横町慶子×白井剛『Liebesträume~愛のオブジェ~』公演写真展 萩原美寛@文房堂ギャラリー
元ロマンチカ*1の横町慶子とダンサーの白井剛によるパフォーマンス公演『Liebesträume~愛のオブジェ~』(2014年)の際に撮影した写真の展示会が神田・神保町の文房堂ギャラリーで開催された。この日は写真展の最終日だったが昼食時間帯に仕事を抜け出して、短い時間ではあったが何とか展示を見ることができた。
展示された写真は実際の舞台を写したいわゆる舞台写真というのではなくて、公演があった時に撮影したイメージショットなどを写真展示の形式で再構成して、写真による舞台作品のように展示したもので、「公演写真展」としているのはそういう意味合いを込めてのことだろう。
『Liebesträume~愛のオブジェ~』公演写真展は2016年に展示した作品の再展示である。
公演当時、脳梗塞による左半身不随だった女優横町慶子の体調を考え公演回数は極めて短かった。そして再演を熱望されながらもその目処はたたずに終わった。
私は当初から横町と白井による鳥肌立つような公演写真を発表したいと思っていた事もあり、写真により公演を再現する公演写真展という位置付けで展示した。あれから6年、横町慶子は再び倒れ帰らぬ人になってしまった。しかし、彼女と白井剛の写真は今も色褪せる事ないエロスを讃えている。横町慶子が望んだ再展示を彼女の七回忌に文房堂において展示するのも何かの縁であろうと思う。
写真作品の作者である萩原美寛はこの写真展のことを上記のように説明している。実際の公演もこの目で見たし、最初の写真展にも出かけたが、横町慶子の「七回忌」という言葉を目にすると「もうそんなにたってしまっているのか」の感が強い。横町慶子は林巻子率いるロマンチカの伝説のヒロインで、萩原美寛はロマンチカの舞台写真を撮っていた写真家。この企画もそういう縁で実現したということらしい。
実はロマンチカの舞台写真も作者の手元にはあるらしいが、これは林巻子が世に出すのを許さないために発表はできないということらしい。林が演劇界の第一線から退いてからかなりの時をへている。ロマンチカのかつての舞台を知る人も多くはなくなっていると思うが、写真や映像による再構成で土方巽らかつての舞踏に改めて注目が集まっているという昨今の動きもある。
東京都写真美術館はかつてはダンスやパフォーマンスの公演が行われたこともあり、いまでも在籍かどうかは分からないが、舞台芸術に造詣の深い学芸員もいたはず。なんとか林巻子を口説き落として「ロマンチカ回顧展」を実現してもらえないか。今回の写真展を見て改めて思ったのだが、ロマンチカのビジュアルはいまでも決して古くは感じないし、アート好きな今の若者の方がむしり惹かれるのではないかと思うのだ。
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展覧会内容
『Liebesträume~愛のオブジェ~』公演写真展
会場名:文房堂ギャラリー
日 程:2022年3月17日(水)~3月21日(火)
時 間:10:00~18:30(最終日は17時まで)
所在地:〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-21-1文房堂ビル4F
最寄り駅:神保町、御茶ノ水
電話番号: 03-5282-7941(会場直通、会期中のみ使用可能)写真 萩原美寛
Performers 横町慶子(女優・振付家) 白井 剛(振付家・演出家・ダンサー)萩原美寛 略歴
日本大学芸術学部写真学科卒
独立後、登山家尾崎隆とヒマラヤアイランドピークへ同行取材。
スチル、ビデオを担当し朝日新聞、NHK、フォーカス、雑誌等に映像を提供する。
現在グラビア雑誌、企業広告を中心にポートレイト、フォトルポルタージュステージ写真等の撮影で活躍。 JALカード会員誌「AGORA」連載「われら地球人」では18年にわたって人物ルポを担当。
本田技研広報誌「ポールポジション」の写真を担当、役員のポートレイトから、車バイクの撮影、レース取材をこなした。
また現代芸術のプロデュ-スをする、P3 art and environment のオフィシャルカメラマンを務め、オノ・ヨーコ。インゴ・ギュンタ-、祭国強等の作品、人物を撮影。作品撮りにおいてはアーティストとの繊細なやり取りをしながらの撮影に定評があり、アーティストに指名される事が多い。オノ・ヨーコ氏もそのひとり。
共著に「ヒマラヤの子守り傘」(河出書房新社)
「馬と遊び馬に学ぶ」(講談社) 「鎌倉の西洋館」(平凡社)写真集「直紅」(玄武社)
写真展「ヒマラヤの子守り傘」「痕のさき」「記憶のかけら」(グループ展)
スイス放送協会SBC「シルヴァン」写真提供 NHK「Dr.Mituya」写真提供