『第9回 ももいろ歌合戦 』@日本武道館
『第9回 ももいろ歌合戦 』@日本武道館
週末ヒロインももいろクローバーZチーム分け
紅組:玉井詩織、高城れに
白組:百田夏菜子、佐々木彩夏第2弾出場者(50音順、[]内は出場回数):相川暖花(SKE48)[初]/AiScReam[初]/iLiFE![2]/AMEFURASSHI[5]/飯塚悟志(東京03)[8]/いぎなり東北産[5]/一之森大湖[初]/五木ひろし[5](※)/上田竜也[初]/ukka[3]/ウナギ・サヤカ[初]/ウマ娘 プリティーダービー[5]/EBiDAN NEXT[2]/大江裕[3]/岡田将生[7](※)/かが屋[3]/氣志團[9]/きゅるりんってしてみて[初]/清野茂樹[6]/キンタロー。[初]/クロちゃん(安田大サーカス)[初]/コレサワ[初]/さだまさし[9](※VTR歌唱)/佐藤弘道[2]/しなこ[初]/島津亜矢[2]/笑福亭鶴瓶[9](※)/私立恵比寿中学[7]/水前寺清子[9](※)/鈴木拓(ドランクドラゴン)[初]/スタプラ研究生[3]/Straight Angeli[初]/セカンドバッカー[初]/高井千帆[初]/高橋みなみ[初](※)/ちぃたん☆[3]/chay[初]/超特急[3]/千綿偉功[初]/DEAN FUJIOKA[初]/DXTEEN[初]/東京女子流[8]/東京ホテイソン[5]/土佐兄弟[4]/≒JOY[初]/≠ME[3]/はいだしょうこ[初]/HYDE[5]/ばってん少女隊[初]/花柳糸之社中[9]/パペットスンスン[初](※)/速水けんたろう[初]/ハラミちゃん[3]/パンダドラゴン[初]/ふたりはメリーバッドエンド[初]/平成フラミンゴ[初]/宝鐘マリン[2]/布袋寅泰[3](※)/堀内孝雄[初]/MAZZEL[初]/松崎しげる[8]/松本明子[9]/豆柴の大群[初]/マルシィ[初]/MISS MERCY[初]/宮本佳林[2]/森口博子[9]/山口智充[初]/UNIS[2]/横山だいすけ[初]/龍宮城[3]/琳子[初]/LumiUnion[初]/@onefive[初] (※はVTRでのコメント出演予定)
AMEFURASSHIが解散 ショックで言葉も出ず
AMEFURASSHIが解散 ショックで言葉も出ず
AMEFURASSHIが3月13日の品川ステラボールのライブを最後に解散することが発表された。アイドルグループに解散はありえるということは理屈では分かっていてもこのタイミングでというのがショックで言葉も出ず、いまだ呆然としている。どういう事情なのかは知りたいところだが、たこ虹の時も詳しい事情とかは結局分からずじまいであるから、これ以上の事情が明らかになることはおそらくないのであろう。それにしてもこれだけダンスも歌もタレント性もずば抜けているグループをこの時点で解散させるという判断がどうして出てきたのか。どうしても納得ができない。
ukkaとLumiunionの解散も同時に発表しているから、これはもはや個別の事情とかではなく、スタプラ(スタダのアイドル部門)全体の存続の危機にかかわるものとしか思えないが、そうなるとこのやり方は最悪じゃないかと思う。
一応、ももクロは存在する限りは応援し続けるつもりだが、既存、新設にかかわらず、もうスタダのほかのグループは応援できないかもしれない。そのぐらい会社自体に不信感を抱いてしまったかもしれない。
「Momoiro Christmas 2025 ODYSSEY」DAY2@さいたまスーパーアリーナ
「Momoiro Christmas 2025 ODYSSEY」DAY2@さいたまスーパーアリーナ
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ももいろクローバーZの定番冬ライブ「ももいろクリスマス」は毎年1年の中でももっとも作りこんだライブが行われるのだが、今年のそれはこれまでのももクロ史上でも最高といっていいほど完成度の高いライブだったのではないかと思う。
クリスマス気分の強い「今宵、ライブの下で」*1ではじまり、続く「Wee-Tee-Wee-Tee」*2でももクリだけが持つ祝祭感溢れた世界に一気に巻き込まれる。そしてここで「MOON PRIDE -ZZ ver.-」「Event Horizon」「Cosmic Commotion」と今回のライブの主題である「宇宙の旅」に私たちを完全に引き込んでいく。
このプロローグ部分の映像と同期した没入感が素晴らしい。
SETLIST
1. 今宵、ライブの下で
2. Wee-Tee-Wee-Tee
3. MOON PRIDE -ZZ ver.-
4. Event Horizon
5. Cosmic Commotion
6. サンタさん -ZZ ver.-
7. 夢の浮世に咲いてみな
8. MYSTERION
9. サラバ、愛しき悲しみたちよ -ZZ ver.-
10. Heroes
11. 月色Chainon ももいろクローバーZ ver.
12. きみゆき
13. 白い風 -ZZ ver.-
14. idola
15. overture~ももいろクローバーZ参上!!~
16. 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
17. CONTRADICTION -ZZ ver.-
18. SECRET LOVE STORY
19. レナセールセレナーデ
20. 可視光線
21. 月と銀紙飛行船
22. L.O.V.E.
23. 泣いちゃいそう冬
24. いちごいちえ
25. モノクロデッサン -ZZ ver.-
シアタートラム・ネクストジェネレーションvol.17 ―フィジカル―MWMW『どこにもない場所』@シアタートラム
シアタートラム・ネクストジェネレーションvol.17 ―フィジカル―MWMW『どこにもない場所』@シアタートラム

MWMW『どこにもない場所』@シアタートラムを観劇。ここ2年ほど定年退職したこともあり、招待されていた勅使川原三郎以外のダンス公演にほとんど行けていなかった。先日横浜ダンスコレクションのダンスコンペに行き、偶然チラシを見つけたこともあり、2022年*1以来の高橋萌登のダンス公演に行くことにした。
高橋萌登の才能にはKENTARO!!のカンパニーにいる時から注目していたのだが、久々に舞それが台を見てそれへの期待が上がりすぎたためか、今回の作品については正直肩透かしの感が否めないものだった。以前はよくも悪くもKENTARO!!の一番弟子として、群舞におけるユニゾン、ソロ、トリオなどを組み合わせて、グループ作品を組み立てていく際の手つきにKENTARO!!の影響を感じたが、現在の彼女はその引力圏から逃れることに尽力しているのかもしれない。
その結果、以前と比べるとムーブメントにせよ、構成にせよ、KENTARO!!らしさは薄れていて、自分だけのスタイルを確立しようと努力したことは作品内の随所から感じられはするが、それによって、ヒップホップを基本としたムーブメントのグルーブ感など長所であった部分の魅力も薄れてしまっている印象を受けたからだ。
KENTARO!!の振り付けるダンスの基礎はストリート系のロックダンスで、それが音楽とシンクロするときに生まれる独特のグルーブ感が作品の大きな魅力となっており、高橋萌登もそうした魅力を受け継いでいた。しかし、今回の作品では自分とは異なるテクニックを出自とするダンサーを起用することで、リズミカルな一体感が薄れていると感じた。もちろん、もともとのスタイルに固執する必要はなく、そこから離れて新たなスタイルを確立しようという意欲そのものは否定すべきものではないが、新たなスタイルでのダンスのディティールで見せきるにはまだまだ参加ダンサーのアンサンブルの熟成が足りないのではないかと感じた。
特に気になったのはアクロバット系のダンサーを起用し、ボールを使ったジャグリングを取り入れ作品のなかに挿入したシーン。これは高橋萌登の世界になり切れてないし、少なくとも私が見たかった高橋萌登作品はこういうのではないと強く違和感を感じてしまった。
【振付・構成・演出】高橋萌登
【出演】金森温代 中谷友紀 高橋萌登(以上MWMW) 稲田涼香 大西優里亜 chibisaku 長岡岳大 仲宗根葵 松田崚汰 潜川酸【舞台監督】原口佳子
【照明】正傳静(劇団背傳館)
【音響】泉田雄太
【映像監修】高橋啓祐
【映像操作】革崎文
【舞台美術】佐々木文美
【パフォーマンス・ビジョン・イネーブラー】伊藤千枝子
【劇中音楽・映像制作・宣伝美術】高橋萌登
【制作】小泉実樹【世田谷パブリックシアター芸術監督】白井晃
アップデイトダンスNo.116「空耳」@演出・照明:勅使川原三郎 アーティスティックコラボレーター:佐東利穂子@荻窪アパラタス
アップデイトダンスNo.116「空耳」@演出・照明:勅使川原三郎 アーティスティックコラボレーター:佐東利穂子@荻窪アパラタス

勅使川原三郎が踊るソロダンス「空耳」を観劇。音を聴くというところから組み立てられたソロダンス。最近は多くの勅使川原作品は佐東利穂子とのデュオ、あるいは佐東に振り付けたソロとして構築されることが多かったこともあり、作品の創作過程で勅使川原がソロで踊るということはあっても、本格的なソロ作品はひさしぶりではないかと思う。
冒頭、勅使川原が登場すると踊らずに客席に向けてぼそぼそと話す。踊らず、演劇かと思うようなスタイルで始まるが、正直何を言っているか老人の繰り言のようで言葉自体は聴き取れなくもないが、どんな内容のことをつぶやいているのかはっきりとは分からない。その間、ピアノ曲の音が小さく聴こえているが、あくまで背景音としてである。その中で突如、今度は飛行機の飛行音のような音が聴こえ、最後に爆撃の轟音が鳴り響く。
ここがプロローグでこの後はピアノ曲や歌曲を伴奏として、勅使川原が延々と踊り続ける。上演時間は2時間超だから、ダンスのソロ作品としては相当の長尺である。動きも激しい動きを含むし、勅使川原の年齢を考えれば驚異的なことではないだろうか。いまこれを見る機会が得られたのは稀有な機会であり、勅使川原ファンならぜひ見に行くべき公演だと思う。
とはいえ、逆に老齢の観客としては2時間を超えるソロダンスはその内容にかかわらず体力的にきわめてしんどかったことも確か。通常の勅使川原の公演が1時間前後だから、倍近い。さらにソロだとデュオやグループ作品と違って目先が変わるということがないから、それもあって、集中力の持続が難しく、次第に散漫になってしまった。バレエが長くてもこれほどは疲れないのは物語がある場合が多いからで、そういう意味でも物語としての筋立てがほとんどなく、純度が高いダンスを見ることのハードルの高さも痛感した。とはいえ、これは意図的なものであり、勅使川原としてもダンサーとしてこれを演じられるうちに演じたいという並々ならぬ思いもあったのかもしれない。
作品の最後の方では「死」の匂いも濃厚に感じたが、そういう意味ではそこに向かう最後の燃焼とも思わせ、切なさが胸に響いた。
出演:勅使川原三郎
日程 2025年12月13日(土)ー12月22日(月)
12月13日(土) 19:30開演
12月14日(日) 16:00開演
12月15日(月) 19:30開演
12月16日(火) 19:30開演
12月17日(水) 休 演 日
12月18日(木) 休 演 日
12月19日(金) 19:30開演
12月20日(土) 16:00開演
12月21日(日) 16:00開演
12月22日(月) 19:30開演全8回公演
開演30分前より受付開始、客席開場は20分前
全席自由席
演劇集団 円 創立50周年企画『二十日鼠と人間』@両国シアターX(カイ)
演劇集団 円 創立50周年企画『二十日鼠と人間』@両国シアターX(カイ)
米国の小説家スタインベックの古典的名作『二十日鼠と人間』を演劇集団円が上演。演出は松本哲也(小松台東)が担当した。原作は小説なのでどのように戯曲化したのかと疑問を持ったが、どうやら作者本人による戯曲化もあったようで、調べてみると日本でも 1997年の俳優座劇場や2018年の東京グローブ座での三宅健主演による上演例もあり、
海外でも英国ロイヤル・ナショナル・シアターが上演、日本でも2015年にシアターライブとして劇場公開されている。
農場労働者が集まる男くさい場所で起こったいざこざに因を発した悲劇的な出来事。事件にかかわる女性役で女優もひとり登場するが、作品のテイストとすれば典型的な男芝居。そうした男くさい味わいを得意とする松本哲也を演出に招き、これを創立50周年企画として上演した演劇集団 円のスタンスが面白いと感じた。
あらすじ
1930年代のカリフォルニア。季節労働者のジョージとレニーは、レニーが起こしたトラブルから働いていた農場を追われ、貨物列車に乗り込んで、新しい仕事を求めて旅に出る。小柄だが頭のいいジョージと大きな体だが知恵遅れのレニー。2人は幼い頃からの友達で常に行動を共にしていて、いつか自分たちの農場を持ち穏やかに暮らしたいと思っている。レニーは柔らかくて可愛いものが好きでウサギを飼いたいと夢見ているが、彼は力加減ができずに小動物を死なせてしまうので、そんな夢もレニーには難しい。それは小動物に限らず、今回逃げる羽目になったのも、女性の柔らかいドレスに夢中になって誤解を受けたためだった。2人が職業紹介所で紹介された牧場に着くと、そこには小男で喧嘩早いボスの息子カーリーと、奔放で扇情的なカーリーの妻がいた。大男が嫌いなカーリーはレニーを目の敵にし、ある夜、執拗にちょっかいを出して殴りかかり、抵抗したレニーの怪力でカーリーは右手を潰されてしまう。そして、レニーが1人で納屋にいる時に事件が起こる。カーリーの妻が来て話すうち、レニーが柔らかいものが好きだと知って自分の髪を撫でさせた。すると髪の毛に夢中になったレニーの手は乱暴になり、怯えた妻がもがくうち、妻の口を塞ぎ首の骨を折ってしまう。グッタリした姿を見て、彼は走って納屋から逃げた。納屋に来た掃除夫が遺体を発見してジョージに伝え、次に聞かされたカーリーと労働者らはすぐレニーの後を追う。ジョージは1人で追いかけて川辺でレニーを発見する。レニーは事の重大さを理解することができず、ジョージはいつもの夢物語を語りながらレニーの背後に回って、隠していた銃でレニーの後頭部を撃ち抜く。
キャスト
山口眞司 石田登星
瑞木健太郎 吉澤宙彦
玉置祐也 清田智彦
中田翔真 荒川大三朗
大野亮太 柿沼恵梨子2025年12月6日(土)~14日(日)
創立50周年目の新たな鼓動。不朽の名作に挑む。
「俺たちには未来がある」「オレにはあんたがいて、あんたにはオレがいる」
その言葉が照らすのは、孤独な時代を生き抜く者たちの小さな灯。
1930年代、大恐慌の影がアメリカ全土を覆っていた時代。
仕事を求めて各地の農場を渡り歩く二人の男――小柄で聡明なジョージと、身体は大きいが子どものように純粋なレニー。
彼らには「いつか自分たちの土地を持ち、動物と暮らす」というささやかな夢があった。
だが現実は過酷で、希望は乾いた大地に吸い込まれるように脆く崩れていく。
新しい農場で出会う人々との交流のなか、レニーの無垢な心が思いがけない悲劇を招く――。
友情と孤独、夢と現実のはざまで、二人が見つめた“生きること”の意味とは。スタッフ
作 : ジョン・スタインベック
翻訳 : 芦沢みどり
演出 : 松本哲也(小松台東)
美術 : 江連亜花里
照明 : 森川愉加(Lighting Union)
音響 : 佐藤こうじ(Sugar Sound)
衣裳 : 荒川大三朗
ステージング : 藤田佳世・田口朋佳
舞台監督 : 清水義幸
演出助手 : 梅田雪那
制作 : 桐戸英二・鈴木佳由
チラシデザイン : 井上百合子
横浜ダンスコンペティション I 最終日@横浜赤レンガ倉庫
横浜ダンスコンペティション I 最終日@横浜赤レンガ倉庫

2日目の最終日。この日は阿部 真理亜(日本)『Queen of Zoos』、Guo Teng(中国)『Consensus Gentium』、神田 初音ファレル(日本)『懺肉祭~希求消失夜想曲Ver.~』※「希求」に打ち消し線あり。、Wang Jiani & Feng Weidi(中国)『Into Thin Air』の4組が上演され、コンペⅠ、Ⅱ両方の審査結果も発表される。
結果公表前にあえて私だったらこれをということを書いておくとコンペⅡは、のよ『Chrysalis』。次点は武藤光由『エアロックアウト』。どちらも面白く見られたが、今までに見たことがないという新規性とここからの可能性という意味でのよ『Chrysalis』が一枚上手だったと思う。コンペⅠは1日目ぴんと来るものがいまひとつなかったから今日に期待である。
この日の作品から選ぶとすると阿部 真理亜(日本)『Queen of Zoos』か神田 初音ファレル(日本)『懺肉祭~希求消失夜想曲Ver.~』※「希求」に打ち消し線あり。のどちらか。ただ、非常に対極的な2作品であり、どちかを選ぶのは難しい。 全体でもこの2本のどちらかだ。
ダンス作品としての完成度の高さを感じたのは阿部真理亜(日本)の『Queen of Zoos』である。8人のダンサーが出演した本格的なグループ作品であり、女性ダンサーでもある振付家の場合、往々にして本人が踊るということの延長線上にあることが多いが、この作品は群舞を全体の構造を俯瞰して見られるような客観性を持って、作り上げているのが素晴らしい。集団の振り付け作品ではソロとアンサンブルによるユニゾン的なダンスといういわゆるバレエ的な構造を持つ作品が多い中で、この作品は例えばウィリアム・フォーサイスを思わせるような脱中心的な構造を貫いている。この作品ではいっさい映像演出などはなく、ダンサーの動きだけにフォーカスした作品となっているが、全体構成における客観性は阿部がダンサー・振付家であるとともに、東京芸大大学院で学んだ映像メディアアーティストでもあるということも関係しているのかもしれない。
北村明子や黒田育世、伊藤千枝ら日本の振付家でも群舞を得意とする振付家はいるが、ひさびさにスケールの大きな可能性を感じるアーティストが登場したと感じた。
一方、神田 初音ファレル(日本)『懺肉祭~希求消失夜想曲Ver.~』※「希求」に打ち消し線あり。は映像も使ったソロ作品だが、非常にメッセージ性が強い作品。冒頭に本人が舞台上から観客に向けて、パレスチナで今でもイスラエルによって行われている非人道的行為や、この問題に対する日米政府のあり方を直接的に強く抗議して作品をスタートさせている。
作品自体もダンスのムーブメントがどうだとか、映像の構とても成がどうだとかいう技術的な側面をまったく斟酌せずにむき出しの思いをぶつけるようなところがあり、そのインパクトはとても強い。ただ、ダンス作品として評価するとなるとこれは作品というよりは政治的な主張のプロパガンダではないか、芸術作品としてこれをみせるのであれば客観性が必要ではないかなどの疑問も拭い去ることはできない。ただ、思いの切実さはどすんと直球で伝わってきており、これを見ているうちに表現とは何かとか、ダンスとはなにか、作品とは何かなぞといういろんなことを考えさせられる契機になったという意味では評価すべき作品だったのかもしれない。
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Guo Teng(中国)『Consensus Gentium』、Wang Jiani & Feng Weidi(中国)『Into Thin Air』はどちらもダンス作品としてはよくできた作品で、ダンスフェスや演劇フェスなどのショーケースに参加すればそれなりの評価を得られる水準であるとは思ったが、突出した何かを私には感じることはできなかった*1。
【コンペティションI】
■ 審査員賞 ワン・ジャーニィ&フォン・ウェイディ(中国)『Into Thin Air』
■ 若手振付家のための在日フランス大使館賞・ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル賞 阿部 真理亜『Queen of Zoos』
■ アーキタンツ・アーティスト・サポート賞 宮 悠介 『暁鶏-repetitions-』 ライ・ホン ジョン<HUNG DANCE>(台湾)『Push and Pull』
■ 穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 賞 ライ・ホン ジョン<HUNG DANCE>(台湾)『Push and Pull』
■ 奨励賞 神田 初音ファレル『懺肉祭~希求消失夜想曲Ver.~』※「希求」に打ち消し線あり。
■ ベストダンサー賞 <HUNG DANCE> ライ・イ・フェイ、チェン ユー・チィ(台湾)
【コンペティションⅡ 新人振付家部門】
■ 最優秀新人賞 田村虹賀『空間に調和することのレクチャー』
■ アーキタンツ・アーティスト・サポート賞 多炭真歩『机の中のごたごた』 ■ 奨励賞 上田園乃『Is it shaking now? The ground, or me? 』 阪田小波『ああ、俺はあと何回膝を曲げたら死ぬのか否か』
■ ベストダンサー賞 横井伽歩『Peeling Scales』
ファイナリスト(国内外問わず公演実績のある振付家が対象)
上演審査:2025年11月29日(土)、11月30日(日) 横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
阿部 真理亜(日本)『Queen of Zoos』
Guo Teng(中国)『Consensus Gentium』
神田 初音ファレル(日本)『懺肉祭~希求消失夜想曲Ver.~』※「希求」に打ち消し線あり。
Wang Jiani & Feng Weidi(中国)『Into Thin Air』
■ファイナリスト8名
※五十音・アルファベット順 ※振付家名〈カンパニー名〉(拠点)『作品名』(写真上段左から)
阿部 真理亜(日本)『Queen of Zoos』
神田 初音ファレル(日本)『懺肉祭~希求消失夜想曲Ver.~』※「希求」に打ち消し線あり。
宮 悠介(日本)『暁鶏-repetitions-』
Charly Mintya <ZAN’KORA>(カメルーン)『Unspoken Queens』
(写真下段左から)
Guo Teng(中国)『Consensus Gentium』
LAI Hung-chung <HUNG DANCE>(台湾)『Push and Pull』
Lim Ji Hoon(韓国)『私たちはベニヤ板の上で一日を過ごすことにした』
Wang Jiani & Feng Weidi(中国)『Into Thin Air』審査員賞
[副賞]翌年以降の「ヨコハマダンスコレクション」での上演及び賞金40万円(創作活動補助金)若手振付家のための在日フランス大使館・ダンス リフレクションズby ヴァン クリーフ&アーペル賞
[副賞]フランスでのレジデンスプログラムアーキタンツ・アーティスト・サポート賞
[副賞]スタジオ提供(クリエーション・サポート、ワーク・イン・プログレスの機会提供、ワークショップ開催)、クラスの無料受講などを相談の上、決定。穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 賞
[副賞]穂の国とよはし芸術劇場 PLATでの滞在制作の機会を提供■審査員(五十音順)
・岡見さえ(舞踊評論家、共立女子大学文芸学部教授)
・木村絵理子(弘前れんが倉庫美術館 館長)
・長塚圭史(劇作家、演出家、俳優、KAAT神奈川芸術劇場芸術監督)
・浜野文雄(新書館「ダンスマガジン」編集委員)
・康本雅子(ダンサー、振付家)
・サンソン・シルヴァン(在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ 文化担当官)
・カトリーヌ・ティケニス(フランス国立ダンスセンター(CN D)総合ディレクター)
・セルジュ・ローラン( ヴァン クリーフ&アーペル ダンス&カルチャー プログラム ディレクター)
※アーキタンツ・アーティスト・サポート賞、穂の国とよはし芸術劇場 PLAT賞の審査員は、各団体の専門家が務めます。
simokitazawa.hatenablog.com
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*1:このコンペにありがちなことではあるが、このコンペにおける海外作品への評価にはどうもなんらかの政治的な配慮を感じてしまう。審査員賞と在日フランス大使館賞のどちらが上なのかということも毎年感じられる疑問ではある。
横浜ダンスコンペティション I 1日目@横浜赤レンガ倉庫
横浜ダンスコンペティション I @横浜赤レンガ倉庫
宮 悠介(日本)『暁鶏-repetitions-』、Charly Mintya <ZAN’KORA>(カメルーン)『Unspoken Queens』、LAI Hung-chung <HUNG DANCE>(台湾)『Push and Pull』、Lim Ji Hoon(韓国)『私たちはベニヤ板の上で一日を過ごすことにした』の4組が予定されていたが、Charly Mintyaが棄権。見る機会が限られたカメルーン人の振付家の作品で女性ダンサーに振り付けたソロというのでどんな作品が見られるのか楽しみにしていただけに残念だった。
宮 悠介(日本)『暁鶏-repetitions-』は私にはまったく分からなかった。知人はほめていたので、評価する軸もあるのだろうが、モチーフの現代性も感じ取ることはできず、ムーブメントや身体のディティールも残念ながら魅力を感じ取ることができず、要するに波長が合わなかったのだと思う。ダンスにはそういうことが往々にしてあるということは長年のコンペで分かっている。この作品が審査員から高い評価を受けてもおかしくはないのかもしれない。特にモチーフの天岩戸の神話とかヨーロッパのダンスの文脈にはあまりないような要素をふんだんに含んでいるので海外の審査員受けはいいかもしれない。
LAI Hung-chung <HUNG DANCE>(台湾)『Push and Pull』は男女デュオ作品でこれまで見たことがあまりないというような目新しさのような刺激的な要素には乏しいが、とぎれないシークエンスはよく練られていて、完成度の高さは感じた。ただ、既視感があるような作品であることは否定しがたい。
Lim Ji Hoon(韓国)『私たちはベニヤ板の上で一日を過ごすことにした』は二人の男性ダンサーがべニア板の上で踊り続けるというアイデアは少し面白いが、こちらも制限があるがゆえの面白さまで至っておらず、バリエーションに限界が見えて、しばらく見続けていると退屈してきてしまう。ある種の舞踏などにあるように退屈するようなミニマルの中に潜む多様性というのもダンスの魅力であるが、単なるアイデアにとどまっていて、そこまでは行きついていない気がした。
ファイナリスト(国内外問わず公演実績のある振付家が対象)
上演審査:2025年11月29日(土)、11月30日(日) 横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
宮 悠介(日本)『暁鶏-repetitions-』
Charly Mintya <ZAN’KORA>(カメルーン)『Unspoken Queens』
LAI Hung-chung <HUNG DANCE>(台湾)『Push and Pull』
Lim Ji Hoon(韓国)『私たちはベニヤ板の上で一日を過ごすことにした』
■ファイナリスト8名
※五十音・アルファベット順 ※振付家名〈カンパニー名〉(拠点)『作品名』(写真上段左から)
阿部 真理亜(日本)『Queen of Zoos』
神田 初音ファレル(日本)『懺肉祭~希求消失夜想曲Ver.~』※「希求」に打ち消し線あり。
宮 悠介(日本)『暁鶏-repetitions-』
Charly Mintya <ZAN’KORA>(カメルーン)『Unspoken Queens』
Guo Teng(中国)『Consensus Gentium』
LAI Hung-chung <HUNG DANCE>(台湾)『Push and Pull』
Lim Ji Hoon(韓国)『私たちはベニヤ板の上で一日を過ごすことにした』
Wang Jiani & Feng Weidi(中国)『Into Thin Air』審査員賞
[副賞]翌年以降の「ヨコハマダンスコレクション」での上演及び賞金40万円(創作活動補助金)若手振付家のための在日フランス大使館・ダンス リフレクションズby ヴァン クリーフ&アーペル賞
[副賞]フランスでのレジデンスプログラムアーキタンツ・アーティスト・サポート賞
[副賞]スタジオ提供(クリエーション・サポート、ワーク・イン・プログレスの機会提供、ワークショップ開催)、クラスの無料受講などを相談の上、決定。穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 賞
[副賞]穂の国とよはし芸術劇場 PLATでの滞在制作の機会を提供■審査員(五十音順)
・岡見さえ(舞踊評論家、共立女子大学文芸学部教授)
・木村絵理子(弘前れんが倉庫美術館 館長)
・長塚圭史(劇作家、演出家、俳優、KAAT神奈川芸術劇場芸術監督)
・浜野文雄(新書館「ダンスマガジン」編集委員)
・康本雅子(ダンサー、振付家)
・サンソン・シルヴァン(在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ 文化担当官)
・カトリーヌ・ティケニス(フランス国立ダンスセンター(CN D)総合ディレクター)
・セルジュ・ローラン( ヴァン クリーフ&アーペル ダンス&カルチャー プログラム ディレクター)
※アーキタンツ・アーティスト・サポート賞、穂の国とよはし芸術劇場 PLAT賞の審査員は、各団体の専門家が務めます。
横浜ダンスコレクションコンペティション II 新人振付家部門2日目@横浜にぎわい座 のげシャーレ
横浜ダンスコレクションコンペティション II 新人振付家部門2日目 @横浜にぎわい座 のげシャーレ
2日目のハイライトはのよ『Chrysalis』 だっただろう。衣装に暗闇で白く発光する線状の何かを張り付けて、完全暗転の中でパフォーマーが動くことで、空中に浮かぶ線画のようなものを描き出す。そして、それは6人のパフォーマーが動き回ることで、まるでアニメーションダンスのように姿を変えていく。
パントマイムにの一変種に暗闇の中で光るオブジェを使うブラックライトシアター*1というのがあるが、『Chrysalis』はそれと集団でのダンスムーブメントを組み合わせたもので、アイデアは単純ともいえるがこういうものはいままであまり見たことがなく、一目見驚かせる効果があるのは確かだろう。身体に張り付けたセンサーの位置の変化を電子的に写し取ることで、現実の動きをCGアニメーションなどに生かすモーションキャプチャーという技術がありアニメ制作では一般化しているが、高度な技術の介在なしにアナログの極致により、身体の動き中空に浮かび上がった線画のようなビジュアルに変換するというアイデアは単なる一過性の思い付きにとどまらず意外と応用範囲が広いのかもしれない。
上田園乃『Is it shaking now? The ground, or me? 』も面白かった。一対の椅子が向かい合わせに据え付けられており、そこに一人の女性が座ってくつろいでいると、紙袋にいれた大きな荷物とヘルメット、背中に背負うリュックのようなものを持ったもうひとりの女性が現れて、紙袋からテープ状のひものようなものを引き出して、椅子に引っかけて、舞台空間を分断しようとしてくる。
最初の女性はそのひもから逃れようとするが、もうひとりの女性が移動をしながら、紐を2つの椅子やバッグなど舞台に配置されたいろんなところに引っかけながら巻いていくことで逃げることができない。当日パンフの作品紹介文に地震のことが記述されていたが、見ていくうちにこの舞台上に張り巡らせらえて、女性の動きを阻害するテープ状のものが地震など人間を脅かす自然災害のメタファーなのだなというのが、感じ取れてくる。
二人の女性パフォーマーは動きのところどころにダンス的なテクニックが垣間見られるような身体所作を用いており、単なる素人じゃないことはうかがえるし、ダンスはただ踊るだけではありませんよというのを強調したアプローチは面白くはあるのだが、 全体の印象としてはダンスのムーブメント以外の舞台上のオブジェの使い方には素人くささがいやというほど感じられて、もう少し洗練したほうがいいのではないと思う。最近は意図的なヘタウマ的美学を打ち出す作家もいるけれども、これがそうなのかというとダンスの部分の動きの処理などを見る限り、そうでもなさそうな気もしてくるのだ。
阪田小波『ああ、俺はあと何回膝を曲げたら死ぬのか否か』は逆にパンフでの紹介文と内容にもっともギャップがあり、笑ってしまった。爬虫類の苦手な人はご注意くださいみたいな内容の警告文がパンフにあったので、どんな気味の悪いものが登場するのかと構えてしまった。舞台上に巨大な方形の紙箱が据えられており、最初ダンサーがその上側の穴から腕だけを出してヘビのような動きでくねらせたりするので、「これは予告編?」などと警戒してしまったが、少しおどろおどろしかった前半部分から最後に登場したのが小さな亀だったのだ(笑)。しかもこれが舞台上においておかれると(おそらく飼い主でもある)ダンサーが少し離れたところで踊っている最中にチョコチョコとした足取りで舞台袖に逃走としようとする。慌ててダンサーがそれを捕まえて、舞台中央に置くと再び亀は今度は客席方向とか別の方向に逃げようとする。それが繰り返され、不確定さを含む亀の動きも振り付けの一部に含まれて一緒に演技しているという風に作品は作られていて、その動きの不確定性と作者の計算がせめぎあうのが面白かったのである。下手をしたら動物虐待だとなりかねないリスクをはらみながらも亀のかわいらしさとダンサーのそれを大切に思う愛情が伝わってくるのがよかった。
多炭真歩『机の中のごたごた』はこの日見た作品の中では一番評価に困ってしまった作品。申し訳ないがこういう作品は私が関西にいた20~30年前に関西の新人発掘的なダンスケースで山ほど見たなというのが最初の印象だった。その後、日本のコンテンポラリーダンスも様々な紆余曲折をへながら進化をしてきたと思っていたのだが、こういうそういう歴史的な現代ダンスのコンテクストに無関係に作られている無邪気な作品を見ていると、この数十年のダンスの歴史は何の意味があったのだろうかと考えてしまうのだ。これは古老となろうとしている老人の繰り言にすぎないのかもしれないが……。
横井伽歩『Peeling Scales』 もそれとは方向性が真逆かもしれないが、評価に困ってしまう作品。もちろん、こういうのがよしとされるダンス界隈もあるというのは知っているし、そういう評価基準ならば十分に優秀なダンスといえなくはないが、少なくとも横浜ダンスコレクションコンペティションを最初期から見てきた観客としてはこういう類のダンスを「よい」と評価してはいけないと思う。ダンス観の違いといえばそうなのではあるが。
ファイナリスト(日本在住25歳以下が対象)
上演審査:2025年11月27日(木)、11月28日(金) 横浜にぎわい座 のげシャーレ多炭真歩
『机の中のごたごた』
横井伽歩
『Peeling Scales』
上田園乃
『Is it shaking now? The ground, or me? 』のよ
『Chrysalis』
阪田小波
『ああ、俺はあと何回膝を曲げたら死ぬのか否か』
www.youtube.com
■ファイナリスト10名 ※五十音順 ※振付家名(年齢/出身地)『作品名』 ※年齢=2024年6月 応募時点
(写真上段左から)
上田園乃(25/千葉県)『Is it shaking now? The ground, or me?』
牛谷匠耀(21/兵庫県)『からのかちののち』
阪田小波(25/埼玉県)『ああ、俺はあと何回膝を曲げたら死ぬのか否か』
杉野眞尋(19/福岡県)『幻惑のマーヤ』
多炭真歩(19/宮崎県)『机の中のごたごた』
(写真下段左から)
田村虹賀( 25/東京)『空間に調和することのレクチャー』
外山陽大( 24/新潟県)『Lesson4 Part1 Where do you want to go?』
のよ( 22/兵庫県)『Chrysalis』
武藤光由( 20/愛知県)『エアロックアウト』
横井伽歩( 24/埼玉県)『Peeling Scales』■賞
最優秀新人賞
[副賞]作品創作支援及び翌年の「ヨコハマダンスコレクション」での上演をサポートアーキタンツ・アーティスト・サポート賞
[副賞]スタジオ提供(クリエーション・サポート、ワーク・イン・プログレスの機会提供)、クラスの無料受講などを相談の上、決定。■審査員(五十音順)
・加藤弓奈 (NPO法人アートプラットフォーム 理事)
・スズキ拓朗(CHAiroiPLIN主宰、ダンサー、振付家、演出家)
・浜野文雄(新書館「ダンスマガジン」編集委員)
・吉開菜央(映画作家、ダンサー)
※アーキタンツ・アーティスト・サポート賞の審査員は、団体の専門家が務めます。ヨコハマダンスコレクション2025開催概要
会期:2025年11月27日(木)~12月13日(土)
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館、横浜にぎわい座 のげシャーレ、KAAT 神奈川芸術劇場
主催:横浜赤レンガ倉庫1号館[公益財団法人横浜市芸術文化振興財団]


