。同作が2009 年度王子小劇場佐藤佐吉演劇賞最優秀脚本賞ほか、4 部門を受賞。同年は「毎月芝居します! 」と宣言し、現在までに12 本の作品を発表している。自身が触れてきた演劇や小説、映画、アニメや漫画などへの純粋なリスペクトから創作欲求を生み出し、同時多発的に交錯する情報過多なストーリーを、さらに猥雑でハイスピードな演出で、まったく新しい爽やかな物語へと昇華させる。《誰かを好きになるって素敵なことだよね》っていうことを様々な方法で表現し続けてきたが、まだまだ未開発未開拓。これからなにを物語るかは誰にもわからない。素晴らしいのはバラエティィィ!!!
出演者
「ゼロ年代からテン年代へ」
第1回
小指値(快快)「霊感少女ヒドミ」
五反田団「長く吐息」
快快「ジンジャーに乗って」
ミクニヤナイハラプロジェクト「五人姉妹」
第2回
渡辺源四郎商店「俺の屍をこえてゆけ」「河童」ほか
第3回
ポツドール「顔よ」
第4回
柿喰う客「真説・多い日も安心」
特別編
少年王者舘「夢+夜」
ままごと「わが星」
toi「あゆみ」ほか
第5回
悪い芝居「嘘ツキ、号泣」
第6回
デス電所「夕景殺伐メロウ」
セミネールで使用した主な映像
チェルフィッチュ
「三月の5日間」「フリータイム」「目的地」
ニブロール
「ニブロール 初期秀作集」「3年2組」「青ノ鳥」初演版「青ノ鳥」NHK放映版
「ROMEO OR JULIET」「no direction」
青年団
「冒険王」「バルカン動物園」「S高原から」「東京ノート」(南河内万歳一座「S高原
から」)
イデビアン・クルー
「排気口」「くるみ割り人形」
弘前劇場
「家には高い木があった」「職員室の午後」「冬の入り口」「あの川に遠い窓」(山田
辰夫・村田雄浩出演)
レニ・バッソ
「Finks」「ゴーストリー・ラウンド」「Slowly,slow for Drive」「パラダイスローグ
Paradiselogue」
五反田団
「ながく吐息」「さようなら僕の小さな名声」「いやむしろわすれな草」
ポツドール
「恋の渦」「顔よ」「激情」など
珍しいキノコ舞踊団
「フリル(ミニ)ワイルド」「作品集抜粋」
ダムタイプ
「pH」「OR」「メモランダム」
藤本隆行
「true」「Refined colors」「lost」など
上海太郎舞踏公司
「ダーウィンの見た悪夢」「マックスウェルの悪魔」「RITHZM」など
ヤザキタケシ
「ブルータイム」「GUYS2」(トリイホール)「ヤザキタケシVS伊藤キム」など
*1:セミネールWEB講義録・前田司郎 http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000410
*2:セミネールWEB講義録・三浦大輔 http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000501
*3:セミネールWEB講義録・岡田利規 http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000226