贅沢貧乏は立教大学出身の山田由梨の率いる劇団。劇団と書いたが、山田によれば「スタッフ以外に専属の俳優はいない」とのことで、「公演ごとに俳優を外部から集めてプロデュース公演の形態で活動している」とのことらしい。贅沢貧乏はこれまで「家プロジェクト」と題して空いている一軒家やアパートを借りて、そこにメンバーも住みながら公演場所とするという活動を続けてきた。公演場所が分かりにくく出かけていくのを若干躊躇していたのと勇気を出して公演を申し込もうとしたらすでにチケット売り切れだったのが続いて、ようやく初めて見ることができたのが今年7月の「アパート編その2『みやけのFUSUMA』」。今回は2回目の観劇となった。
「家プロジェクト」も前回の公演しか見ていないため、もう何本か見てみないとはっきりしたことはいえないのだけれど、少し驚いたのは「みやけのFUSUMA」と「テンテン」では作風が全く違うように感じられたことだ。古典落語の粗忽長屋(そこつながや)のように起きてみたら死んでいる(もうひとりの)自分を発見するという不条理な設定はあったものの、公演会場となった古いアパートの部屋という設定に合わせてリアルな展開だった「みやけのFUSUMA」と異なり「テンテン」はどこにあるのかよく分からない世界で展開されるファンタジーの趣きの強い作風。