下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。

イデビアン・クルー 新作『肩書ジャンクション』@東京芸術劇場 シアターイースト

イデビアン・クルー 新作『肩書ジャンクション』@東京芸術劇場 シアターイース

振付・演出:井手茂太
出演:斉藤美音子 菅尾なぎさ 福島彩子 後藤海春 酒井幸菜
中村達哉 原田悠 三橋俊平 井手茂太

d.hatena.ne.jp

日本の振付家にはソロダンサー出身の人が多いせいか、最近の振付家のほとんどが振付賞などのコンペティションを契機にステップアップしてきたためか、日本では魅力的な群舞を振り付けられる振付家はきわめて少ないのが現状です。そうした中でイデビアン・クルーを率いる井手茂太は企画ものだったソロ公演などを除くとほとんどの作品が群舞中心の作品という貴重な存在です。日本の多くの振付家がダンサーも兼ねていて、例えば勅使川原三郎伊藤キム黒田育世と挙げていってもコンテンポラリーダンスの場合、ほとんどの場合は振付家は舞台の中心に立つスターダンサーでもあるというのが通例となっています。

 それに対して、井手の場合は自らが出演する作品というのも限られていて、ダンサーというより第一のプライオリティーは振付・演出にあるというのが大きな特徴です。しかし、実際には本人はあのずんぐりむっくりした体型からは信じられないほどに身体が動く、きわめて優れたダンサーでもあります。そのことはこの「会社員」というPVを見ていただくとよく分かると思いますのでまず今日は最初の映像としてこれを見ていただきたいと思います。会社員の格好をして踊っているのが井手茂太です。途中女装して出てくる太った人も少し風貌が似ているので「井手さんこんなことまでして」と感心したのだけれど、こちらはSAKEROCKのメンバーの「ハマケン」という人でした(笑)。

 イデビアン・クルー井手茂太のことをかつてセミネールレクチャーでこのように解説したが、井手のダンスの魅力はなんといっても音楽とシンクロした群舞である。今回の新作ダンス「肩書ジャンクション」でもそうした特色は変わっていない。