下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

チェルフィッチュ、マレビトの会、青年団を超えて 若手作家が挑戦する新たな演劇の地平 ムニ『つかの間の道』『赤と黄色の夢』二本立て公演・作・演出:宮崎玲奈(『つかの間の道』)@アトリエ春風舎

ムニ『つかの間の道』『赤と黄色の夢』二本立て公演・作・演出:宮崎玲奈(『つかの間の道』)@アトリエ春風舎


 ムニ『つかの間の道』@アトリエ春風舎を観劇。4年前に青年団若手自主企画vol.81 宮﨑企画『つかの間の道』@アトリエ春風舎*1*2として上演された作品の再演だが、今回の上演では演技の様式や方法論、演出を大きく変更したものとなっていた。前回上演では平田オリザの現代口語演劇に準じたようなスタイルでの演技で作品を構築していたが、今回の上演ではセリフの調子やニュアンスの込め方には現代口語的なものが残されてはいたものの全体の印象はまったく違う。松田正隆のマレビトの会がそうであるようにニュアンスなどをすべて排除して意図的に棒読みのような平板な発話ではないが、身体所作に関していえば通常のリアルな身体所作をすべて廃し、初期のチェルフィッチュ岡田利規)がそうであったような演技体と少し似ているかもしれない。手足をぶらぶらさせたり、体重を斜めにかけたりといったようなアンリアルな動きを取り入れている。
 宮崎玲奈は青年団演出部の出身で、現代口語演劇の系譜で育ってきた作家ではあるが、今回の公演の当日パンフの「『劇への抵抗』ー軽さを起点として」という文章で「自閉的な集団の中で出された戯曲の解釈および『~に見える』ためにという目的に向かって創作する、という行為それ自体にいつのまにかわたしは魅力を感じなくなってしまった。劇作家・演出家の有する世界の再現のためにあるような共同体に違和感を感じる。戯曲という媒体を複写するといった目的がなくとも、役という媒介を仲介せずとも、個が個として共存し、一つの創作物を作り上げる、そのような上演を志すことはできないのだろうか」と自らが目指す演劇へのマニフェストを語っている。
 かなり明確な現代口語演劇への批判、平田オリザの方法論への批判と言ってよい。一部の表面的な類似にとどまらず、どちらも平田オリザ的な方法論を経由したうえで、その方法論への決別を意図的に行った松田正隆岡田利規と重なるあうような問題意識があることがうかがえる。
 だが、同時に後段の「戯曲という媒体を複写するといった目的がなくとも、役という媒介を仲介せずとも、個が個として共存し、一つの創作物を作り上げる、そのような上演を志すことはできないのだろうか」などという部分を取り出してみると実はどちらも戯曲テキスト原理主義の部分がある松田、岡田とは根本的な違いがあるということも確かなのだ。
 私自身には演劇とは何かについて方法論的な視座を持つ作家の登場を待望するところがあり、それゆえ、現在の宮崎の試行錯誤にはそこからどんな果実が生まれてくるか楽しみ。だが、実作としてはこれはまだ完成形とは言い難く、端緒にすぎないのではないかとも感じた。
 理屈はともかく、今回の上演を考えてみると松田、岡田と比較したとき、身体所作と発話される言語テキストの関係について若干の違和感も感じた。チェルフィッチュやマレビトの会ではいわゆるリアルな演技ではないにしても戯曲と身体所作がどう関係しているかについて、演出家、演者がけいこ場で最初にそれを立ち上げてきた時からの必然性への問いが深く感じられた。それに対し、少なくとも現状では身体と発話が連動しないという意味での「関係の切断」だけが強く感じられる。例えば「テキスト」と「身体所作」にどのような内的必然性があるのかについて、十分な説得力を持って感じ取ることが困難であった。
 実は以前にチェルフィッチュが登場してきたころに一部のダンス作家にセリフの発話を取り入れながら、ダンスを踊るというような作品が出てきて、必然性と無関係にセリフと動きを同時に提示するだけでは作品に値するものになりにくいのではないか、との批判をしたことがあるのだが、似たような不満を『つかの間の道』にも感じた。
 とはいえ『つかの間の道』はそうしたダンス作品とは逆なのかもしれない。というのは初演から明らかなようにこの作品の戯曲自体は現代口語演劇として巧緻に構築されており、そうした戯曲構造と今回の身体所作にはミスマッチ感があることを否定できないのだ。さらなる理論の具現化のためにはこの方法論により即したテキストのありようが求められるのではないか。
 
 

作・演出:宮崎玲奈(『つかの間の道」)、黒澤優美(『赤と黄色の夢」)
ムニは2024年から黒澤優美と宮崎玲奈の作家二人体制となります。宮崎は2020年1月に青年団若手自主企画vol.81宮崎企画として上演した『つかの間の道』をリクリエーション、黒澤は新作『赤と黄色の夢』を上演します。


宮崎玲奈『つかの間の道』あらすじ
いなくなった親友にそっくりのヒサダさんに出会うカップル。夫がいなくなり、姪と暮らしている女、近所に住むおばさん。日常がちょっと変に歪んでいく、ふたりの遠出。
遠くに行きたいけど、行けない。今いる場所に、かつていた場所が重なっていく。これは都市生活者冒険譚である。

黒澤優美『赤と黄色の夢』あらすじ
一緒に暮らしている誠と由紀子。 ある日由紀子がコロナになったタイミングで誠は母方の実家に帰省する。一人になった部屋で由紀子は黙々と編み物を編んでいく。

劇作家・演出家の黒澤優美・宮崎玲奈が作品を上演する団体。日常会話とそこからはみ出る意識の流れ、演劇における虚構とリアルとの境界を探りながら創作を行う。20代の女性を主人公とした物語を多く制作。青年団若手自主企画宮崎企画としても活動。近年の作品に『ことばにない』など。




出演
『つかの間の道』
石渡愛(青年団)、木崎友紀子(青年団)、立蔵葉子(青年団/梨茄子)、南風盛もえ(青年団)、藤家矢麻刀、吉田山羊、ワタナベミノリ

『赤と黄色の夢』
伊藤拓(青年団)、西風生子(青年団)、渡邊まな実
スタッフ
舞台監督:水澤桃花(箱馬研究所)
照明:緒方稔記(黒猿)
舞台美術:本橋龍(ウンゲツィーファ)、村上太
劇団制作:上薗誠
宣伝美術:渡邉まな実
公演制作:中條玲

シアターシュリンプ 2024「マイスイートリトルラッキーデイ」@サンシャイン劇場

シアターシュリンプ 2024「マイスイートリトルラッキーデイ」@サンシャイン劇場


2024年3月9日(土)~17日(日)東京都 サンシャイン劇場
※全11ステージ
<出演者>
私立恵比寿中学真山りか / 安本彩花 / 星名美怜 / 小林歌穂 / 中山莉子 / 桜木心菜 / 小久保柚乃 / 風見和香 / 桜井えま / 仲村悠菜)/ ほか

ホエイ「クチナシと翁」に出てくる落ち武者伝説について考えてみた ホエイ「クチナシと翁」3回目@こまばアゴラ劇場

ホエイ「クチナシと翁」3回目@こまばアゴラ劇場


何かの参考になるかと思い青森県での落ち武者伝説をネット検索してみると以下のような記事がヒットした。
www.ne.jp
前回の観劇レビューで「平家の落ち武者」ではないと書いたが、八戸市周辺の落ち武者伝説はやはり平家のもので、興味深いのは十和田市深持のそれについて書かれた記述の中に「カヤ人形」というのが現れ「カヤ人形」は悪魔の部落への進入を防止するため日夜警戒していると伝えられ、また、天明の飢饉のとき集落に妖魔を入れないため、人の代わりに立てたのが始まりとも言われている。村の東口にあるしめ縄は、悪霊などの侵入を防ぐ信仰に培われているそうだ」などという言い伝えが語られている。これは石でできたものでどちらかというと地蔵信仰に近いものに見えるが、作品中に登場する「クチナシ」とはヒトガタのものであるという意味では関係があるのかもしれない。
 青森県では類似の落ち武者伝説はほかにもあるようで中でも黒石市の「大川原火流し」は「黒石市内から東へ10キロ離れた山間の集落に残る盆の精霊送りの古いしきたり。南北朝時代の落武者がここに隠れ住み、戦乱の死者の慰霊から始まったともいう」とあり、南北朝時代の落ち武者というのがその出自を禁忌としたというのは平家よりも可能性があるように思われ、こうした実際にある言い伝えの類を複数組み合わせて、創作したものという可能性は強そう。
 劇中に出てくる落ち武者伝説のくだりを再確認してみるとこのようなものだった。

「老いたる者ども死者どもがはびこりし滅びの世に、岩戸を開げ天から降り立つ者あり。その者、青き衣をまとい、黒き従者を引き連れ、金色(こんじき)の野から我らを導かんとす。その時、この世はたちまち生者(しょうじゃ)たちの楽園と化す。その者、自らを落ち武者と名乗らんとす」

 この部分に「風の谷のナウシカ」からの本歌取りがあったのではないかということを知人から聞き及び、ひさびさに漫画版の「ナウシカ」を読み返してみたところ興味深いことが分かってきたのだ。実は両者のテキストの間にはいくつか大きな違いがあることが分かったからだ。

 「ナウシカ」の予言は2巻の終盤にこのようにある。

「その者青き衣をまといて金色の野におりたつべし。失われた大地との絆をむすばん。そのものの名はまだ明かせぬ。時みつればみなの前にあらわれよう」

 
 そしてこの予言は部族国家が相争う世の中に救世主的存在としてナウシカが現れ民を救う予言となるのだが、「その者青き衣をまといて金色の野におりたつべし」「その者、青き衣をまとい、黒き従者を引き連れ、金色(こんじき)の野から我らを導かんとす」の部分がほぼ重なり合っており、本作のクチナシ村落の伝説がこのイメージを借りていることは明らかだ。
 ただ、クチナシ伝説のその前後の部分は「ナウシカ」にはないオリジナルだ。「風の谷のナウシカ」ではナウシカ巨神兵を伴って戦場に現れ、それは劇中の「黒き従者を引き連れ」と関連するのではないかと思わせるが、「岩戸を開げ天から降り立つ者あり」というのは何なのだろうか。
 劇中ではこの伝説はバサマとその孫娘ミズキの口からそれぞれ言い表せられるが、それに対してオゲヤが「岩戸ば開けたのに天から降りてくるんずな(というのは理屈が合わない)」とつっこみが入る。
 仮説として思い当たったのはこれが「古事記」の「天の岩戸」と「天孫降臨」の二つのエピソードを合体して作られたものだからではないか。物語の冒頭で山田百次演じる古老がクチナシの村の由来について次のように語る。

いぃ、いぃいぃ。なも昔よ・・・ もっと昔々。いや、たげだば昔のそのまだ昔だばれ~この辺全部ただの山だったど。それば全部まで~に木ぃ切って、ヤブひらいで住めるようにしたのがワだぢのご先祖。それがこのクヂナシってす村のご先祖。なんだか元はカミのほうさいで、色々あって流れでこごさきたんだど、んだ都落ぢ。で苗字も変えで自分だぢの事しゃべらねえようにしたんだど。んだ、毎年秋に立でるクヂナシはそのご先祖の事だってゴロ爺がよぐワさ教えでだ。

 「なんだか元はカミのほうさいで、色々あって流れでこごさきたんだど、んだ都落ぢ。で苗字も変えで自分だぢの事しゃべらねえようにした」というのが落ち武者伝説とつながり注目すべき部分。
 その出自には禁忌があり、それは語ることができないとされていたされているからだ。
 こうしたことを勘案して実際に青森に南北朝時代の落武者の伝説があり、「語ることができない」ということであれば例えば南北朝時代に敗れた南朝のゆかりのものがここに流れ着いたというような伝説が伝わったが、戦前のある時期以降そのような言説自体が不敬に当たるから「語ることができない」というような解釈がもし許されるなら一応のつじつまが合うのではないかと考えたのである。

出演
赤刎千久子、河村竜也、山田百次(以上、ホエイ)
斉藤祐一(文学座)、武谷公雄、中田麦平(シンクロ少女)、成田沙織、三上晴佳

スタッフ
舞台美術:鈴木健
照明:黒太剛亮(黒猿)
衣裳:正金 彩
舞台監督補:陳 彦君
当日運営:大橋さつき
制作:赤刎千久子
プロデュース・宣伝美術:河村竜也

ホエイ「クチナシと翁」2回目@こまばアゴラ劇場

ホエイ「クチナシと翁」2回目@こまばアゴラ劇場


 ホエイ「クチナシと翁」は不思議な作品である。表面上は辺境の地域村落での老いと介護の問題など社会的な課題を描いた作品に見え、それでも十分に面白くはあるのだが、その中に神話的な要素がメタファー(隠喩)のように散りばめられているからだ。この村には落ち武者伝説があり、その伝説の中で描かれる物語の最後に伝説にある「青き衣をまといて金色の野に降り立つものが落ち武者と名乗る」という予言が具現化するところがラストシーンとなる。ここで救世主でもある落ち武者(中田麦平)が山田百次演じる村の古老(山田百次)の孫であり、15年もの間引きこもっていたというのは何か意味があるのではないかと思った。
 青い衣の人が金色の野に降臨するという伝説には神話か何かの原典があり、そこからの引用ではないかと感じたのだが、初見の時はそれが何なのかが分からなかった。この日に終演後、ここのモトネタは宮崎駿の『風の谷のナウシカ』ではないかとの指摘を知人から受け、偶然ではありえないのでそれが正しいと感じたのだが、気になっているのは「クチナシと翁」というこの作品の表題と落ち武者伝説(ナウシカの再来)と目されている救世主の存在との関係性だ。
 この物語のなかでは複数の親子関係や祖父母と孫の関係が描かれており、直接的には山で亡くなった祖母と孫娘の関係が物語の中心に置かれている。さらにこの祖母と孫娘はいずれも一人二役として三上晴佳が演じていることもあり、この二人の関係が物語の核をなすと考えるのは自然なことではあるが、実際にはこの物語の表題は「クチナシと翁」であり「クチナシと媼」ではない。
 翁を国語辞典で引いてみると「年を取った男。老人。おきな。」などとあり、この言葉が女性を指すことはないように思われる。そうだとすると名前だけが出てくる人はいなくはないけれど物語の中で「翁」という言葉が指すのは山田百次が演じた老人しかない。一方、クチナシは一義的には「かかし祭り」のかかしのことを指すと思われ、それが指し示す人物も複数いるように思われ、いまのところ一意な解釈が困難なのだ。冒頭で示した『風の谷のナウシカ』と「クチナシと翁」との関係性も正直言ってまだよく分からない部分がある。
 ホエイ「クチナシと翁」はもう一度見に行く予定があり、そうした疑問点をおさらいしながら再考してみたいと思う。

出演
赤刎千久子、河村竜也、山田百次(以上、ホエイ)
斉藤祐一(文学座)、武谷公雄、中田麦平(シンクロ少女)、成田沙織、三上晴佳

スタッフ
舞台美術:鈴木健
照明:黒太剛亮(黒猿)
衣裳:正金 彩
舞台監督補:陳 彦君
当日運営:大橋さつき
制作:赤刎千久子
プロデュース・宣伝美術:河村竜也

www.ne.jp

津軽方言を核に内外入り混じるごったまぜの魅力 山田百次のひさびさの新作 ホエイ「クチナシと翁」@こまばアゴラ劇場

ホエイ「クチナシと翁」@こまばアゴラ劇場




 ホエイ「クチナシと翁」@こまばアゴラ劇場を観劇。山田百次のひさびさの新作である。ホエイとしての新作上演は「喫茶ティファニー」(2019年)以来だから5年ぶりになる。こまばアゴラ劇場は5月で閉館となることが決まっており、その最後の上演は小屋主である平田オリザ作品の連続上演となるのだが、私が最初にこの劇場で舞台を観劇したのが弘前劇場「職員室の午後」(こまばアゴラ劇場、1993年)であった。劇評などを当時寄稿していた関西の演劇情報誌「JAMCI」に演劇についてのコラム「下北沢通信」の連載を開始したのもその頃で第0回特別編で書いたのが青年団「ソウル市民」のプサン公演のレポート。「下北沢通信」本編の連載ではまずvol.1で弘前劇場「職員室の午後」(1993)を取り上げた。青年団こまばアゴラ劇場弘前劇場は私にとっては演劇批評活動の原点のようなところがあり、その劇場が閉鎖される直前の公演を弘前劇場出身の劇作家・演出家である山田百次が手掛けたということはいろいろな意味で感慨を感じさせるところがあった。
 弘前劇場主宰の長谷川孝治の舞台の特徴は地域語(津軽方言)を生かした群像会話劇であった。長谷川本人の作品を見る機会はほとんどなくなったが、同劇団出身の畑澤聖悟は現在も活躍を続けており、山田もそれに続く存在として注目を集めている。いずれも地域語を多用する群像劇という意味では共通点があるが、山田の場合、最近の「喫茶ティファニー」などでは東京近郊(おそらく川崎)を舞台とし、いわゆる方言による会話劇からは離れていたこともあり、青森の過疎化が進行している町を舞台に地域の問題を取り上げた「クチナシと翁」は原点回帰のようなところがあるのかもしれない。
 特に地域住民の高齢者の老いの問題はこの作品の中心的な主題として取り上げられており、若者が地域を去り、コロナ禍による中断していた「かかし祭り」も担い手不足で今年を最後に中止をせざる状況であることや、作品に登場する老人たちの介護の問題をどうするのかというような差し迫った問題を笑いを交えながらもかなりリアルに描きだしている。「まだ元気だ」とは自らは考えているものの昨年12月で定年退職し、老後の身の振り方を悩み始めている自らを省みても身につまされるところがいろいろあり、考えさせられる舞台だったのだ。
 ホエイではいつもそうなのだが、なんといっても感心させられるのは俳優のリアルな人物造形。なかでも老女とその孫娘を演じ分ける三上晴佳(写真右)、地域にいかにもいそうな中年女性を巧みに演じる成田沙織(同左)の演技は見事というしかない。生まれた時から首都圏や関西などの都市部で育った女優にはなかなか出せないような存在感を感じさせ、ホエイの魅力のひとつといっていいだろう。
 出番は少ないが山田百次の演じる老人もそういう人にしか見えないが、こうした空気感を出せるのはホエイならではだと思う。この作品には生まれた時からここに住んでいた旧住民と外からここに来た新住民が登場するが、それぞれの立場によって方言の深度も異なることが示されており、外部から来た新住民には斉藤祐一(文学座)、武谷公雄ら青森出身ではない客演の常連俳優が担いそれぞれが持ち味を発揮しているのも嬉しい。山田百次の才能はいろいろあると思うがこういう差配の巧みさが劇作、演出と並ぶ才能なのではないかと考えさせられた。

作・演出:山田百次
青森県のとある町。
市町村合併に反対し、現在は高齢化率が50%を超える自治体。  
学校区単位の運動会は廃止され、地区運動会と一体化された。
明日は来年廃止が決定した地域イベント「かかし祭り」が行われようとしている。
地域おこし協力隊など新たな移住者の受け入れに苦慮しながらも、
新旧町民による「まち」への問いかけが、思いもよらぬ展開へと発展する。

山田百次の作品を上演する劇団です。
今年、立ち上げから10周年をむかえました!
これまで関わってくださったみなさま、お客様、ありがとうございます!


出演
赤刎千久子、河村竜也、山田百次(以上、ホエイ)
斉藤祐一(文学座)、武谷公雄、中田麦平(シンクロ少女)、成田沙織、三上晴佳

スタッフ
舞台美術:鈴木健
照明:黒太剛亮(黒猿)
衣裳:正金 彩
舞台監督補:陳 彦君
当日運営:大橋さつき
制作:赤刎千久子
プロデュース・宣伝美術:河村竜也

simokitazawa.hatenablog.com

MONO 第51回公演「御菓子司 亀屋権太楼」@下北沢ザ・スズナリ

MONO 第51回公演「御菓子司 亀屋権太楼」@下北沢ザ・スズナリ



MONO「御菓子司 亀屋権太楼」を観劇。

作・演出
土田英生

出演
尾方宣久
奥村泰彦
金替康博
高橋明日香
立川 茜
土田英生
水沼 健
渡辺啓

劇場ツアー『東京都目黒区駒場1丁目11−13』・シンポジウム『こまばアゴラ劇場がなくなるということは、何がなくなるということなのか?』

劇場ツアー『東京都目黒区駒場1丁目11−13』・シンポジウム『こまばアゴラ劇場がなくなるということは、何がなくなるということなのか?』

企画・構成:アゴラ制作(黒澤多生、中條 玲、蜂巣もも、半澤裕彦、日和下駄)
こまばアゴラ劇場制作部が主体となった、劇場閉館に向けてのプロジェクトです。劇場ツアーとシンポジウムの二部構成で実施します。

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劇場ツアー『東京都目黒区駒場1丁目11−13』
こまばアゴラ劇場の館内全体を巡るツアーを実施します。1984年に開館してから2024年5月末に閉館するまで、アーティスト・観客・職員をはじめとする様々な立場の人たちが、思い思いの時間をこの劇場で過ごしました。劇場スタッフによるガイドのもと、40年目の”劇場”を見て回りましょう。

シンポジウム『こまばアゴラ劇場がなくなるということは、何がなくなるということなのか?』
こまばアゴラ劇場がなくなるということは、何がなくなるということなのか?』という問いを起点に、黒澤多生、中條 玲、蜂巣もも、半澤裕彦、日和下駄の5名が意見交換を行います。こまばアゴラ劇場が担ってきた役割を検討しながら、舞台芸術業界のこれからを想像しましょう。


[アゴラ制作]
こまばアゴラ劇場制作部の通称。現在の専任メンバーは黒澤多生、中條 玲、蜂巣もも、半澤裕彦、日和下駄の5名。
劇場の維持管理業務、カンパニーの受け入れに関わる制作・舞台業務、劇場支援会員制度の運営、助成金業務、ラインナップ選定などを担当。
劇場運営は芸術総監督、アゴラ制作、アゴラ職員、青年団制作が協働して行っている。
こまばアゴラ劇場の閉館をもって解散。


[黒澤多生]
俳優/舞台監督
1992年生まれ。埼玉県出身。
こまばアゴラ演劇学校”無隣館”3期を経て、2019年青年団入団。2020年よりこまばアゴラ劇場制作部に加入。主に舞台技術を担当。
最近の参加団体はTeXi’s、Dr.Holiday Laboratory、ウンゲツィーファ、ムニ、小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク、ゆうめいなど。


[中條 玲]
パフォーマー/アートマネージャー
1999年生まれ。長崎県出身。2022年よりこまばアゴラ劇場制作部に加入。
2023年よりPARAスタッフ。2024年よりバストリオのメンバー。
舞台芸術に出演や制作として参加する傍ら、日記やテキストの執筆、「植物旅館」「転蓬」など個人の取り組みを行う。


[蜂巣もも]
演劇・演出家
グループ・野原
1989年生まれ。京都出身。 庭師ジル・クレマンが『動いている庭』で提唱する新しい環境観に感銘を受け、串尾一輝、渡邊織音らと「グループ・野原」を立ち上げる。
こまばアゴラ演劇学校”無隣館”1期を経て、2015年青年団演出部入団、2016年よりこまばアゴラ劇場舞台班に加入、2018年より同制作部に加入。2023年青年団演出部解散に伴い、青年団を退団。


[半澤裕彦]
アートマネージャー/舞台芸術制作者
1990年生まれ。宮城県出身。2014年下北沢本多劇場制作部へ入社。
こまばアゴラ演劇学校”無隣館”3期を経て、2019年よりこまばアゴラ劇場制作部に加入。
青年団演出部など同世代アーティストの制作を行う。
2020年より東京芸術祭実行委員会事務局。


[日和下駄]
俳優
1995年生まれ。鳥取県出身。2019年より円盤に乗る派に参加。以降のすべての作品に出演。
2021年よりこまばアゴラ劇場制作部に加入。特技は料理、木登り、整理整頓、人を褒めること。
人が集まって美味しいご飯を食べることが好き。下駄と美味しんぼに詳しい。

出演
劇場ツアー『東京都目黒区駒場1丁目11−13』
ガイド:アゴラ制作(黒澤多生、中條 玲、蜂巣もも、半澤裕彦、日和下駄)

シンポジウム『こまばアゴラ劇場がなくなるということは、何がなくなるということなのか?』
登壇:黒澤多生、中條 玲、蜂巣もも、半澤裕彦、日和下駄

スタッフ
ドラマトゥルク:曽根千智
音響・照明:櫻内憧海
撮影:金川晋吾

https://x.com/agoraseisaku/status/1764822503204274328?t=Cx7LVYyUu7tUb55UZdwHOw&s=09

ももクロ最後のピースが揃う。真打ち登場に相応しいソロコン。玉井詩織ソロコンサート「いろいろ(仮)」東京国際フォーラム ホールA

玉井詩織ソロコンサート「いろいろ(仮)」東京国際フォーラム ホールA


ももクロにはアリーナの大空間をたった1人で支配する一騎当千の猛者が3人おり、埼玉スーパーアリーナ、横浜アリーナなどでの彼女らの勇姿を目の当たりにしてきたが、最後になった玉井詩織のソロコンは彼女らしい周到な準備を感じさせるもので、文字通りに「真打ち登場」を感じさせる完成度の高さであった。
まずは昨年月イチのペースで発表した新曲12曲がバラエティーに富んだうえにクオリティーが高く、こういう形でソロコンを行うために出してきたとしか思えない素晴らしさなのだ。

ハッピーエンド(エレキギター)
ロックザボート

日常(アコースティックギター)
泣くな向日葵(アコースティックギター)
孤独っのなかで鳴るBeat
マリンブルー
another world(ダンス)
Eyes On Me
spicy girl
Sepia
宝石
天国のでたらめ
Stand Alone
ベルベットの森
Shape

ec
愛ですか

DAY1:2024年3月2日(土) 17:00開場/18:00開演/(20:00終演予定)
DAY2:2024年3月3日(日) 16:00開場/17:00開演/(19:00終演予定)
会場:東京国際フォーラム ホールA
※開場時間は変更になる場合がございます。
※終演後は規制退場を実施させていただきます。
公式ファンクラブ「ANGEL EYES」会員先行受付:
2023年12月23日(土)15:00 ~ 2024年1月4日(木)23:59まで
特設サイト:https://www.momoclo.net/iroiro/

https://twitter.com/myogamaru/status/1763890330087374908?t=A0xSHQlQgnppJ_tBEMHE6w&s=19

第68回岸田國士戯曲賞受賞作品決定

第68回岸田國士戯曲賞受賞作品決定

第68回岸田國士戯曲賞をゆうめいの池田亮「ハートランド」が受賞。この受賞作は未見でなんともいえないのだけれど、彼の実力や近作の水準から考えると当然の受賞だったかなとも思う。私個人としては最終候補作にも入らなかったが、宮崎玲奈「ことばにない」に受賞して欲しかった。

「東京トワイライト ー強盗団と新しい家ー」(作・演出:松田正隆)@座・高円寺1

「東京トワイライト ー強盗団と新しい家ー」@座・高円寺

松田正隆による新作。松田正隆による最近の作品の中でもこの「東京トワイライト」は演技、演出の面で実験性の高い作品といえるかもしれない。そのため、終演後、客席のあちらこちらで「意味がわからない」との声が上がっていたのも現実だし、可能性は感じるものの現時点で新たな「演劇表現の完成形」などと無批判の称揚を呈する気にはならないのも確かだ。
とはいえ、公演が刺激的かどうかという観点からすれば極めて刺激的な公演であったと思う。

作・演出:松田正隆

出演:大木実奈、河原舞、久世直樹、清水詩央璃、牧凌平、三谷亮太郎、吉田彰文
期間 2024年02月22日(木)~02月25日(日)
会場 座・高円寺1
チケット発売日
チケット発売中
発売開始日:2023年12月13日(水)
座・高円寺の演劇学校「劇場創造アカデミー」(CTA)修了生の中からオーディションで選んだ俳優たち。演劇の創造、表現についてさらに模索するラボラトリー公演として、アカデミー講師でもある松田正隆と共に、彼の書下ろしによる新作公演に挑みます。
繁華街の交差点、雑踏、東京の夕暮れ。
作品解説・みどころ
この劇は、「夫婦が新しい家を建てる話」「強盗団が強盗をする話」「仕事を解雇された女性が爆発物を製作する話」の三つが併存して進行します。
この劇で上演されるであろう、「新しい家に移り住む動き」、「強盗を繰り返す動き」、「爆発物を作り出す動き」は、この劇を創作するプロセスで開発された俳優の身ぶりによって表現されることになるでしょう。
既存の「移り住むこと」「強盗すること」「爆発物を作ること」を引用しつつも、それらの身ぶりが新たな演劇の創造力を生み出すことを願っています。―――――松田正隆
スケジュール
日時 02/19
(月) 02/20
(火) 02/21
(水) 02/22
(木) 02/23
(金) 02/24
(土) 02/25
(日)
14:00 − − − − ○ ☆ ○
19:00 − − − ○ ● ● −
☆印公演(2/24の14時の回)=託児サービスあり(対象:1歳~未就学児/定員あり/要予約/料金1,000円)。観劇の1週間前までに劇場チケットボックス(TEL03-3223-7300)までお申込みください。

●印公演(2/23、24の19時の回)=終演後、演出家・松田正隆によるポストトークあり
 ゲスト:23日砂連尾理さん
     24日カンパニーメンバー(飛田ニケ)
スタッフ
作・演出:松田正隆

照明:岩城 保 
音響:島 猛 
照明操作:是安理恵
舞台監督:佐藤昭子

演出助手:飛田ニケ 村井 萌
オンライン広報:與田千菜美
営業・宣伝:佐藤和美 森田諒一
キャスト border=
大木実
河原 舞
久世直樹
清水詩央璃
牧 凌平
三谷亮太郎
吉田彰文