下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」

 シャーロック・ホームズ最後の挨拶」(短編集、ハヤカワ文庫) を読了。もともとは収録作品「フランシス・カーファクス姫の失踪」がエジンバラで見たSHERLOCK HORMES The Delicate Art of Murder」の原作だったので、元のストーリーを確かめてみようと買ってきたのだが、全部通して読んでみるとやはりホームズは面白い。ただ、その中では「フランシス・カーファクス姫の失踪」はミステリ的なアイデアとしてはたいしたことのない作品で、そのため「SHERLOCK HORMES The Delicate Art of Murder」はホームズとワトソンの捜査に同行するようにしてディーンギャラリーを出発して、エジンバラ郊外のディーン村の自然や風景を味わうという企画自身の面白さは抜群なのだが、せっかく、ホームズを引っ張り出した割にはミステリ劇としてはイマイチなのであった。それにしてももっとほかにいい作品があるはずなのになぜこれになったのだろう。