木ノ下歌舞伎「心中天の網島ー2017リクリエーション版ー」@ 横浜にぎわい座 のげシャーレ
天まで突き抜ける、
ふしだらでピュアな“愛”と“死”
作|近松門左衛門
監修・補綴|木ノ下裕一
演出・作詞・音楽|糸井幸之介[FUKAIPRODUCE羽衣]
2015年にこまばアゴラ劇場などで上演された作品の再演だが、「ー2017リクリエーション版ー」のクレジットをあえて入れたのはヒロインの小春役を入れ替えるなどキャスト変更をしたこと。さらに劇場の規模が拡大したのに伴い、演出も初演のよさは残しながらもところどころ変更を加えている。新キャストの伊東茄那がよかった。初演はロロの島田桃子が務めていてその天真爛漫なキャラがうまく生かされた見事な小春の造形であったが、この「心中天の網島」は元が近松門左衛門の義太夫芝居、つまり下座音楽を存分に使った音楽劇であり、木ノ下歌舞伎版でも演出・作詞・音楽として糸井幸之介[FUKAIPRODUCE羽衣]を迎え、全編オリジナルの音楽による音楽劇として上演した。
ただ、初演の課題は配役を原キャラのイメージに合っていることを重視して選んだせいか、ミュージカルとしての歌唱にはやや難がある出来栄えといわざるを得なかったのだ。今回は青年団の山内健司が出演しており、青年団では鼻歌以上の歌はあまり聴いたことがなかったのだが、意外と歌えるんだということが分かりびっくりした。
芝居の骨幹となるのはいずれも愛の歌でこれは日高啓介と伊東茄那、あるいは日高とおさん役の伊東沙保がそれぞれデュエットで歌う。